僕のお嫁さんになってください ※ジオラルド視点
僕は、僕のことをぎゅっと抱きしめるチヤを見上げて、その可愛さに顔がにやけそうになっていた。
幸いなことに、狼の姿ではにやけ顔など……。
いや、それでもそんなだらしない顔などチヤに向けるなんて出来ない。
それでも、可愛いチヤをついつい目で追ってしまう。
サラサラな黒髪と丸みのある大きな黒い瞳。長い睫毛。小作りな顔のパーツは、完璧な配置だ。
小さく華奢な体と白い肌。
笑うと可愛いし、声も可愛い。
まさに僕の理想の女の子だ。
さらに積極的に僕にキスをしてくれる……。
うん。子狼だからね。
だけど、チヤの力なら僕の呪いを解いてくれるかもしれない。
そう思うと、元気が出てくる。
人間の姿に戻ったら、チヤをめちゃくちゃ可愛がってあげたい。
抱っこして、キスして……それ以上だってしたい。
だけど、今は子狼の姿だから、煩悩は抑えるようにしなくちゃ。
そんなことを考えながら、旅支度のために入った店で、チヤに服や小物、それを入れるマジックバックを買ってあげる。
チヤは、僕が下した金額について正直ピンと来ていないみたいで助かった。
ここで暮らすなら、五百ギルあれば十年間は贅沢三昧できるが額だ。
これを使って、マジックバックを始め、様々なものをプレゼントする。
チヤは、気が付いていないみたいだけど、マジックバックは高級品で、小さな家ならこれ一個の金額で余裕で買えるくらいだ。
そして、チヤに似合う服を複数枚購入する。
僕が守るから大丈夫だけど、念のため防御結界の施されたアクセサリーも購入した。
うん。完璧だ。
今までチヤが着ていた裾の短いスカートもいいけど、新しく購入したワンピースも可愛い。
白地に花の刺繍の施された清楚な感じのワンピースだ。
すれ違う男どもが僕のチヤに鼻の下を伸ばすのは不愉快だが、可愛いチヤを見てそうならない男はこの世に存在しないと思うから仕方ないと諦めよう。
ただし、邪な思いで近づこうものなら噛み殺してやるからな!
僕がそんなことを考えているなんて全く知らないだろうチヤは、可愛い顔で僕に気軽にキスしてくる。
嬉しいけど、困るよ。
だけど、中津国に着いたらチヤに相談してみよう。
ここで呪いを解くのは得策じゃないからね。
僕の本来の姿は目立つから、仕方ない。
今は、チヤの柔らかい胸の中に抱かれているしかない。
うん。仕方ないことだから。
元の姿に戻ったら、チヤに好きだと言って、プロポーズしよう。
一目ぼれだって、僕のお嫁さんになってくださいって。




