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七話 謎の自動販売機4


 七話 謎の自動販売機4



 ハナはあっさりと隠し部屋の入り口を発見する。月夜と忍は隠し部屋の扉をノックしたが、案の定返事はない。


「すいません 伺いたい事があるのですが…… 」


「怪しい者ではありませんよ 」


 勝手に侵入している事事態、充分に怪しい二人であったが図々しく声をかけてみた。ワンとハナも一声添える。


「それだは開けますね 」


 月夜が勝手に扉を開けると、小さな部屋の奥で小柄な男性がカッターナイフを持ったまま震えていた。部屋の中には数多くの人形が所狭しと並んでいる。所謂、アンティークドールというやつだった。月夜と忍はぐるりと部屋の周りを見回してから、男に目を向ける。男は怯えた目で二人を一瞬見ると、目を逸らしてしまった。


「な、何だ、君たちは? ここには何もないぞ 」


 そっぽを見ながら男が言う。


「驚かせて申し訳ない 僕たちは怪しい者ではありません 」


 月夜が言うと、男はひっと小さく悲鳴を上げ持っていたカッターナイフを投げてきた。忍が表情も変えずにそれを左手でがしっと掴む。


「なかなか筋がいいですね これが手裏剣やくないだったら人を殺せそうですね 」


「ひいぃぃーっ 」


 忍の物騒な一言に、男はさらに怯えじりじりと後退りした。


「ええと、僕は月夜、こちらの女性は忍と言います まずは落ち着いて下さい 」


「これが落ち着いていられますか だいたい、その女の格好はなんだ 変態かっ 」


「変態なのは認めますが、この格好は現代の”くノ一”の装束 愚弄すると殺しますよ 」


「ひいぃぃーーっ 」


 男は悲鳴を上げさらに怯え始める。


「忍くん 脅してどうするんだ どうだい君もフランクにいこうじゃないか 」


 月夜は男に言いながら何か歩み寄る為の物はないかと室内を改めて見回す。室内は入ってすぐ目につく人形と、奥には虫の標本が多数置かれていた。取り敢えず人形好きのようであるから、それを話題にしようと月夜は頭から人形の知識を捻りだす。


「なかなか素晴らしいコレクションですね 僕は人形にはあまり詳しくないのですが、これはジュモーですか? 」


 忍が小さい声で、チーフ違いますよと言うが男はそれまでの怯えた表情から一変し喜々とした表情を浮かべる。


「この人形は僕が創ったんだ ジュモーを模してね 」


 男の顔に笑みが浮かび、いきなり饒舌になると人形の歴史や自分と人形との出会い、そして、ここに籠って人形を創り始めたとヒヒヒッと笑いながら延々と語り始めた。忍くん、この男もどうやら変態のようだ、君と変態同士話が合うんじゃないか、それに君は日本人形みたいな頭だし、うん、相手はまかせた。月夜は相手するのが面倒と思い、忍に丸投げした。


「あの変態さん 私も変態の忍と云いますけど お話中のところちょっといい? 」


 男は好きな人形の話の腰を折られ不服そうだったが、忍に向かってなんだいという顔をした。


「山中の小道にある自販機 あれは変態さんが設置したものですよね 」


「そうだ、あの自販機は僕が設置したんだ 別にお金に困っているわけではないけどね 折角だから多くの人に見てもらおうと思ったのさ 」


「素晴らしいですね 是非購入しようと思ったんですが、どんな人が商品を納入しているのか興味が湧いてきまして…… だってあんなに沢山の毒虫を集めるなんて普通じゃないので…… でも変態さんを見て納得です 」」


 忍は男に向かって微笑む。男も満更ではないようで、今度は毒虫について熱く語りだす。月夜は、さすが変態同士うまくいったと内心ガッツポーズをしていた。


「変態さんは、お仕事は何をされているんですか? 」


 忍が尋ねると男は、何もしていないと答え、僕は人が嫌いなんだと続けて言った。


「今はネットがあるからね ここに引き籠っていても何も不便はないし 」


「でも実際に人と話した方が楽しいと思いますけど…… 」


 忍が異議を唱えると、男はそういうのが面倒くさいんだよと言い放つ。


「まあ、忍くん 人の生き方はそれぞれだからね ところで、僕からも一ついいかな 集めた毒虫の毒はどうしている? 」


 きちんと処理していれば問題ないが、それをどうしているかが月夜の不安点だった。


「人を殺せる位に精製して保管してあるよ 」


 男は恐ろしい事を平気な顔で言いながら、机の引き出しからガラス瓶を取り出す。ガラス瓶の中には無色透明な液体が入っていた。月夜は、やれやれと肩を竦めるとそんな危険な物は処分しなければ駄目だろうと男に言い、僕が処分してあげるからと手を出した。


「あのね、僕はこの家から出ないから大丈夫 それにこれは画期的な毒だからね、処分するなんて有り得ない 」


 男は月夜の申し出をきっぱりと拒否した。


「しかし、君 そんなものを持っていると知れたら君の嫌いな面倒な事になるかもしれないぞ 」


「僕はもう何年も引き籠っているんだ 僕の事なんか知ってる人はいないよ 」


「いや でも君は自販機を設置してしまった 僕たちの様にあの自販機に興味を持つ人間が居ないとも限らない 」


「えっ 」


 月夜の言葉に初めて男が狼狽えた。


「僕たちみたいに紳士的な人ばかりとは限らないぞ 」


「そうですよ 変態さん、殺されるかも…… 」


 忍がそう言って脅かした時に、月夜がうっと声を上げゆっくりと床に倒れた。倒れた月夜の腹部から忍刀の切っ先が突き出ていた。瞬時に忍は、パッと飛び退き戦闘態勢をとる。


「変態さん、私の後ろにっ 」


 忍刀を構える忍の前に、忍び装束の男が二人現れた。


「その変態女の言う通り、殺しちまえばいいんだよ 」


 忍び装束の男は、倒れている月夜から突き刺した忍刀を抜き取り、足で蹴り上げた。月夜は力なく床をゴロゴロと転がり、忍の足元で止まった。


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