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30 すごく、大きいです!

おかげさまで、ダンジョンはいいぞ!が総合評価2000ptに到達いたしました!

 この扉を一度でも解放すれば、そこで待機しているガーディアンが目覚める。

 いったん動き出せば地獄の底までダンジョンの訪問者を接待してくれるという恐ろしい相手なのがガーディアンだけれども。


「まあ、一般的にはガーディアンはボスに取り込まれてしまった冒険者の成れの果て、というのは正解だね。ただし、」

「……ただし?」

「このダンジョンはこれまで未発見で、俺たちが初踏破をかけてダンジョンアタックをしている最中だ」


 そうしてみると、ここにいるガーディアンモンスターが何者たるのか、誰にもわからないというのが勇者シコールスキイさんの回答だった。

 ふむう、と苦虫を噛み潰した様な顔でシャブリナさんが返事をする。

 そのまま僕の肩を抱き寄せる様にしてこう言うのだ。


「わたしの穢れなきセイジに、冒険者の成れの果てと戦わせるのは忍びないな。ひととひとの戦いをする、それは騎士の務めだ。おちんぎんのためとは言えセイジは知るべきではない」

「しゃ、シャブリナさん」

「しかしそうではなく、本当に前人未踏のダンジョンだったのだから別のモンスターという可能性があるのか。よしセイジ、もし相手が冒険者の成れの果てであれば、これは騎士であるわたしが相手を倒してみせよう。貴様はここで黙って眼をつむっていればいいからな?」


 ん? と小首をかしげながら僕を抱きしめてくれた。

 そんな事をされたら、僕はその豊かなおっぱいに挟まれて窒息してしまいますっ。

 ああ、シャブリナさんの香水かな。とっても股間がむずむずする……


「馬鹿な事を言ってはいけませんわ。セイジさんは部屋の仕掛けを解除するために最前線におりますのよっ。同時に突入して、いざおかしなギミックがあれば、解読と指示を出していただきませんと!」

「いやしかし、わたしの穢れなきセイジがだな……」

「しかしもへちまもありませんのよ! シャブリナさんはセイジさんの事になるとすぐにオッペケペーになるんですから。ぷんぷんっ」


 シャブリナさんの妙な優しさに反論したドイヒーさんは、僕をその場で引き剥がして抱きとめた。

 うぷっ、ドイヒーさんに抱き寄せられると、ちょうど首筋あたりに僕の頭がやってくるので、ぷんと怒って噴き出した甘い吐息が、首筋にかかってたまらない。


「にゃ、にゃにをするのだドイヒーは! 穢れなきわたしのセイジを返せ!」

「返しませんわ。さあ勇者さん、さっさとこの部屋の扉を開いて戦いをはじめてくださいましなッ」

「駄目だ駄目だ、わたしのセイジだけでもここから逃がすべきだ」

「わたくしたちの趣旨が変わってきておりますわよ! おちんぎん、おちんぎんを稼いで硬くて立派でゴツゴツした鈍器を購入するのでしょうに?!」


 僕はふたりの女性メンバーに引っ張り合いっこをされた。

 あげくに放り出されると、そのままシャブリナさんとドイヒーさんが、胸を突き合わせて睨み合いになるではないか。

 放り出された僕はティクンちゃんに抱き留められて、


「あのう、セイジくんが心に傷を負った時は、わたしの胸の中で聖なる癒しをしてあげるの……」


 そんな大胆発言をモジモジしながら言われてしまった。

 いや、ティクンちゃんの気持ちは嬉しいけれど、ようじょの胸で癒されるとか犯罪だから。

 セイジおじさん、捕まっちゃうよ!


「ねぇ勇者、痴話喧嘩の事は放っておいて、あたしたちだけでいくわよ」

「ま、セイジさんの解読だと、そこの石板にもギミック注意の警告は無かったみたいだからな……」

「いつでも突入可能ですよ。魔法の準備をしておかないと」

「回復職の俺もまだまだ余裕があるから、俺も戦闘参加しておくとするか。アッチが役に立たなさそうだからな」


 ほら、みんなもう扉を開けようって話になってるよ。

 いつまできみたちは揉め事をしているんだ。

 揉め、ごと……


「ぐぬぬぬ。わたくしとした事が、圧力に押し負けてしまいそうですわねっ」

「フフン。貴様のその中途半端な胸では、このわたしの豊かでたわわで圧倒的な存在の前には、かぼちゃとなすびぐらいの差があるな。アッハッハ!」

「そ、その干しブドウみたいな突起物をコリコリ擦り付けて来るのをやめてくださらないっ?!」

「にゃにゃにゃんだと?! 貴様が陥没しているからって意味がわからんぞっ。それにわたしはピンクだ! このツルツルっ」

「ボーボー!!」


 ふたりはおっぱいを擦り付けながら、何かよくわからない勝負をしていた。

 戦闘前の緊張感が吹っ飛んでしまうよっ!

 とうとう見ていられなくなったヒゲ面のおじさんがため息をついて、こう続けた。


「坊主、嬢ちゃん。そろそろいいか? 戦闘開始だぞ……」

「大きければいいってもんじゃありませんのよ。形ならわたくしだって、……はあン、お待ちになって!」

「セイジ、セイジわたしを置いていかないでくれ。貴様を癒してあげられるのはこのシャブリナおっぱいだけだからなッ。聞いているのかセイジ、待ってくれ」


 呆れられたみなさんの後を追いかけて、僕たちは内部に向かった。

 ビクンとさせながらもティクンちゃんが僕の貫頭衣の袖を握っているのがわかる。

 僕も緊張していないと言えば嘘になるけれど、大人だからそこは守ってあげたい。

 背負子の荷物は部屋の入口に立てかけて、僕自身もいつでも斬り込める様に短剣を抜いた。

 安い切れ味の悪そうな訓練学校の支給品だけど、ダンジョンを攻略すれば、おちんぎんがもらえる。

 そしてメイスを買えば、もっと仲間の役に立てる……


「いくぞ、みっつ数えたら突入だ」

「了解だわ、あたしは右に展開するから、勇者は左ね」

「僕は中央から魔法攻撃を先制する。ドイヒーちゃんは魔法攻撃が有効だと判断したら加わってくれ。魔法攻撃は全員が展開したら開始だ」

「さん、にい、いち……いくぞ!!」


 中年回復職さんの数える数字がカウントスリーに達したところで、男手がそろって肩から扉にぶつかった。

 参加したのは勇者、回復職さん、そして僕とヒゲ面おじさん。

 ドカンと勢いよくタックルをかけたところで、ギイイイイと不気味な金属音をきしませながら……


 そこには、巨人がいた。

 ちょっと痩せ気味だけれども筋肉質な、大人の男性の倍は身長がありそうな巨人の男だった。

 巨人がパンツ一丁で腕組みをしてこちらを睥睨していたんだ。


 シャブリナさんは長身でモデル体型の美人さんだ。

 けど、彼女を見て巨人と思う人間はいるはずがないから。そんないつもノッポの姉ちゃんと陰で言われているシャブリナさんがこう漏らした。


「で、でかい」

「あっあれは何ですの?!」

「ヒンッ、怖いですぅ」


 みんな戸惑っているけれど、それは僕も勇者シコールスキイさんもだ。 


「セイジさんは賢者の卵だったな。あいつを見てくれ、どう思う?」

「すごく……大きいです……」


 勇者さんの質問に僕はただそうとだけ答えた。



色々すごく大きいです。

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