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1巻 エピローグ

エピローグってこれで終わりではないのでご安心くださいw

分量的に1巻くらいかななので区切りです。閑話をはさんで2巻?へお話は続きます。

 私はメルセデスに10万ガルを黒真珠を売った代金として支払った。メルセデスは黙って私を自分の派閥に入れてくれた。それが約束だったからそれを守ったのだろう。


「ミコちゃん、よかったちゃ~。これでまたいつも一緒だっちゃ~」

 訛りが取れたジータと一緒にメルセデスに仕えることとなった。私も大部屋所属プティから、ロイヤルレディ付きのエレガントプティになったのだ。

だが、これでめでたしめでたしではなかった。


 アンドレが黒真珠のネックレスを買ってくれた日から、1週間たったある日。メルセデスが新聞を見せてきた。

「ミコト、あんた貴族の少年にあのネックレスを買ってもらったそうじゃが、それで自分がラッキーだななんて思っていないじゃろうなあ」

「ラッキーとは思ってないけど、苦労知らずの馬鹿なお坊ちゃまのおかげとは思っています」

 私はそう正直に答えた。メルセデスはくすくすと笑っている。そして、新聞を丸めると私の頭をポンポンと叩いた。


「男は少年と言えど、油断をするでない。油断をすれば、主導権を握られるだけじゃ。お前はあの少年うまくに利用されたようじゃのう……。生意気なお主にはいい薬だ」

「はあ?」

 私は新聞を開いた。あのアンドレ坊ちゃんが出ている。


(何々……黒真珠ブームの立役者?)

 記事を読んでいた私はプルプルと手を震わせた。あの黒真珠のネックレスを100万ガルという破格の値段で買った馬鹿な少年だと思っていたが、大きな間違いであった。


「貴族社会で広がった黒真珠ブームで、黒真珠が高騰。産出地にいち早く投資していたカッシーニ公爵は莫大な富を得るですって!」

 アンドレという少年。私を宣伝効果に使い、100万で買った黒真珠を王室主催パーティで王妃に付けてもらったらしい。これで伝説に拍車がかかった。貴族令嬢、夫人が争って買い求め、このブームは金持ちの市民にも波及したという。


 需要と供給の関係が変われば、値段は高騰する。あの私が売り払った黒真珠のネックレスは300万ガルで王室が買い上げたという。産地に投資して独占したアンドレは大儲けしていると新聞には書いてあった。


「て、天才……投資家……アンドレ少年。またしても大成功。どこまで伸びる巨万の富!」

(やられた~)


 どうやら、私は彼に踏み台にされたようだ。

「よいかミコト、男とは女を踏み台にして成り上がる生き物じゃ。心を許せばすべてを失うものじゃ……」

「はあ……そういうメルセデス姉さまは常連客の中でも、特定のお方には心を許しているようにお見受けしますが」


 メルセデスには常連の太い客が15人もいる。その中でも1人の青年将校には態度が違うようだ。もちろん、一流の遊女であるメルセデスはそれを他の客にも周りにも感じさせないが、私には分かる。あのファルツ帝国の若き将軍バーンハート中将である。


「ミコト、お前は本当に年相応じゃない生意気な子供じゃ。いいじゃろう。お前なら少しは理解できるじゃろう。わちきも将来のことは見据えておる。それは男に養ってもらうものではない。寄り添った男を一流にするための人生じゃ。お前もそういう男を探すようにせよ」


「男を一流に……」

「そうじゃ。この世界には男を一流にする英雄の女というものが存在する。英雄の女がいなくては歴史に名を遺す英雄というものは存在しないのじゃ」


「英雄の女……?」

 歴史上に名を遺すのは男が多い。女よりも圧倒的に男だ。しかし、その男が歴史に名を遺す所業を行うにはその陰で支えた女がいることがある。男が疲れた時に癒し、励まし、時には適切な助言を行う。歴史に名前は刻まれないが、女の存在は歴史を変えるのに大きな力となっている。


「英雄の女になるためには、自分を極限のまで磨かねばならぬ。それとて、資質と運がなければ無理じゃ。お前はどうじゃろう……くくっ……」


 メルセデスは笑った。私を見下すような笑いだ。

「あの公爵のぼっちゃんに踏み台にされるようでは、無理じゃのう。せいぜい、悪い男にひっかからないことじゃ」

(ふん……大きなお世話よ!)


 私は心の中で悪態をついた。一応、当面の師匠としたメルセデスであったが、この女のことが分からない。ただ、この桜蘭亭でトップを維持してる実力は認めないといけない。


「これ、皆の者。時間じゃ。亭主様と出資者の皆様方がお待ちになっておる」

 そうメルセデスは自分の派閥の妹たちに命じた。みんなメルセデスが用意した美しいドレスで着飾っている。私もジータと一緒にその派閥の末席に座っている。


 桜蘭亭の広間には、亭主のオーボエとエンリエッタ。そして、仮面をつけた7人の人間が待っていた。右にはこの桜蘭亭のナンバー2であるコーデリアとその派閥の妹たちが着飾って待機している。

 私がお仕置きで頭を虎刈りにした2人のプリンシパルは、長い髪を結って帽子をかぶっている。どうやら、この時のためにカツラを用意したようだ。


「みんな揃ったようだね。これより、出資屋の7人衆の皆様をお迎えして、この伝統ある桜蘭亭のシュバリエを決める儀式を執り行う。メルセデス、コーデリア。お前たちはシュバリエ候補として認められた。これより、1か月間。シュバリエの地位をかけて勝負してもらう」


 そうエンリエッタが宣言した。


 伝統ある妓楼のみ許される遊女の最高位シュバリエ。

 それを決める5番勝負、クイーンズゲートの開催が宣言されたのである。


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