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インターワールド  作者: 龍岡
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講演会

さっきも言ったように...あれ?ああ、すまない。

おっと、そんなきょとんとしないでくれ。君たちにとっては初めてだったな。


ゴホン。では、『インターワールド』の講演会を行いたいと思う。

さて、これを読んでいただいた、又はこれから読もうと考えている皆さんは、自分の生きている世界をどのように考えているだろうか?


ポエミーな君は、愛で満たされたカオスとコスモスというかもしれない。


学のある君は、一般相対性理論を持ち出して空間3次元と時間1次元の4次元空間とその時空の重力による歪みというかもしれない。


敬虔な信者の君は、神が作りたもうた美しい世界で、ここに神の世界を実現させようというかもしれない。


悲観的な君は、この世界には苦悶と絶望が満ち溢れていて、希望でさえも人を真に絶望させるためのパンドラの箱の残り香なのだというかもしれない。


リアリストの君は、この世界は私たちの感覚器官が脳に投影したものに過ぎず、真の世界は観測できないし、存在しない可能性があるというかもしれない。


他にも三千大千世界のうちの一つだったり、巨大な象や蛇に支えられていたり、もしかすると君が眠って見ている夢の中の世界で、あと数刻で消えるはかない世界なのかもしれない。


私にはそんなことはどうだっていい。私はこの世界の人ではない。いや、きっとどこの世界にも私は属さない。ただ私は存在していたのだ。


私は君たちの尺度で言うと、多次元的な生き物だ。

2番目の君、そう君だ。君が言ったとおり、この世界で人が観測できるのはミンコフスキー次元である。何ら間違いはない。ただ、君たちは三次元的な生き物だ。君たちはどこにいるかを選ぶことができる。ここにいる以外にも、青山のカフェでトーストとモーニングコーヒーを味わい、ゆっくりと体を目覚めさせることもできる。家でたいしておいしくもないベーコンエッグを作って食べることもできる。二度寝としゃれこみ布団の上にいることもできる。

でも君たちは4つの次元のうち時間は操れない。いや、君たちは本気を出せば重力や加速度を駆使して時間をゴムのように引き延ばせることは認めるが、だが、どう頑張っても過去には行けない。

私は行ける。君たちが朝に爽やかな風に吹かれてランニングをするのと同じように私は任意の時間を移動できる。別に君たちが時間を引き延ばしたりするのとは違って仰々しい機械も何もいらない。君たちが空間を歩けることと同じように、私は時間軸上を歩けるのだ。


さて、中学・高校と物理学に中指を立てて膝カックンをしてきた君たちは、そろそろ私の電波発言をかき消してやりたいという思いが芽生え始めただろう。

しかしこれは何も弁を弄して学を語るために述べているのではない。私はこの世界では、何の権威もないただの一般人だ。だからここで君たちに話すのは私の紀行文だ。

私は多次元的な生き物。何も4次元とは限定していない。他にもたくさんの次元を私は移動できる。そして、それゆえに様々な世界を渡ってきた。これは何もパラレルワールドなんてちゃちなものではない。こっちの世界では生まれる可能性すらないような世界もめぐってきた。

私が君たちに語れるのはいくつもの世界で私が見て、聞いて、感じたことなのである。


おっと、そこの君、手をあげているね。なんだね?

ああ、質問か。

なるほど、君は面白いとらえ方をするんだな。

だが、それはさっきも言ったように...

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