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わたプリ! ~わたしのプリン食べたの誰だゴラァ~  作者: 君子な在る虎
地味系女子はチャラ男に発掘される
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親しき中には礼儀無し

 [親しき中には礼儀無し]



 会計を済ませた菜乃介が店の外に出る。


「無知子さんと茶楽味はどこに行った?」


 キョロキョロし、辺りを見渡す。

 しかし、二人の姿はなく、ぷりんの姿もない。


「確か、こっちの方に行ったと思うんだが……」


 買い物を済ませた二人が出て行った方向に菜乃介は向かう。


 そして、しばらくして見つけることが出来た。


 ぷりんを



「んほー、これは限定プリンケーキ!!!」

 ケーキ屋のショーケースに貼り付きになっている。


「お前、何してんだ?」

 菜乃介がぷりんの背後に立ち見下ろす。


「はっ⁉ しまった、この甘い匂いにつられてしまった!」

「茶楽味の後は?」


「つけてない」

「全く何やってんだよ……」

 菜乃介は頭を抱える。


「ぐっ、卑劣な真似を、これも茶楽味の罠か!!」

「んなわけあるか! 罠もない平坦な道でつまづいただけなんだよ!」


 しかし、ぷりんはいつまでもショーケースの中のケーキを凝視している。


「ほら、いくぞ!」

 菜乃介はぷりんを引っ張るが、吸盤で張り付いたようにショーケースから離れない。


「うぉ⁉ なんじゃこりゃ⁉ どうなってんの?」


「愛する物を前にすると、人はタコにでもイカにでもなれるのさ!」

「そんな人類知らねえっ!! いいから離れろ、店の人にも迷惑だろうが!」


「ムフフ、この盗食ぷりん、獲物を前に動くことなしっ!!」

 ぷりんはドヤ顔でそう言った。


「今日のお前の獲物(ターゲット)は茶楽味だろうが!」


「あんなチャラ男、もう忘れた。私の脳内メモリはケーキ一色で染めあがった」

「少ないメモリだなっ!!」


「あー、ケーキ買ってくれたら動けるのになぁ、チラッチラッ」

「はぁ、分かったよ、このケーキをお願いします」

「かしこまりました」


 ケーキの箱を受け取り、金を払う。


「ほら」

 ケーキを渡す。


「おぉ、この恩、3歩までは覚えておくわ!」

「鶏か! お前は! そんなことより、茶楽味を探すぞ」

「はァーイ」


 それからどの店に入ったのか外から確認し、何軒も確認し、やっと二人がいる喫茶店を発見。

 しかし、お昼時で席は既に埋まっていた。


「仕方ない、外から監視するしかないな」

「こ、これは!?」


「ん? どうした?」

「ここのメニューに()()()パフェがある!」


「またか、我慢してくれ、ケーキ買ってやったろ?」

「うぅ、我慢我慢」

 そう言いつつ、ぷりんはガラスに張り付き、他のお客さんの食べるパフェを凝視する。


「お前、目立つだろうが!」

「うぐぐ、()()()が、()()()が私を呼んでいるぅ!」


「呼んでねぇ! お前の脳内が生み出した幻覚だ!」


「あのぉ、申し訳ございませんが他のお客様のご迷惑になりますので、そういった行為はご遠慮下さい」

 喫茶店から出て来た店員に注意されてしまった。


「ほら、迷惑になる、一旦離れよう」

「うぅ」

 涙を浮かべたぷりんを連れて喫茶店を離れようとした時だった。


「あれ? やっぱり、ぷりんちゃんじゃないっすか?」

「「え?」」


 振り返ると、なんと茶楽味が店外に出てきているではないか


「あ、店員さん、この人たち俺の連れっす」

「え、あ、はい、失礼しました」


 店員は軽く頭を下げ、俺たちはそのまま茶楽味たちと相席になる。


「今日は奇遇っすね、こんなとこで会うなんて」

「え、ええ」


「隣のは彼氏っすか?」

「え⁉ ああ、今はみたいなものよ」


「お試し期間的な奴すか、俺たちと一緒っすね~、(ため)カレ同士よろしくぅ~」

「あ、ああ、よろしく」


「お二人は何頼むんすか?」

「え、え~っと」

 そしてぷりんは再び、プリンパフェの方に視線が奪われ始める。


「ああ、そのパフェここの名物なんすよね~俺らも頼んだんすよ」

 すると、店員がパフェを二つ持ってやって来る。


「お待たせいたしました。()()()パフェでございます」

「おー来た来た、店員さん、これと同じのもう一つ頼むわ」

 茶楽味がパフェを持って来た店員にパフェを注文する。


「申し訳ございません。今持って来た物で最後になります」

「マジぃ⁉ ならこれ、ぷりんちゃんが食べなよ」


「え、いいの?」

「いいっていいって、俺なんかよりよっぽど食べたいっしょ?」


「ありがとう!!」

 ぷりんは一気にパフェをがっつき出す。


「(……茶楽味には普通にお礼を言うのかよ)」

 菜乃介は少し不満な顔で水を飲む。


「他にご注文はございますでしょうか?」

「ああ、じゃあこのブレンドコーヒー、ブラックで」


「かしこまりました」


「そう言えば、自己紹介がまだっしたね、俺は茶楽味(ちゃらみ)槍彦(やりひこ)って言いまーす。よろ!」

「ああ、よろしく(知ってるけど)、俺は鹿野・B・菜乃介だ」


「Bって何すか⁉ Bって⁉ もしかしてハーフとかすか?」

「ああ、母は海外種だ」


「ハーフとかマジパねぇ!」


「……(いやお前は純日本人だろ! って思うけど私ツッコみ担当じゃないからいいや)」

 菜乃介のツッコみが及ばないブラックゾーンには敢えて触れないぷりんであった。


 その後、茶楽味たちと何事もなく昼を過ごす。



「そういや、最近ここにボウリングとか出来るとこ出来たんすよ、食後の運動にどうっすか?」

 茶楽味はボウリングに誘うが、茶楽味以外ある共通点がある


「ボウリング……か、話には聞いたことあるが、行ったことないな」

「あ、あのぉ、私もないです」

「ミィートュー」


「マジ⁉ だったから経験してみるべきっしょ?」

「でも私に出来るかな?」

 無知子は不安そうな顔をする。


「大丈夫だって、俺が教えるし、何事も経験っしょ?」

「う、うん、そうだね」


「(多少強引なところもあるが、茶楽味、普通にいい奴じゃないか? ……むしろ、うちの寮のメンツと比べたら普通なくらいだ)」

 菜乃介はそう心の中で思い、人生初のボウリングに挑戦する。

この度は読んでくれてありがとうございます!

そろそろストックがなくなりつつあります。ヤバいですねぇ。

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