表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/15

第2話:幽霊部室と時間停止カフェと内臓を喰う猫

剣を抜いた瞬間、世界が――止まった。

時間が。空気が。鼓動が。

「これが、“時空断絶剣(ギガプランS)”の力よ」

ゾンビ彼女が満足そうに言う。

背後の空間が歪んで、空に“読めない言語で構成されたQRコード”が浮かぶ。何その設定。

「いま、0.00001秒の空白に、私たちはいるの」

うん。もう逆に冷静になってきたわ。

世界が止まっても、俺の疑問は止まらない。

「なあ。さっきから黙ってたけど、“幽霊が見える”ってどういうこと?」

俺が指差した先には、体育館の上に浮いてる巨大な黒いモヤ。

顔はない。足もない。声もない。でも、「見える」。そして“視線”を感じる。

「見えてるの? あれ。やっぱりカズマくん、覚醒してるね!」

「怖いって言ってんだよ!! しかもあの幽霊、俺の名前ずっと呟いてんぞ!! なんで知ってんだよ!!」

「たぶん、前世で君が殺した人よ。あと、あれ部室」

「部室!?」

「“心霊研究部”の部室だったの。あれ自体が部室。廃墟化して幽霊化して、いまも時空を彷徨ってるわ。たまに出席取られるよ」

校則どうなってんだこの学校。

「てか、普通に腹減ってきた……」

「じゃあ、“時間停止カフェ”行く?」

店に入った瞬間、時間がさらに止まった。

コーヒーが空中に浮いたまま凍りつき、店員は動かず、壁には“お客様の記憶を一つ差し出してください”の文字。

「ここ、記憶を支払いにするカフェなの。“日常系の記憶”なら安いよ」

「じゃあ……小2の時に好きだった“ミカちゃんと紙飛行機飛ばした記憶”で」

「はい、ホットラテと交換成立!」

店員(目がぐるぐる回ってるやつ)がにやりと笑って、俺のこめかみに指を突き刺してきた。

ズボッと音がして、ミカちゃんの笑顔が“ひゅん”って頭から抜けていった。ちょっと寂しい。

「あー……うめえ……なんか、こういう味、懐かしい気がする……」

「それ、“記憶を失ったから懐かしく感じてる”だけね」

「やめろそういうこと言うの!!」

その時、足元から“ゴロゴロ……”って音がした。

見ると――内臓食ってる猫がいた。

骨をしゃぶってる。血まみれ。

よく見たら、その骨……俺のだ。

「ねえカズマ、現実逃避してない? それ、未来の君だよ」

「は???」

「その猫、“未来の時間軸で死亡したカズマくんの亡骸”を食べてるの。未来って、もう“現在”なのよ」

「意味が1ミリもわかんねえ!!!」

とりあえず、カフェから逃げ出して校舎(宇宙空間)に戻ったら、

“昼休みのバトルロイヤル”が始まってた。どういう学校だよほんと。

「今日は体育館の上で、魂バトルだよ!最後まで意識を保ってたら勝ち!」

「え、何それ、寝たら負けみたいな感じ?」

「寝たら即死」

生徒たちが、無重力空間で殴り合ってる。

斧を投げるやつ、詩を読み上げて洗脳するやつ、火を吹くやつ、全裸のやつ(謎に強い)。

あちこちで爆発。幽霊も参戦してる。なんで?

その中に――さっきの“女の俺”がいた。

「よぉ、カズマ。お前、俺の人生どうするつもりだよ」

「いや、むしろお前に聞きたい!!」

そして空からアナウンスが流れた。

『次の授業は、地獄巡り体験(実技)です』

マジでこの世界、誰か止めてくれ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ