4
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ。何名様ですか?」
「ああ、一人です」
サファイアは真面目に入ってきたお客さんを接客し、一瞬で熱心さが伝わる。席に案内した後、今は一人しかいないので静かに注文を待っている。
「ええと、じゃあこれをください」
「ブルーマウンテンコーヒーですね?少々お待ちください」
サファイアは店長に伝え、ミアもコーヒーを作りに行く。
でもリリスはお客さんと顔を合わせずずっとサファイアのそばに隠れている。
「リリス様?どうしたんですか?」
「いや、この服は軽すぎるだろ…こんな格好で接客するなんて」
「あっ、あの魔王様が恥ずかしがってる」
「うるせぇ!」
ミアは鈴を振り、すぐにコーヒーをお客さんに届けて初めての接客を終えた。サファイアの接客力に店長のミアは安心した笑顔を見せる。
「初日初めての接客、よくやったね、サファイア。経験があるね」
「あ、はい。前に似たような仕事をしていたんですから」
「そうなんだ。前はどんな仕事だったの?」
「ええと、前は魔王軍楽隊で接客とかを担当していました。あ!こっちの世界には怪異退治隊という仕事もありますよ」
「魔王軍…え⁉怪異退治隊って、すごいじゃん」
「えへへ」
ドアのベルがまた鳴り、新しいお客さんが来たようだね。音を聞いてサファイアはすぐに駆け寄って熱心に接客する。
でもミアは横の白髪の少女を見て、手刀で頭を叩いた。
「いてぇよ!」
「こら!リリス、そこに立ってないで、早く接客しろ」
「ええ…恥ずかしいし」
「ここに働きに来たんだろ…」
「大丈夫、店長。食べ物とかをお客さんのテーブルに運ぶのはできますのよ」
「あとでクビになるぞ」
どんどんお客さんが増えて、サファイアは少し忙しくなってきた。
リリスは頭をかいて、お客さんに対してかなり緊張しているが、話す声も小さくなってしまうが、一生懸命に接客する。
だんだんと夜が深くなり、お客さんも少なくなってきた。
その時ミアは二本のコーラを持ってきて、二人に渡す。
「さあ、もうすぐ閉店だよ。二人ともお疲れ、コーラはいい?」
「はい、ありがとうございます、店長さん」
「気にするな、ミアと呼んでいいよ」
「うん、ミア」
閉店と聞いてリリスはもう持ちこたえられなくなって、すぐに白いゼリー状の液体に溶けてしまった。
「わあ!何これ?気持ち悪い!」
「あ!リリス様の電力が切れてしまいました、電力が切れるとこんな風になってしまいます…」
「なんだそれ…」
サファイアはコーラを開けると、二酸化炭素が入っている液体がリリスに気づかせるようだ。
彼女はすぐにコーラを口に流し込んで元の姿に戻ってきて、白いゼリー状のものが一瞬で元の姿に戻った。
「生き返った!ところでこれは何?めちゃ美味しいし、疲れも一気になくなった」
「その前にあたしに感謝は?」
ところがリリスは手を差し出して、ミアにお金を要求しているようだ。
「何をしてるの?」
「今日の給料を頂戴、怪異退治隊みたいに」
「じゃあ一ヶ月働いてからにしてね」
客がもういなくなったので、サファイアはこの店に地下への階段があることに気づいてすごく好奇心がわいて見ている。
ミアは大事なことを思い出した。二人を呼んで一緒に階段を降りる。
三人の目の前には厚い扉があって、開けると中のものに魔族少女たちは驚愕してしまった。
大きなスピーカーや他の機器があって、真ん中にはとてもかっこいいドラムセットがある。
周りの壁には防音パネルが貼ってあって、中にはスタジオや化粧室もある。
ここがこの店の中心なんだ。
「ここがGalaxy Clipperの真の姿だよ、すごいでしょ」
「「……」」
二人は驚いて言葉が出なかった。サファイアは真ん中のドラムセットを見てずっとぼんやりしている。
「ドラムですよね、すごくかっこいい」
「まあね、閉店したし、遊んでみる?楽しいよ」
「でも…」
二人が話している間にリリスはもうステージの中心に立ってエレキギターを弾き始めてきた。
猛烈なリズムが旋風のようにやってきて、二人に衝撃を与える。 ミアはステージで光り輝くリリスを見て、夢中になった。
「わあ、このスピーカー、このエフェクト音とか…うちの安物とは比べ物にならねえな、このギターすごいぞ」
「ええ~ギター弾けるの、しかも上手いじゃん」
「ふふ~魔王にとって楽勝楽勝~サファイアもやってみなよ」
サファイアもギターを手に取ったが、全然弾けなくてまた戻した。その後はまたドラムに興味をして、ドラムをなでて、手で感じる。
「初めて楽器をやるの?」
「そうでもないんですけど…」
「ドラムはやったことある?」
「少しだけ…」
ミアは音楽をかけて、自分でしばらくドラムを叩いてきた。リズム感が強くて、横のリリスも驚いた。
サファイアはかっこいいミアを見てうっとりしているだけ。ミアが音楽を止めるまで気づかなかった。
「どう?久しぶりにドラムをやったから、技術がすごく落ちたよね」
「「すごい!」」
「そう、ちょっと恥ずかしい。サファイアもやってみる?」
サファイアはミアの指導のもとでドラムを叩き始めた。上の音色やドラムスティックの持ち方に慣れる。
「楽しい」
「そうだろ」
その後店長は二人に掃除をして帰るように言った。リリスは電線を抜いて、そのギターに別れを告げた。
掃除終わると彼女たち扉に着いたとき、ミアは自分で二人に別れを告げた。
「リリスは置いといて、サファイア、この店についてどう思う?気にしないで、言ってみろ」
「え!私も何と言っていいかわからないけど、すごくいい店だと思って、だからここで働き続けたい!明日もお願いしていいですか?」
「うん、ありがとう。この鍵を渡すよ、明日もよろしくね」
「ありがとうございます!」
「ええと、私は…」
リリスは手を挙げたが、ミアに無視された。
「さあ、サファイア、帰ってゆっくり休んでね。じゃあ明日ね」 「明日ね、ミア」
「私を無視するなんてひどい…」
「ひどいのはお前だろ、明日はサボらるな」
二人は帰り道を歩いていた。夜になっても、虫の鳴き声は止まなかった。
「リリス様、今日初めてのバイトはどうでしたか?」
「疲れた…」
「あはは…そうですか…」
「でも、よく考えたらなかなかいい感じだった、なんとかいけるそう」
「リリス様…」
結果、公園の近くを歩いているとき、歩いている人食い花が現れた。牙をむいて爪をひっかけて、体にあるツタ状ものであちこち探っている。
でも、口の端には一足の足が見える……
「あれは、サファイア。疲れすぎて幻覚を見てるのかな、どうして巨大な人食い花が道を歩いてるのか、しかも上には足があるし…」
「リリス様、早く人を助けないと!」
サファイアは魔法で人食い花を攻撃して、中の人を吐き出させた。地面には怪異退治隊の徽章が出てしまった。
人食い花は中の人を吐き出したが、その人には頭がない!服装から見ると女の子のようだった。
頭がないので、びしょびしょの体があちこち触って、頭を探しているらしい。
驚くべきことに、人食い花のお腹の中から女の子の声が聞こえてきた。
「外に人がいますか?た、助けてください、頭が人食い花に食べられちゃって…」
「「はあ?」」