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もふもふ、ちゅっちゅっ

 生肉を前にして、私は火がないことで、お肉が食べられないとがっくりと膝を付いていた。

 でも、ジオラルドは、生でも?

 そんなことを考えつつ、ジオラルドにお肉を上げようとしたら、ぷいってされてしまった。

 あ~、うん。火を通した方がいいのね。

 

「はぁ。ここって、魔法ありの世界なんだよね? 何でもいいから火、出ないかなぁ? ジオラルドは、火、出せる?」


 私がそう言うと、ジオラルドは、プルプルと頭を横に振っていた。

 だよね。そもそも、火を付けられるような魔法が使えたら、ジオラルドは、一人でダンジョンを生き延びれたはずで、私に捨てられた子犬のような眼差しをするはずがないのよ。

 でも、ほら、ワンチャンあることに私は賭けるよ。

 

「ほら、ジオラルドには何か隠れた能力があったりして、厳しいダンジョン生活でその力が目覚めた的な? ほらほら、ここに火を! ジオラルド頑張って! 君はやればできる子だよ!」


 ジオラルドにそう言って、何かのはずみで火が付かないかなぁなんて、思っていたら……。

 うん。なんか肉燃えてるね……。

 えーーーーー?!

 

「ジオラルド! 君凄いよ!! ジオラルド、すきーーー」


 奇跡を起こしたジオラルド、を抱き上げてその鼻先にキスしまくる。

 ついでに、もふもふ。

 はぁ、癒されるわ~。

 ジオラルドをもふもふ、ちゅっちゅっ、していたら、肉球でほっぺたをもにゅってされた。

 うん。ごめんなさい。暴走気味でした。

 少しして、お肉はいい感じにこんがりと焼けていた。

 そして、良い匂いが。

 お肉を半分に切るような道具はないので、不格好ではあるけど手で半分にちぎった。

 大き目な方をジオラルドの前において、二人同時に謎の現象で焼きあがったお肉を食べる。

 

「~~~~~~~~!!」


 ナニコレ、メチャ美味しい……。

 ただ焼いただけなのに、味付けもしてないのに。

 噛んだ瞬間に広がる、香ばしい肉の香りと、溢れる肉汁、でも歯で簡単にほろほろと肉は溶けていく。

 全然生臭くも、獣臭くも無く、すごくジューシーで美味しい……。

 

「おいひぃ……。はぐはぐはぐ!!」


「わふん!!」


 ダンジョン産のお肉は、調理加工済みのお肉だったことに私は驚かないよ。

 だって、ここは魔法ありの異世界なんだもんね!

 そうだ、それなら……。

 

「ここが何でもありな異世界っていうなら……。子狼がしゃべれるようになるのも可能なのでは?」


 うん。私、すごく疲れていたんだと思うよ。

 でも、この時は、本当にすごくいいアイデアが浮かんだって、本気で思ったんだもん!!

 

「ジオラルド! 頑張って、人の言葉をしゃべれるようになって! 今までいろいろと奇跡を起こしてきた君ならできる! そうしたら、意思疎通が楽になるし、話し相手がいると私が嬉しい! だから、人の言葉を話せるように練習しよう! 頑張れジオラルド! フレーフレー!」


 そんな能天気な発言をしながら、ジオラルドを抱き上げてそのお腹をわしゃわしゃとして構い倒す。

 ついでとばかりに、お腹の柔らかい毛に顔を埋めて、「癒される~」なんてしていたら……。

 

『やめろぉ~』


 ん? 何か声が?



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