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過酷な戦いは終わった後、二人の魔族少女はついに人喰い花を打ち倒した。
「はぁ...本当に疲れたよ。以前魔界にいた時はこんな低級魔物をまともに見たこともなかったのに、まさかこんなに手こずるなんて...absolute orderも効かないし」
あの少女の体が人喰い花のお腹を指して、頭がまだ中にあることを示している。
リリスは魔力を使って人喰い花のお腹を切り裂いたが、彼女はサファイアに自分で頭を取り出すように合図する。
「汚いから、お前が取れ」
「リリス様...」
嫌そうな顔をしながらも、サファイアは我慢してその頭を取り出した。しかも粘つく液体が滴る音が聞こえるし。
消化液が滑りやすく、もう少しで落としそうになったが、その少女の体が素早く頭を取り戻し、再び接合した。
こうして金髪ツインテールのファッショナブルな少女が魔族少女たちの前に現れた。まあ、全身がびしょ濡れになっていたが...
「ははは!ありがとう、君たちがいなかったら頭が消化されてたよ...任務を受けて、逃げ出した人喰い花がいないか確認しに来たんだけど、逆に奇襲されちゃってさ...ははは....」
「あなた、もしかしてゾンビですか?だって、死の気配が満ちているんですもの」
「YES、正解!でも、どうやってお礼しようかな...あっ!そうだ、ここに友達からもらったいいものがあるんだ」
サファイアは首をかしげて、彼女が何を取り出すのか見ている。その子は湿っぽいチケットを彼女に差し出す。
「これは何ですか?」
「これはね、新しいライブハウスのライブチケットだよ。Royal Academyの新人たちが出演するんだって。あのRoyal Academyのアイドルだぞ!へへ、すごいでしょ~」
「「Royal Academy?」」
「あれ⁉知らないの?そこは有名なアイドル養成所だよ。たくさんの有名なアイドルやバンドがそこから出てるんだ。あーっ!人喰い花もう倒したから、報告に戻らなきゃ。本当にごめんね、それじゃあまたね!」
「えっ!はい」
サファイアはその子に手を振って別れを告げたが、その子は急いで走り去ってしまった。でもびしょ濡れの少女が夜の街を駆け抜けるのは確かに奇妙な光景ですね。
その時、リリスは地面にあるバッジに気づいた。
「あいつ、何やってるんだろう、こんな大事なものを忘れるなんて」
「あの子、本当にそそっかしいですね。怪異退治隊の隊員なら、このバッジは重要なのに」
「うん?ここに名前が書いてあるぞ」
リリスはそのバッジをじっくりと見つめる。
「ええ、あの子の名前はアガサって言うんだ」
—翌日の出勤時—
二人は一緒にGalaxy Clipperに入り、店長はカフェカウンターを掃除していた。
「へえー、遅刻しなかったんだね、リリス」
「私が遅刻するって決めつけてたのか...」
ミアはサファイアに親しげに声をかける。
「よっ、サファイア」
「うん、ミア。今すぐ更衣室に行きますね」
「うん、行って」
リリスは明らかな温度差を感じて不満したが、何も言わない。二人が出てくると、ミアは腕を組んで彼女たちに近づいた。
「まず最初の仕事は、ここをきれいに整理して、いすとかを並べること、わかった?」
「わかりました!」
サファイアの素直な返事に店長は微笑した、でも隣のリリスは退屈そうにあくびを始めてしまう。ミアはそれを見て眉をひそめるだけだ。
「それじゃあ、始めろ、魔族の子たち」
サファイアは真剣にテーブルを拭き、一方のリリスはほうきを手に取り、片手で回してジャグリングを始める。彼女は自信満々にサファイアに向かってほくそ笑む。
「どうだ!」
「リリス様、遊ばないで...ミアが怒りますよ」
「ちょろい。もう掃除は終わってたよ」
「おお〜すごいね、さすがリリス様!」
「この程度...ぐっ!」
怠慢な従業員を見て、ミアはリリスの股間を強く蹴り上げる。リリスは苦しそうに地面にうずくまる...
「もう子供を作れなくなる...」
「新人、ちゃんと真面目に働いてくれ」
その後、二人はなんとか掃除を終えた。でも営業までまだ少し時間がある。リリスはその間にいすに座って休んでいる。
「疲れた!ところで、ミア。Royal Academyって何?どうやら私たちの店でライブがあるみたいなんだけど」
リリスは昨夜のチケットを取り出し、ライブの場所はここだった。
「ああ、そういえばそのことまだ伝えてなかったね。でもすぐに演奏が見られるよ。でもそのチケット、誰からもらった?」
「ふっふん、夜の秘密さ」
その時、客たちが続々とカフェに到着した。人がどんどん増えていき、初日よりもはるかに多い状況。みんなRoyal Academyからの新人バンドを楽しみにしているようだね。
「すみません、これをお願いします!」
「うんうん、すみません、注文をお願いします。ええと、メイドさん?」
「「はい、今行きます!」」
人数が以前よりもはるかに多く、リリスは完全に手一杯だが、サファイアは余裕を持って対応しているように見える。
多くの人が注文を終えたので、二人はようやく一息つくことができました。
同時に、ドアのベルが再び鳴る。しかし今回は、昨夜人喰い花に食べられたゾンビ少女が現れた。
彼女はギターかベースのようなケースを背負っていた。彼女も楽器を演奏するのでしょうか?
「ああ!君たち二人、ここで働いてるんだね!偶然だね!」
「あなたは昨夜のあの人!本当に偶然ですね」
「ははは、そうだね!」
サファイアは彼女に手を引かれて振り回されている。彼女はまるで興奮した子犬のようで、尻尾が揺れているように見える。
その時、彼女の友達が尋ねに来た。
「アガサちゃん、友達?」
「いや、違うよ。彼女たちはあたしの命の恩人なんだ」
「ええ~もう時間もないし、早く中に座ろう」
「うん」
アガサは二人に手を振ってから、後ろの席に座りに行った。彼女にはたくさんの友達がいるみたい。
ついにライブの演奏時間になり、みんなが席を立ち始めて地下の部屋に向かいました。ミアが二人の肩を叩きに来ました。
「お前たちもお疲れ、もうすぐライブが始まる。今、Royal Academyの新人たちが下で準備をしていたから、お前も見に行っていいよ」
「でも、ミア。まだお客さんがいますし!」
「サファイア、店員としてここで一番重要な部分を見なっかたらもったいないさ。ここは一時的にあたしに任せろ」
「ミア...でも!」
サファイアが言い終わらないうちに、ミアは彼女の唇に指を当てった。
「大丈夫、行っておいで」
サファイアと話している間に、リリスはすでに地下のライブ会場に向かう準備をしていた。
「何してるの、サファイア。早く行こうぜ」
「じゃあ、ミア、行ってきますね」
「うん」
二人はチケットをチェックする女性スタッフを見つけ、彼女は二人に親切に挨拶をして、しかしサファイアだけが笑顔で返した。
ライブ会場に入ると、照明がとても華やかだ。舞台上にはRoyal Academyからの五人の新人バンドが立っていた。
彼女たちは華やかなスカートを着てステージで輝いて、リリスは魂を抜かれたように彼女たちを見つめている。
同じ魔族の女の子が前に出て、みんなに向かって叫ぶ。
「みんな、こんにちは!あたしたちはEther Jellyfish、Royal Academyの新人バンドです。これからあたしたちの初めての曲をお楽しみください!」
人々がざわめき始め、会場ではサイリウムを振る人もいる。激しい音楽が鳴り始めると、人々の興奮は最高潮に達した。
魔族のボーカルの歌声は銃弾のように会場の人々を貫き、リリスもその一人。リリスは突然隣のサファイアの手を握った。サファイアは少し驚く。
「どうしたの、リリス様」
「何をすべきか、もう分かったよ...」