表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界なんて嫌いだ  作者: うどんずるずるしたい
第一章 研究所編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/31

28 傷跡

 そして椅子から立ち上がり、逃げるように部屋から出た。

 扉を抜けた先の左には、俺をここまで連れてきたあの青年がまだ立っていた。


 「お、お疲れ様メイ君。帰り道は――


 「わかりますよ。真っすぐ歩くだけですよね?一人で帰れます」


 早口でそう言って、青年を置いて長い廊下を一人で歩く。



 


 下を向いて、無機質な床だけ見ていた。誰の顔も見たくなかった。


 誰にも顔を見られたくなかった。



 …もう何も考えたくなかった。




 

 ……何も、考えたくなかったのに。

 


 *****


 「あると言ったら、あなたはどうするの?」


 *****


 あの時の言葉が頭の中で何度も響く。


 何度も


 何度も何度も何度も何度も何度も何度も







 …偽物だったのだろうか。…俺が、ロゼに感じていた感情は全て操られたものだったのだろうか。

 喜怒哀楽すら全て……ロゼと一緒にいるときのあの…安らぎのような感覚すら全て。


 「…なんで」


 でも、偽物でも良かったんだ。操り人形でも良かった。


 …ただそれなら





 



 それなら最後まで騙してよ…!


 「…なんで」


 俺は本当のことを話して欲しいなんて言ってないし、思っちゃいない…!

 嘘でいいから…


 俺に、魔法は使っていなかった、って




 言ってくれればそれでよかったのに……!!


 そう言ってくれれば…!戦争でも、地獄でも…!どこまでだって行ったのに…!!


 「なんで…!!!」


 なんで……


 気を紛らわせるように歩き続けた。それでも、あふれる涙が止まることは無かった―――





 ―――「ただいま」


 そう言いながら、元居た簡易テントに入る。

 中には寝袋に入って横になっているユウがいた。

 


 …そういえば今の時刻はもう午前三時くらいか。いつもならとっくに寝てる…というか就寝中の時間だ。俺も寝よう。…今日は疲れた。


 ユウを起こさないように、できるだけ静かに寝袋を広げる。


 「…ん~?メイぃ…?…帰ってきたんだ」


 「あぁ、ごめん。起こしちゃった?」


 頑張りはしたのだが、生地の擦れる音が意外と大きくなってしまったらしい。


 「”別に”気にしてな…え、メイ、その顔どうしたの?」


 「…なんかおかしい?」


 「目が赤いし、なんか腫れてるじゃん!」


 「…大きい声出すな。みんな寝てるかもしれないから」


 「ご、ごめん。…えっと、その、メイ…泣いてたの?」


 「…まぁ…うん…嫌なことがあってさ、それで…ちょっと」


 「…そ…っか。…メイも、泣くんだね」


 「なんだよそれ。人間なんだから泣くこともあるでしょ」


 「あんまり想像つかなかったからさ、メイの泣いてるとこ。なんでかわからないんだけど」


 会話はそこで途切れて、俺は準備した寝袋の上に座る。

 横でガサガサと音が聞こえて、視線をそこへ動かすとユウが寝袋から出てきているのが見えた。


 「寝ないでいいの?」


 「誰かさんのせいで眠れなくなっちゃった」


 「…ごめん」


 「怒ってないよ?」


 すると、寝袋から出てきたユウが俺も耳元にまでずいっと近づいてくる。


 「その嫌な記憶、忘れさせてあげようか?」


 息が耳にかかる。


 「…!?ど、ど、ど、どういうこと…!?」


 「ちょっと、静かに静かに…」


 「あ、ごめ、え、は?」


 「そ、そんなに慌てないでよ…。確かによくないことかもしれないけど…」


 「え、いや、あの、い、一体…な、何をするつもりなんですか、あなたは」


 「何って…魔法を使うんだよ」


 …あ、確かに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ