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42 今日から後期課程の訓練です!


「セイジよ。貴様はなぜ訓練学校では午前中に実技の授業が行われないかわかるか。ん?」


 朝一番の点呼を終えて寄宿舎に戻って来た時の事だ。

 授業のために身支度を整えるべく、おもむろに服を脱ぎだしたシャブリナさんがそんな質問をした。


「……どうしてって。うーん、そりゃ午前中に激しく体を動かしたら午後まで体力が持たないからね」

「なるほど、そういう考え方もあるか。ふむ」

「ヘトヘトに疲れて講義の時間に寝てしまう生徒が続出するんじゃないかな」


 部屋着代わりのキャミソールを脱ぎ捨てると、大きくてたわわな胸がこれでもかと激しく暴れて眼を奪われた。

 近頃、冒険者の間で流行っているという下着を兼ねた防具、マイクロビキニアーマーとうのがとてもエッチで僕を際どい気分にさせる。

 見ちゃだめだ、見ちゃだめだ!


「けれどもシャブリナさん、規則正しい訓練ばかりをやっていましても、体がそれに慣れてしまうのではないんですの? あえてルーチンを崩して様々な状況に対応できる体力づくりをした方が、冒険者として即戦力が身に付くと思いますのに」


 そんな私見を口に挟んだのは、シャブリナさんと反対側でタイツをいそいそと履いているドイヒーさんである。

 タイツを履き終えてふうと背筋を伸ばせば、形のよいお胸がぷるんと天を突きあげる。

 パン屋の看板娘だからじゃないだろうけど、シャブリナさんよりちょっぴり控えめなお胸はまるで丸パンをふたつ乗せた様な美しい形をしていた。

 いいね!


「そういうやり方も、訓練学校の後期課程ではやるそうだな」

「今日からは後期課程という事でしたわね。基礎訓練が終わって、いよいよ本格的なダンジョン実地訓練が始まるとか。わたくしの活躍をクラスメイトに見せつける日も近いという事ですわ。おーっほっほっほ!」

「その点、わたしたちはすでにダンジョン攻略の経験があるからな、その点は他の訓練生よりは心に幾らも余裕がある」


 体力づくりと基礎的な座学を終えれば、ドイヒーさん曰くいよいよ実技中心の訓練になる。

 後期課程では実際にダンジョン経験がカリキュラムに組まれていたり、あるいはそれぞれのジョブにわかれて専門的な座学も身に着けるらしい。


 そんなこれからの授業風景を想像したのか、シスター服に袖を通していたティクンちゃんがビクンと背筋をしならせた後に振り返った。


「あのう、セイジくん?」

「どうしたのティクンちゃん」

「選択授業になると、わたしたちは別々の訓練を受ける事になるのでしょうか?」


 そういう事になるね。

 僕のジョブは荷物持ち(ポーター)だから、支援職の選択授業だ。

 シャブリナさんはタンカー職だから前衛アタッカーの選択科目だし、ドイヒーさんは魔法使いとして後衛アタッカーの授業選択だろう。


「みんな別々に授業受けるんですね」

「ああ。確かにそうなるのか」

「ちょっと、寂しいです……」


 もちろんティクンちゃんは、また別の回復職の授業に参加しなければいけないから、結果的にメンバー全員がバラバラになるのだ。

 シスター服の下だけ履いていないモジャモジャ少女が上目遣いにそう言って、ようやくその事に気が付いた。


「しまった! これではわたしとセイジが生き別れになってしまうではないか!」

「当然そうなりますわね。これでしばらくあなたの口うるさい嫌味を耳にしなくて済むと思えば、清々いたしますわっ」

「ぐぬぬ。しかしこれも、将来を誓い合ったわたしとセイジのこれからのためだ。セイジよ、貴様はわたしがいなくても、立派な大人になるんだぞッ」


 ひとりで激しい感情を発露したシャブリナさんが、ズボンを履き替えようとしてた僕にいきなり飛びついてくるものだから、もつれ合う様にして寝台に押し倒されてしまう。


「ぶはっシャブリナさん苦しい。息が出来ないよ……」

「大丈夫だぞセイジ、息が詰まったらマウストゥマウスで人工呼吸をしてやるからな。チッスミー!」

「落ち着きなさいなシャブリナさん! 授業に遅れますわよ?!」


 暴れるシャブリナさんを、ドイヒーさんが叱責する。

 手に入れたばかりの硬くて赤黒い魔法のアイアンステッキの持ち手を、器用にシャブリナさんの首根っこに引っかけようとしたのだ。


「馬鹿め、にわか仕込みの体術に屈するわたしではないッ」

「ヒャアア、何をなさいますの?!」


 けれどドイヒーさんの攻撃は失敗し、あべこべにシャブリナさんが腕を掴んで寝台に引きずり倒すではないか。

 僕たちは団子になっておしくら饅頭だ。

 一番下になっていた僕なんかは、爆乳と美乳に揉み潰される様な結果になって窒息しかけた。


「み、みんなずるいですっ。そのう、わたしも……えい!」


 そんなシャブリナさんとドイヒーさんに触発されたのだろうか。

 お胸とお胸、お肌とお肌の摩擦でおちんぎんに似た何かが元気になりはじめた丁度その頃、下半身丸出しのモジャモジャ少女が寝台にダイブしてきたのだ!


「ギャフン!」

「せ、セイジが潰れた蛙みたいな悲鳴を上げたぞッ」

「こういう時はマウストゥマウスですわね?!」

「そのう、わたし回復魔法が出来ます!!」


 あ、ふとももにジョリっとした感触が伝わったけれども、これはモジャモジャかな?

 そうじゃないです! 早くどいて!

 早く助けてくれないと僕の意識が遠のいてしまう!!


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