表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/19

すごい、天才犬よ!!

 子犬と行動するようになって、さほどしてないうちに安全エリアと思われる開けた場所にたどり着いていた。

 なんでそう思うのかっていると、周りと全然違ったのよね。

 ダンジョンの中は、今まで通ったところは大体光っているコケが光源になっていたから薄暗かったのよね。

 でも、私たちが見つけた場所は、壁自体が白っぽく光ってて、なんか神聖な感じ?

 それに、誰かが置いたんだと思う、ベッドがデーンって感じで置かれていたのよ。

 疲れ切っていた私は、何も考えずにベッドにダイブしていた。

 子犬も疲れていたみたいで、もうすでに目がとろ~んって。

 あぁ、可愛いな~。

 良い良しと子犬の頭を撫でながら私もうとうとしているうちに、眠ってしまっていた。

 

 どのくらい寝ていたのか分からないけど、次に目が覚めた時、すごく体が軽かった。

 ぐ~って、背伸びすると体がぽきぽきなったけど、それもなんか気持ちよかった。

 こっちに来てから、ずっと縮こまっていた証拠ね。

 横を見ると、子犬も目が覚めたところで、ちっちゃなお目目をぱちぱちってさせてて、本当に可愛いのよ。

 

 とりあえず、これから私と子犬は運命共同体なんだし、今更だけど、挨拶しようと思ったのよね。

 まぁ、言葉は通じないと思うけどね。

 

「こんにちは。子犬ちゃん。私、武蔵野千夜って言うの。よろしくね。って、言ってもわかんないか?」


 独り言のようにそう言った私だけど、子犬が元気よく「わふん!」って鳴いた後に、ちっちゃなお手手で私の手をぽふんって。


「おぉ~。もしかして通じたのかも」


「わふ!」


「わお! マジで通じてる! それじゃ、さらなる自己紹介をするね。えっと、私、異世界から来た十八歳です。えっと……、オウラル王国とかいう国の聖女召喚ってので、ここ呼び出されたんだけど、私の加護が使い物にならないって、ダンジョンに捨てられたのよ……。思い出してもムカつく!! 絶対にここから出てやるんだから!! ってことで、私はこの世界のこと何も知らないから、子犬ちゃん。よろしくね?」


 私がそう言うと、子犬は、私を慰めるように手を舐めてくれた。

 う~……。やさしいぃ……。

 

「わふわふわふん!!」


 う~ん。なんていてるか分からないね。多分、子犬も私に自己紹介してるんだろうなってことは理解できた。

 だけど、犬語は分からないんだよねぇ~。

 

「子犬ちゃん。ごめんね。流石に犬語は分からないわ」


 私がそう言うと、何か考えてるみたいな感じで、子犬は私の周りをぐるぐる回っていた。

 そして、尻尾をぴーんって、させた後に地面をカリカリさせていったのよ。

 

 そして、カリカリするのを止めた子犬は、ドヤ~って感じで私を見たのよ。

 私は、床に描かれたものを見て目を丸くする。

 そこには、こちらの文字が地面に掘られていたのだから。

 

「すごい! 子犬ちゃんは、字が書けるのね。すごい、天才犬よ!! あ~、でも、残念ながら私、こっちの字は読めないのよね」


 めっちゃ子犬を褒めた後、私がそう言うと、子犬はズコーって感じでコケていた。

 うん。この子犬ただものじゃないわね。こんなにコミカルな犬はそうそういないわ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ