コンビニ
夜が近づいてきて、黒髪のショートカットの女の子がコンビニに入ってきた。彼女は落ち着いた黒縁のメガネをかけていて、精巧なピアスもつけて、着ている服もとても適切でエレガントだ。
自動ドアが開くと、店員も親切に女の子に挨拶した。
「いらっしゃいませ!」
相手は親切だったが、彼女は無表情で頷くだけで、すぐに食品コーナーに直行する。
(あの店員は私を無視してくれればいいのに…次は今夜買う食材だね、30分以内に済ませよう)
彼女は書いたメモを取り出して買うものを確認した後、肉類を選び始めた。国産と輸入の2種類の牛肉がすでに切られていた。
彼女はそれを見て笑みを浮かべ、800グラムの輸入牛肉を手に取った。
(同じ重さの牛肉なのに、国産の方が輸入牛肉よりずっと高いね…馬鹿げてる。そんなの買うバカがいるのかな?まあ、バカたちの考えは永遠に理解できないだろうな)
彼女は生産日を本能的に確認した後、カートに放り込んだが、すぐに新しい牛肉を見つけた。850グラムの牛肉がさらに安い!躊躇することなくそれを手に取り、じっと見ている。
(ふぅー!危ないところだったな。誰も買っていなくてよかったよ、運がいい。後で交換しよう。1グラムあたりの価格がもっと安いし)
しかし、彼女は安い肉の生産日が新鮮でないことに気づいてしまった…それに少し冷たさも感じた。
「チェっ!」
(面倒くさいな、1ヶ月も違うなんて、冷凍肉だったか…ああ!!なんで迷ってるんだよ…新鮮かどうか、どっちを選べばいいの。くそ!計画から外れてる。しっかりしろ、フレイヤ、計画を修正しなきゃ)
その時、コンビニのスタッフがスピーカーを通じて客に呼びかけた。
「お客様、新鮮な牛肉と鶏肉がありますよ!ぜひご覧ください」
(仕方ないな、計画の修正は少し待とう。もっといい選択肢があるかもしれないし、ちょっと見てみよう)
人が多すぎて中に入れないので、遠くから見ているしかなかった。そして、諦めた。
(押しのけて入ったら他人の雑菌についてしまうかもしれないからやめておこう。消毒剤も今日使い切ったし)
彼女はため息をついて、人が少ない方へと商品を見て回った。
(いいぞ、計画完全に更新した。後で新鮮でない牛肉は要らない。健康も長期投資の一つだからさ)
長い時間をかけて異なる商品を何度も比較し、彼女は頭の中で全ての商品の価格を計算し、ついでに買い物リストも更新した。
カートの中の気に入った商品を見て、彼女の口角が少し上がってしまう。
(予想よりも支出が少なかったね、もう少し何か買っても大丈夫だし。そういえば家に醤油が足りないから、ちょうどいい)
彼女は歩みを速めた、先ほどの迷いはもうない。しかし、よく買う醤油はもう1本しかない!
(え!もう1本しかないの?予算が余ってるから3本買えるのに。1本でもいい、節約の目的は達成したし)
「おー!ラッキー!まだあったんだ」
白髪の魔族の女の子が彼女が手を出す前に最後の醤油を取ってしまった。彼女は目を見開き、その醤油から目を離せない。こんな展開は計算外だった。
「ん?もしかして、この醤油が欲しかったの?この醤油はここの中でコスパが一番いいからさ、お前もわかってるね。でも、早い者勝ちだ、バイバイ〜」
「えー……はい」
白髪の魔族の女の子が去っていく姿を見て、彼女は何かを思い出したようだった。
(あの魔族の女の子…どこかで見たことがある?あっ!あの新しいライブハウスで、でもなんで彼女がそこの店長とレスリングしてるんだろう…意味わかんないな)
その後、彼女は本能的に腕時計を見る。
「ちょうど30分。まあいいや…帰ろうか」