表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/47

第40話 Fランクの第一カンモン

 丁寧に戦闘を行い、Fランクダンジョン上層の第一区画をきっちりと攻略しているが、いまいち視聴者のノリが掴めていない。

 配信素人の僕では、まだまだ視聴者の心を掴むテクニックが足りないということらしい。無神原の作った今回の発明もどうにも響いていないような印象を受ける。

 とはいえ、こればっかりは少しずつ調整していくしかないだろう。意識を探索に集中させるか。


「ん? なんだこれ」


 ただの行き止まりかと思ったが、壁に何かの石板のようなものがはめられているのが目に入った。第一区画も端から端まで移動してきた気がするし、今回はサクッとカンモンまで到達できたようだ。


「と、いうことで! 第一区画攻略は問題なく行えるこのコンパクト、今なら探索者殺し博士とのコンタクトが取れたら、おそらく、きっと、多分、お手元に届けられますよ」


:コンタクトが一番難しいのでは?

:そんなお手軽みたいに言われても連絡できないんだよなぁ

:キラースクリーマーちゃんは自分のすごさをもっと自覚していいと思う

:まだFランクとはいえ、カンモン到達が早すぎなのよ

:探索者ランクと同ランクのダンジョンのはずだよね?


 やはり、一般の視聴者の人たちには無神原と連絡を取るところでつまづいてしまう人が多いらしい。それはそうだろう。僕だって、アイツが外出しているところをほとんど見たことがない。学校にだって一緒に行ってくれないくらいだからな。

 だから、この辺はまあ、僕が無神原の連絡先を配信中に口に出して伝えるわけにもいかないので、どうにかがんばってほしいところだ。少なくとも、一部の探索者の方々や大きな組織の人たちについては、魔法生成AIについて無神原へ直に問い合わせできているわけだしな。不可能というわけじゃないはずだ。


「さて、ということでカンモンボスを倒していきましょうか」


 Fランクということもあり、すでに上層第一区画のカンモンボス自体は攻略されている。だが、僕が次の区画に挑むためには、Gランクの時同様にカンモンを攻略していく必要がある。


 意を決して、他の壁とは少し触り心地の違う壁を押し開けて僕は東京第52ダンジョン、第一カンモンの中へと入った。中は薄暗いかと思ったのだが、晴れた日の日中のように明るく、優しい太陽のような光が天井から降り注いでいた。足元には背の低い草があたり一面に生えていて、どこからともなく風がそよいでいるような気さえする。そこはまるで草原みたいな場所だった。

 どういうシステムだろう。Gランクの時はゴブリン以外、印象的なものがなかっただけにその差が少し気にはなる。


 警戒しながらボスを探すと、部屋の中心に堂々と鎮座していた。僕がカンモンへ入ってきたことを全く気にした様子も見せない、そんな悠然とした態度をしているとてもダンジョン外で見られることはないような巨大な羊。その体は重機ほどもありそうで、無表情の顔は自然と不安にさせる効果がある気がする。


「メェエエエエ」


 鳴き声からしても羊。これはビッグ・シープといったところか。


 当のビッグ・シープは面倒くさそうにその場に起き上がると前足で荒々しく地面を蹴り、獰猛に鼻息を漏らし出した。その姿はさながら闘牛のよう。

 なんて思ったのも束の間、ビッグ・シープはまるで最高速度のロケットのように突進してきた。反射的に角を受け止める。


「くっ。これは変身してなかったら見逃してた攻撃だね」


:いや、わざとらしすぎるって

:キラースクリーマーちゃんよりかは遅かったよ

:羊の動きのがまだ見えた

:速かったけど目で終えたね

:むしろ、キラースクリーマーちゃんに鍛えられたからな


 受け流しつつコメントを確認するが、今回は見えていたらしい。って、僕の攻撃じゃなく、羊の攻撃が?

 防御はわざとじゃないのにわざとらしいと疑われてるってこれ、どうしたらいいの?


「こんにゃろ!」


 怒りに任せて羊を投げ飛ばす。だが、雑な攻撃だったこともあり、難なく着地されてしまった。

 羊は僕から距離を取るようにどこへともなく駆け出す。


「あ、逃げるな!」

 僕はその羊を後ろから追いかけて蹴っ飛ばした。

 こうなったら派手な動きでコンパクトのすごさを補強してやる。どうあがいても攻撃の終わりくらいは見てもらえる事だろう。もうそれでいいということにしよう。


 意識を切り替え、壁へ激突した羊へと距離を詰める。

 未だ攻撃したはずが攻撃されていることが理解できていない羊は、目を白黒させたまま横になり、もうもうと立つ砂煙の中で動かないでいた。


「オラオラオラ!」


 僕はそんな隙だらけの羊をぽかぽかしてから、むんずと尻尾を掴み、ぐるぐると回転する。そして、勢いをつけてから反対側の壁の方へと放り投げた。


「メ、メェエエ……」


 力なく声だけを漏らす羊は、やがて力つきダンジョンへと吸収され始めた。

 さあどうだ。これで投げたところくらいは見てもらえたんじゃないか?

 くるりと振り返ってみたがドローンはそこにはなかった。


「あ、あれ……?」


 キョロキョロと近くを探してみたところ、少し遠くでふわふわと浮かんでいるドローンがゆっくりと僕の方へと近づいてきているところだった。

 今までは僕の近くを浮遊していたはずなのだが、どうしてこんなことになっているのだろう。


「映ってましたよね。見えましたよね。今回こそはわかりましたでしょ?」


:遠かったんだよなぁ

:カメラが追いつけてなかった

:遠くても、なにが起きてるかわからないもんだな

:結局どうやってたんですか?

:いつの間にか羊がいない


 流れるコメントは僕のやった事を認識していないものばかり、気づいた時にはカンモンボスがいなくなっていた、そんなようなそんな内容のものが目立つだけだった。

 第一カンモンにはビッグ・シープのドロップ品が広がっているが、それで倒したと理解されているだけなのだろう。


「どうしてだよぉ」

いつも読んでくださりありがとうございます。


「面白い!」


と少しでも思っていただけたら、下の☆☆☆☆☆から作品への評価をしてくださると創作の励みになります。


また、ブックマークもしていただけるとモチベーションにつながります。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ