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異世界なんて嫌いだ  作者: うどんずるずるしたい
第一章 研究所編
3/14

3 始まり

 ……えぇ?

 一瞬思考がフリーズした。

 知らない…言語だ。わからないけど英語、なのか?だがこの人が英語を喋っているとしてそもそも、なんでこの人の話す言語が英語なんだ?だってここは……


 どこ…なんだ?


 だんだん大きくなる胸騒ぎをよそにして、話しかけてきた医師の隣でずっと資料を見ていたおそらく看護師の人がその見ていた資料を差し出してきた。布団にねぞべっている状態でそれを受け取り、その内容に戦慄した。

 日本がない

 渡されたものは多分世界地図だ。わかれていない、大きな一つのΩのような形をした大陸と、その周囲に小さな島国が数個描かれているが、そのどれもが日本と思えない。自分の知っている世界地図と全く違う。意味が分からない。まるで夢の中のようだ。

 じっと見ていたその地図がぶれ始めたのを見て、手の震えに気づいた。体温も下がっているように感じる。

 ゆっくりと寝そべっていた状態から上半身を起こして、

 「…こ……ここ、って……どこ、なん…ですか?」

 うつむきがら、通じてくれることを願って上ずる言葉を紡いだ。

 反応が無い。やはり通じなかったのだろうか。それか単純に声が届かなかった?と考えていると、足早に去っていく足音が一つ聞こえた。視線を医師らがいた方へ向けると、看護師がいなくなっていることに気づいた。残った医師は俺の寝ているベッドの横にある椅子に座ってから、まだ俺が手に持ったままの地図を一緒に手に取り、俺の目の前に来るように持ち上げる。

 何をするつもりなのかと医師を見ていると彼は少し咳払いをした後、この病室(?)の地面を指さした後、一緒に持ち上げた地図の左上のところを指で丸く囲んだ。次に、医師は自分自身に指をさしてから、地図の先程と同じ左上の箇所を丸く囲んだ。すると次は、俺の方を掌でさしてから、地図の方へと目線を移していった。数秒考えてから意味に気づいた。

 おそらくさっきの一連の仕草のうち前半二つは病室の位置、医師の出身地が地図上でどこにあるかを示したものだったのだろう。そして最後の仕草はおそらく、俺の出身がどこかという話だ。俺の、出身…。

 医師が俺を見つめる中、このジェスチャーが正しい意味で伝わることを願って、俺は地図に大きく指で×を書く。医師は首を傾げた。俺もただ、首を横に振るだけだった。

 「…俺の、知ってる……国、こ、この地図に………ないん、です…」

 ジェスチャーを使っている以上、おそらく俺の言語は通じていない。だから医師に、というより、自分に言い聞かせるように言った。もう理解してしまったのだ。

 ここは、俺の知る世界じゃない。

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