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プロローグ 「唐突に始まる世界と死」



――彼の胸にそれは突き立っていた。



元は銀色の円錐形をした鋭利なものだろう。



今は赤黒い液体で染まっている。



周りに響く声が、音が遠ざかる。


薄らぐ視界に、羽の生えた騎士たちが声を荒げている姿が映る。




そんなこと……あるわけない。




けたたましい雄たけびがあがると、得物である爪が引き抜かれた。



濃淡入り混じった血が、勢いよく空に舞い上がる。





…………ああ。





そんな……そんな。





いきなり飛ばされた『異世界』で……俺はこんなあっけなく終わるのか……。




少年の意識は、赤い空に溶けるように消えて行った……。

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