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不可思議な百貨店  作者: 霞 芯
3/6

3話 山手線

 高嶋紀文は、翌日もオープン待機に来ていた。

午前10時を周り、何事もなく過ごしていた。

「綺麗」そんな言葉に高嶋は振り向いた。

バックヤードの待機場所に〝あおい〟が居るのである。

高嶋は、「どうしたの⁈あおいちゃん!」と驚いた。

藍は、「脱走」とだけ言って、高嶋の蛍光ペンに、見入っていた。

高嶋は、「ああ、このペンかい?2本無くなっちゃってね、綺麗かい?」と、問い直した。

藍は、まじまじと蛍光ペンを見ている。

高嶋は、「脱走なんて良くないよ!帰りな!保育室へ!」と藍に忠告した。

藍は、「帰る」とだけ言って、バックヤードから、

従業員エレベーターに向かった。 


 高嶋は、11時を迎え、鍵を返して大越百貨店をあとにした。

 東京都に向かう地下街を、〝上野〟に帰って仕事をする、そんな単純な目標しかなかった。

 高嶋は、最近マイホームを手にいれた。

それは、この先何十年と会社に従事すると言う〝誓い〟でもあった。

自分の希望とか、夢とか、置き去りにし、〝家庭〟

を守り、つまらないかもしれない人生の肩代わりに、分不相応な、4LDKを手にいれたのだった。


 そんな、地下街で〝赤いパーカー〟の少女を見かけた!

「あおいちゃん!こんな所まで脱走したのか?」と走って追いかけた。

赤いパーカーの影は、3.4番線のホームへ向かうエスカレーターを駆け上がっている。

高嶋は、何とか捕まえて保育室へ連れていかなきゃと思い、後を走って追いかけた。

エスカレーターを駆けてホームまであがる。

上がりきったところで躓いてしまった!

高嶋は、転がり、無くさないように、胸のポケットに締まった〝青〟の蛍光ペンが転がり、ホームへ落ちてしまった。

そこに、山手線が滑り込んでくる。

高嶋は、立ち上がり〝藍〟影を探した。

〝藍〟は、みつからなかった。

2本程電車を乗り過ごして、〝藍〟を探したが見つからず、

これ以上は?と思い、高嶋は、上野に向かった。

ホームには、高嶋の〝心配〟な心だけが残った。


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