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魔法のしくみ

(それにしても、もう一つの疑問は……)


それはジータの頭の上に青い宝石がくるくると回転していること。よく見ると、部屋で寝ている他の女子も名前と年齢と同じように青い宝石がくるくるしている。

中には赤い宝石の場合もある。そういう女の子の場合は、年齢が16歳だったり、18歳だったり……。


「神様、名前や年齢、魔法耐性などの数値はわかるけど、くるくる回っている宝石はなに?」

「ああ、それはあっちの経験があるかないかで決まるのだ」

「あ、あっちの経験?」

「男じゃ。男と交わると赤く変化する」

「は?」


 私に顔を徐々に赤くなる。つまり、処女だったら青いが、非処女だと赤く変化するというのだ。自分はと見ると当然ながら青い。

あたりまえでしょう。現在の私は8歳という設定ですから。


(なんでもいいけど……何だか恥ずかしいのですけど……)


 元の世界の私であっても宝石は青かったけれど、私が恥ずかしいと言ったのは宝石の色ではなく、そういうことがこんな状態で判別されるということに対して。


今の場合、青いことは恥ずかしいことではない。むしろ、多数派で誇らしい。

ここに集められた女の子の中では、赤い宝石は圧倒的に少ない。これが逆だったら青い方が恥ずかしいのだけれど、人間、やはり多数の方が落ち着くというもの。

 

ちなみに私のステータスを見た。


ミコト 奴隷少女{傾国の美女(笑)}8歳 魔力∞ 攻撃力9999 防御力9999


(おーい。ここに天才魔法使い(ウィザード)&最強戦士がいますよ~。というか、なんですか、この設定。奴隷少女(傾国の美女(笑)ってふざけんな!)


(そして魔法力∞てなんでしょう。この力を使えればこの世界では無敵なんでしょうか?)


 私の頭の周辺には『?』の文字が大量に現れる。これって私は無敵チート持ちってことでしょうか。


「お前は魔力はとてつもなくあるが、魔法がなんでも使えるわけではない」


 そう言って神様はこの世界の魔法の仕組みを教えてくれた。


 魔法は大きく3つの要素で成り立つ。一つは術者の魔力。これは魔法の威力や使用回数に関わる。銃で言えば『弾丸』にあたる。魔力が無限大という私の場合、その弾数が無限ということになる。


(ヤッホー、ロケットランチャー無限、マグナム無限の無双プレイじゃん!)


 ところが、2つ目を聞いて私の表情は曇った。その魔力を使うためには道具がいるというのだ。それも魔法の杖でもあるのかと思ったら、何だと思います?


『筆』と『墨汁』


 筆と墨汁ですって。

 これは驚き。

 予想外。

 何という意外な設定!


 筆は動物の毛で作られたもの。使う魔法のレベルによって、材質が違うらしく、一般で使われているノーマルランクの筆は山羊や馬の毛で作られている。墨汁は一般的には松の木や菜種油を燃やして集めた煤と膠を練って作った墨から作ったもの。これも伝説の木やら高品質な膠が使われると魔法の効果が違うらしい。


 そして3つ目は魔法の種類を決める文字。決められた文字を書くことで魔法が発動するというもの。


(はあ……神様、全く意味が分かりません)


 頭脳明晰な私でも神様の説明だけでは理解が不能。困った顔の私を見て神様はこう言った。


「試しに使ってみるがよい。まずは、人差し指で空中に四角か円を一筆で描きなさい」

「はあ?」


 私は自分の目の前で人差し指を動かした。特に何も起こらない。


「何も起きないのですけど?」

「当たり前じゃ、今のは練習じゃ。次は『我、記せし世界を欲する』と言いながら行うのじゃ」

「何ですか、その中二病設定は?」

「いいから、やるのじゃ」


 恥ずかしいからやりたくなかったけど、やらないと神様が怒りそうなので試してみた。


「我、記せし世界を欲する」


 するとどうだろう。

私の目の前に指で空間に書いた場所に、白い紙みたいなものが現れた。

「わっ、びっくり!」

「それが魔紙と呼ばれるものじゃ」

「魔紙ですか?」

「人間はMOPとも呼んでいる」

「MOP?」

「マジック・オブ・ペーパー」

(やっぱり神様、欧米ですか!)


 心の中で突っ込む私に神様は、筆と墨汁の入った器をくれる。


「これで魔紙に文字を書くのじゃ。文字は魔字と呼ばれる太古の言葉を文字にしたものである」

「はあ……太古の文字ね」

「これじゃ!」


 神様が乗り移ったジータが私に見せた紙切れ。そこには神様が言う『太古の文字』が書かれていた。


『眠』

「あの……」

「なんじゃ、ミコトよ?」

「漢字なんですけど……太古の文字って煽っていて、漢字ですか?」


 私はあきれてそう言った。でも、神様は全然ひるんでいない。


「漢字ではない。断じてない。この世界では魔字まじである」

「その設定、マジですか?」

「おちょくるでない。とにかく、漢字ではない。二度と言うな」


 神様、怒ったようだ。空気が読める私はそれを軽くいなすことにする。


「はい、魔字ですね。そういうことにしておきましょう」

「と、とにかく、出現した魔紙に『眠』と書け」

「はいはい……」


 私はさらさらと魔筆と呼ばれる、どう見ても書道で使う筆で字を書いた。さすが私。8歳にして超達筆な文字。


 そりゃそうでしょう。生まれ変わる前の私は、書道で文部科学大臣賞受賞の腕前だったのですから。

 空中に浮かんだ魔紙とやらに『眠』と刻まれる。


「書いたら、対象に向かって右手で弾くのじゃ」

「うるさいわね……話し声で眠れないわ!」


 むくむくと起き上がった黒い影。どうやら、私とジータの話声に起きてしまった女の子。私は目の前の魔紙をその女の子にむかって弾いた。紙は弾けて飛び散った。


するとどうだろう。

その女の子はそのまま倒れて寝てしまったのだ。


「どうだ。これが『眠』……相手を眠らせる魔法じゃ。『眠』なら対象一人を眠らせる。上位魔法、『快眠』なら複数を眠らせる」

「なるほど……文字で魔法が使えるというわけですか」

「そうじゃ。お前の魔力ならどんな魔法も使えよう。しかし、その筆と墨汁では初級の魔法しか発動しない」

「あの神様、ここは最初からチートな道具も与えてですね。課題を一挙にクリアさせた方が面倒臭くないんじゃないですか?」


 私はそう抗議した。魔力は無限大なのに道具がしょぼ過ぎて弱いんじゃお話にならない。つまり、弾数は無限で破壊力満点の弾丸があるのに、撃つ銃がしょぼくて破壊力が発揮できないというわけだ。ここは今流行りのお気楽展開にしてもらわないと話が進まない。


「そういうわけにはいかないのじゃ。人間というものは試練を乗り越えることで成長する。傾国の美女になるためには、楽な展開であってはいけないのだ」

「そういうものですか?」


 神様の言っていることは納得できそうでできない。確かにゲームでは序盤はチープなアイテムでコツコツやるのが面白いかもしれない。だけど、現実に行うものにとっては、命もかかっている。3週目、4週目プレイのご褒美チートアイテムで参加したい。


 そもそも転生というものは、そういう3週目、4週目プレイみたいなものだ。神様のご加護でノーストレス無双プレイがいいに決まっている。


「お前もノーストレス無双じゃつまらんじゃろ」

(いやいや、ノーストレス無双がいいんですよ。それじゃないと受けないです。というか、神様、私の心の中を読めるんですか!)


「心配するな、さすがの我でも、お前の思考は全部は読めない」

「読めるんじゃないですか、神様のエッチ」


 思考が読まれるほど気持ち悪いものはない。というか、丸裸にされた気分で実に恥ずかしい。

(くそ!)


 私は頭の中でこれ以上ないほどのスケベな映像を思い浮かべた。ネット漫画で見たあんなことやこんなこと……。


「うええええええっ……」


 ジータが吐きそうになった。私の頭の中を読んで神様が気持ち悪くなったらしい。



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