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男装の麗人

王太子のお下がりは、長さはちょうどいいのだが、シャツの胸が苦しくズボンのウエストはがばがばだった。

まぁでも胸はベストと胸元のフリルで何とかごまかせそうだし、ズボンもベルトで締めてしまえば問題無さそうでよかった。

他にも数着選んで、今日着ない分は侍女達が胸元とウエストを出来るかぎり補正してくれるそうだ。

王太子には新しいものを買ってもいいと言われたが、補正で十分なので代わりに布の多いドレスを数着作って貰うことにした。

レオンのお披露目の式典までに、何としても胸の隠れるドレスを作って貰わなくては……まだ3ヶ月先なので何とかなるだろう。


着替えが済むと侍女に髪を巻かれそうになったので断ると、さすがに王太子妃としてそれはちょっと……等とぶつぶつ言われ、仕方無く毛先だけ巻いてポニーテールにして貰った。

前髪も1房垂らされ、男装とあいまって無駄に色気が出てしまった気がする……

ストレートのままもっと低い位置で結んで欲しかったのに……等とクリスティーナが不満に思っていると、今度は化粧をしこたまされそうになった。

「レオンが触るといけないから!」ともっともな言い訳をして逃げようと試みたが、以前のクリスティーナは本当にレオンを溺愛していたようで、天然素材の子供が触れても大丈夫な化粧品が揃っていた……

仕方が無いので、男装だし華美にしすぎず控え目な感じでお願いした。完成した姿は男装の麗人とは程遠く……何故か色気倍増となってしまった。

とは言え、布の多さとズボンにクリスティーナは大満足だった。王太子は、これはこれでまた……等と朝っぱらから不埒なことを考えていた。


朝食を済ませると、医師団がクリスティーナの部屋にやって来た。クリスティーナの服装を見て驚いていたが、記憶が無くなったのであまり肌を出し過ぎるドレスに抵抗があって……と言うと、今までの露出狂の様なドレス姿を知っているからかあっさり納得された。

魔法の使い方を練習してもいいか確認すると「まだ昨日目覚めたばかりで体力が回復していないので、短時間にするようにしてください」との事だったので、午前中少しだけ習うことに決定した。

王太子は勝手に仕事を休むつもりでいたようだが、側近のエヴァンに怒られ午前中だけ休みを取ることにしたようだ。別に王太子自ら教えてくれなくてもいいのだが……

エヴァンはクリスティーナの服装に驚いていたが、これはこれでまた……と呟き、王太子に「見るな!」と心の狭い命令をされることとなった。


室内で魔法の練習をするのは危ないからと、中庭に出ることにした。レオンは置いていく予定だったのだが、離れたくないとばかりに激しく泣いたので、結局王太子が抱いて連れて行くことになった。

初めての抱っこにしてはぎこちなさも無く、レオンも大人しく抱かれてうとうとしていた。

王太子の抱っこ姿が珍しいのか、道中出会う騎士や侍女達がみんな目を丸くしているとクリスティーナは必死に笑いを堪えていた。

だが実際はクリスティーナの妖艶な姿にみんな見とれていたのだった。余談だが、その後騎士の間で恋人や妻に自分の服を着せてイチャイチャすることが流行ったのだとか……


中庭に着くと、まず魔法の使い方のイメージを王太子が教えてくれた。体の中の魔力を感じ取り、放出するイメージと言われても中々ピンと来なかった……

はじめのうちはそんなものだと言って、王太子は指輪を取り出してクリスティーナの小指にはめた。

まるで結婚式の指輪交換みたいだな……と一瞬ゾッとしたクリスティーナだったが、不思議なことに指輪を通して魔力の流れが感じられるような気がした。


「これは練習用の指輪なんだ。魔法を習い始めた子供達がつけるものなのだが……どうだ?魔力の流れを感じるか?」


「はい、何だか不思議な感じがします!」


「では、この指輪から魔力を放出させるイメージでもう一度やってみるんだ。」


そう言って後ろから抱き締めるように片手は腰、もう片方の手は指輪をはめた手を包み込むようにされた……クリスティーナは一瞬で全身に鳥肌が立ったが、目をつぶり集中し直して体の中で流れを感じる魔力を指輪の方に移動させ、一気に押し出した。

目を開けると、夏なのに一面の雪景色……ならぬ氷付けとなってしまっていた。

耳元で笑い声が聞こえてゾゾッとしたが、王太子が軽く腕を振ると元の景色に戻って驚いた。

そう言えば王太子はこの国で一番の魔法使いだったな~、たんなるむっつりスケベじゃなかったんだな~……等と初めて尊敬の気持ちが生まれたような……生まれなかったような……

素直に尊敬出来ないのは、おそらくクリスティーナの腰に回した手がわさわさと不埒な動きをしていたからだろう……安定のむっつりである。

その時、レオンが泣き出した。見ると困り顔の乳母に抱かれて泣いているようだ……


「あの乳母はちょっときな臭いな……確か中々決まらなかったと昨日侍女が言っていたな……少し調べる必要がありそうだ。

はっきりするまで乳母とレオンを2人きりにしないように出来るか?」


「え?……乳母が何かするかもしれないと言うことですか?レオンは大丈夫なんでしょうか?」


クリスティーナは腰で不埒に動く王太子の手の事を忘れ、不安でいっぱいになった。

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