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約束




 数日かかった撮影が無事に終わった。

 スポンサーのOKも出て、春、オンエアされる。

 心は晴れやかなはずなのに秀一の言葉が頭に焼き付いていた。


 隼人は企画から外した。


 あの日から一か月ほど過ぎた。大学が忙しい上にアルバイトも始めたので、隼人と会う事が出来なかった。連絡しても返事はなく、声も聞くことも出来ない日々が続いた。


 誕生日プレゼントのために始めた事が裏目に出てしまった。

 そんなに陸が芸能活動をするのは嫌だったのだろうか。

 とにかく、隼人と話がしたい。



 仕事で得た報酬は先ほど志垣から連絡を受けて銀行で下ろして来た。そのお金ですぐに旅行代理店へ行き、チケットを買った。

 このためにがんばってきたのだ。

 隼人に想いを伝えるためにも、プレゼントを渡したかった。

 このチケットで仲直りができたらいいな。

 陸はチケットを大事にバッグにしまった。


 一か月ぶりに隼人に電話をかける。出てくれるか不安もあったが、何度鳴らしても出てくれない。

 陸は青ざめた。

 もしかして、もう、会ってくれないのだろうか。

 かけ直そうとした時、


『はい…』


 と、低い声で隼人が出た。陸はほっとしながらも、心臓が止まりそうなほどドキドキした。


「あ、あの、俺だけど元気?」

『さあな…』


 く、暗い。

 タイミングが悪かったのだろうか。

 もしかしたら、本当に会いたくないのかもしれない。


 そう思うと恐怖で電話を切ってしまいそうになったが、これ以上、先延ばしにしてはいけない気がした。


「い、今から会いに行ってもいいかな」


 おそるおそる尋ねると、好きにしろよ、と投げやりな返事だった。

 陸はぎゅっと携帯電話を握りしめた。ごめんと謝って切ってしまおうかと思ったが、やはり、好きな人に会いたかった。


「じゃあ、今から行くからっ」


 そう言って電話を切る。その足で駅に向かい電車に乗った。いつもの駅で降りる。

 足が重くなかなか前に進めなかった。

 ようやくマンションにたどり着いた。久しぶりの隼人のマンション。

 見上げるとため息が出た。


 自分にとって隼人は特別な人だ。でも、向こうからすれば、ただの体だけの関係。

 もしかすると自分はプレゼントを渡せる立場じゃないのかもしれない。

 旅行に誘ったら、迷惑なだけかもしれない。


 エントランスの前で大きく息を吐いた。



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