表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/123

37 衝撃で爆発反応する下着です!

コミックマーケット91で頒布した「同人版ダンジョンはいいぞ!」収録内容になります!

 ある日訓練学校での課業を終えた午後の事。

 僕らに割り当てられた寄宿舎の部屋に、ドイヒーさんが息を切らしながら飛び込んできたのだ。


「シャブリナさん、購買部に新しい下着が入荷したそうですわよ!」

「なに、それは本当かドイヒー?!」

「ええ、もちろん本当の事ですのよ。普通の下着でありながら、予備の防具として鎧の補助や、色の種類にあわせて効能があるとか小耳には挟みましたの。攻撃力強化や防御態勢アップなど、色に合わせて選びたい放題ですわッ」

「それは冒険者にとって願ってもない下着だが、問題はデザインだ」

「ぜひ行って確かめなくてはなりませんわね。ちなみに一定の耐久値に達したら、爆発反応して衝撃を吹き飛ばす優れモノなのだそうですわ!」

「面白い、良いデザインがあるうちに買い占めなければならない。さあ善は急げ!」

「フンフン」


 普段は顔を突き合せれば口論になるシャブリナさんとドイヒーさんが、今日に限っては意気投合して、そそくさと購買部に向けて部屋を飛び出していく。


「下着が爆発するって、危なくないのかな。ねえ……って、あれ。ティクンちゃん?」


 部屋の隅で聖なる経典を読んでいたはずのモジモジ少女に振り替えると、いつの間にかティクンちゃんの姿が消えていた。

 おかしいな。さっきまで寝台の上で静かに読書していたはずなのに……

 不思議に思って開け放たれた部屋の扉から外に顔を出すと。


「あのう、セイジくん。わたしも頑張って買い占めるのっ」


 シャブリナさんとドイヒーさんを追いかけるモジモジ少女の姿が見えたのだ。

 訓練学校の寄宿生活をしている間は、支給された備品を身に着けることが義務付けられている。

 僕たちは没落貴族の子女から平民貧民までいろんな階級の人間が集まっているからね。


 してみると、仲間意識をしっかりと意識するために、共同生活をしている間は同じものを着用するんだ。けれど例外があるとすれば、購買部で販売されている装備や道具だ。

 今日ドイヒーさんが見つけてきた新商品の下着も許される範囲だから眼の色を変えたんだ。

 年頃の女の子にしてみれば、味気ないドロワーズかひもパンのどちらかを強制的に選ばないといけない訓練学校の支給品が許せなかったのかもね。

 寄宿舎の部屋に取り残された僕は、大人しくみんなが帰って来るのを、洗濯物をたたみながら待つことにした。

 いつまで経っても帰ってこないので、今度は部屋の掃除をはじめた時の事だった。

 突然ババンと部屋の扉が開け放たれると、意気揚々と彼女たちが帰還したのだ。


「セイジ、見てくれ! 実にけしからんデザインの下着を手に入れたぞッ」

「大収穫ですわセイジさん。わたくし、魔法攻撃力アップと魔力増幅の下着ゲットですの!」

「そのう、わたしはお漏らし耐性アップの下着を……買いましたッ」


 シャブリナさんは同じ形状の色合いが違う布切れを両手に抱いて入って来た。

 続くドイヒーさんの表情も上機嫌なのが見ただけでわかるぐらいキラキラしている。

 ティクンちゃんはモジモジしていた。おしっこを我慢しているんじゃなくて、これは何だか気恥ずかしいという具合だね。

 こういうところはしばらく共同生活をしていてわかってきた事だった。


「さっそく試着しよう。購買部ではさすがに試しに着るというわけにはいかなかったからなッ」


 そんな宣言を唐突にしたシャブリナさんは、鎧を脱ぎ散らかして生まれたままの姿になった。

 ドイヒーさんもティクンちゃんも、三十路おじさんの僕の前で平気で丸裸になるから困ったものである。僕の息子が過剰反応しない様に、必死で我慢しなくてはいけない。


「どうだセイジ、実にけしからんだろうッ?」


 そうして姿見の前でグルリと回転してみせたシャブリナさんは、胸の先端とお股の間を面積の少ない布切れで隠しているだけの姿だったのだ……


「マイクロビキニだこれ?!」


「ご名答だセイジ、この商品の名前はマイクロビキニアーマーというらしいぞ。実に機能的ではないか。アッハッハ」

「どうですのセイジさん、わたくしの美ボディにムラムラとするのではありませんこと?」

「おパンツから、お毛々がはみ出してしまいますぅ」


 さすがに刺激が強すぎるッ。

 目のやり場に困るを通り越して、むしろ丸裸の方が嫌らしく見えないから不思議だ。

 モジャモジャ少女のティクンちゃんに至っては、大人顔負けの淫靡さがお股の辺りから漂っているじゃないか。


「どうやらセイジの反応を見ていると、デザインについても申し分ないみたいだな」

「その上この下着は鎧を兼ねていますので、この下着は爆発して衝撃を外に飛ばす優れものですわ」

「お漏らしした瞬間に爆発したらどうしましょう……」


 そんなお漏らしで爆発反応するマイクロビキニ下着とか、危険すぎるじゃないか!

 これ以上いけないッ。

 色々と突っ込みどころのある下着に僕は絶句した。


 近頃たっぷり溜まってる僕の方が、むしろちょっとの刺激で爆発するよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ