めっちゃ悲鳴上げたわ
ジオラルドが安全エリアを飛び出して数十分は経ったころ、それは現れたのよ……。
ズルズル……。
何かを引きずるような音がこっちにだんだんと近づいてくるのよ。
ええ、怖くて怖くて。
できるだけ奥の壁際で膝を抱えて、耳も塞いで、音が離れてくるのを待ったわ。
でも、音はまっすぐにこっちに向かってきて……。
安全エリアの入り口の前でぴたって、その音はやんだのよ。
怖くて、確かめることも出来ないでいる私だったけど、音がしなくなってから少し経って、片目で入口の方をチラって見てみたのよ。
そしたら、何もなくて。
ああ、よかったって。そう思った時だったわ。
何か生温かいものが私の頬をかすめたのよ。
「きっ、きゃーーーーーーー!!」
うん。めっちゃ悲鳴上げたわ。
「キャーキャーー!! ジオラルド! 早く戻ってきてーー!! ふえーーーん!!」
情けないかもだけど、まじ泣きですよ。
パニックに陥っている私に追い打ちを掛けるように、何かが飛び掛かってきて、私は地面に押し倒されていた。
死を覚悟したわ。
もうね、殺すなら殺せ状態で、目を瞑っていたら、近くから、「ハフハフ」って、荒い息が……。
鳥肌物ですよ……。
でも、私の上に乗っている何かは、とても軽くて……。
あっ……。
恐る恐る開けた目に映ったのは、助けを求めていた相手のジオラルドだった……。
恥ずかしい……。
でも、ジオラルドは優しい子だった。
私を慰めるように、ほっぺたをペロペロ舐めて……。
ん?
ちょっお!!
あんたが私の頬を最初に舐めたから、おど……。
んんんん?!
もしかして、あの何か引きずってるみたいな音って……。
目をよく凝らして一口の方を見ると、何かある……。
ジオラルドを見ると、「褒めて!」って感じの目で私を見てくるのよ。
うん。すべて謎は解けた!
あの音は、ジオラルドが狩った獲物を引きずっていた音だったのね。
はぁ……。驚いたわ。いろいろと。うん。寿命が減った感覚があるわ。
よし、とりあえず、ジオラルドが頑張った成果を確認しよう。
そう考えた私は、少しふらつきながらも入口の方に歩いて行って……。
うん。気絶したわ。
だって、だって!!
入口にあったのは、血だらけのウサギっぽい魔物だったんだもん!!
それに、ジオラルドがどんな風にウサギっぽい魔物と戦ったのか想像できるような傷だったんだもん!!
でも、お肉はお肉としてスーパーで売られている姿しか知らない、普通の女子高生には無理でした。
お肉になるちょっと手前の血みどろな姿は……。