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不可思議な百貨店  作者: 霞 芯
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5話 矢印

 高嶋紀文は、照明が不点灯の連絡を受け、店内へ急いだ。

 道具の入った手提げ袋を持ち、該当のテナントに着くと、店員の男性が厳しい口調で、「この棚の一画が点かないんだよ!なんとか早くして!」と告げてきた。

 高嶋は、まず店員さんの〝ピリピリ〟した雰囲気を和らげようと「すみません、対応します!せっかくの〝人気商品〟がだいなしですね、申し訳ありません!」と深々と頭を下げた。

〝人気商品〟に反応したかはわからないが、口調が

幾分穏やかになった。

高嶋は、ピリピリした中で作業すれば、2次被害を出すであろう事を充分知っていた。

ふーっと、一呼吸置き、iPadで図面を開いた。

該当回路は、216番で、その回路が全て点灯していない事がわかった。

高嶋は、ブレーカーがオフになっているのでは?

と思い、epsに向かった。

高嶋は、数日前のように、戻ったら点灯していた?

なんて事を少し考えたが〝電気〟というのは、原因があり、原因を突き止め,直せば点灯するのである。

当たり前の〝答え〟が本当は欲しいのである。

不可思議な事は、原因がわかるまで、探すのが

本来であった。

epsに到着し、ブレーカーを確認したがオンになっていた。

一応電圧も103ボルトでている。

器具を確認するために、ブレーカーをオフにした。

脚立を持って、216番のスタート地点の器具から調べる事にした。

脚立を立てて、登り、器具をはずしてみた。

なんだ〜!

答えは、一発でわかった。

親線の白が、抜けかかっていたのである。

「これじゃ点かないよ」

不可思議な事が、数日続いていたので、当たり前に

安堵した。

電線を繋いで、epsに向かった。

一度オフにしたブレーカーをオンにするためには、

〝絶縁抵抗測定〟をおこなわなければならないが

測定器を忘れたのである。

高嶋は、小走りで、バックヤードに戻り、あるはずの棚を探した。

が、ないのである。

あちらこちらと探すが、いっこうに見つからない!

高嶋は、「時間も無いし、測定しないでオンするか?」と独り言を言ったが、電気屋としての〝常識〟が高嶋に探すのやめさせなかった。

高嶋は、どうしたものか?と天井を仰いだ。

「ん?」天井から壁に下に向かって〝黄色〟の矢印が、書かれているのである。

〝まさか!〟とは思ったが、矢印の示す棚の下を見た。

棚の隙間に、測定器〝メガ〟が挟まっているのである。

「助かった!」そう言って、epsに向かい、測定し、ブレーカーをオンにした。

照明は、当たり前に点灯した。

メガが見つかったのは、当たり前ではなかった。

その後〝蛍光ペンの黄色〟が無くなったのは、言わずもがなであった。

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