学園ダンジョンはいいぞ! 後
レストラン・ビーストエンジェルでアルバイトをはじめてしばらくたった頃。
僕はお昼休みにビッツくんから呼び出しを喰らったんだ。
「セイジさん、ちょっくらオレに顔を貸しておくれよ」
そうしてひと気のない保健室にれてこられると。見るからに学校指定よりも短いスカートのビッツくんが、いつかみたいに僕の顔を覗き込んでくるんだ。
「あ、改まって何かなビッツくん?」
「オレさ、セイジさんの秘密知ってるぜ」
「ひっ秘密って?」
「しらばっくれるなよ! セイジさん、女の子の格好をして、駅前のメイド喫茶でバイトしてんだろ?」
どうしてバレたの?!
「しょ、証拠はあるの?」
「ふふん、その顔が何よりの証拠だぜセイジさん」
僕はたまらずそんな表情を浮かべてしまったらしい。
もっとうまく誤魔化す方法もあっただろうに、女装メイドの格好でバイトしている事がバレて、気
が動転してしまった。すると、
「それに、オレ様はあの店に行った事があるんだぜ。ちゃんとスマホで写真も撮ってあるからな。セイジさんのきゃわいらしいメイドエプロン姿をな! これはオレ様の一生のお宝なんだぜ!」
その写真を学校のみんなに一斉送信でばら撒かれたくなかったら、言う事を聞けって迫る。
「わ、悪い様にはしねえぜ。オレはただメイドさんの格好をしたセイジさんと、楽しいことをしたいだけなんだ」
「ビッツくん? ちょっと落ち着いて。ここ学校だからっ」
「とりあえず行きがけの駄賃に、チッスをしようぜチッス。ほら、唇と唇るが触れるだけだから簡単だろう???」
ビッツくんから逃げようと後ろに下がったところで、僕は保健室のベッドに押し倒された。
ビッツくんとそんな事をする夢を見たら、夢から覚めて今度顔を合わせた時にどんな反応をしていいのか困っちゃう……なんて思っていると、
「おおおおお前たち、ここでいったい何をしているのじゃ?! 神聖な学校の保健室を」
「チッ、邪魔が入りやがったぜ」
突然、シャアっと開いたカーテンの向こう側から、白衣を着たおりこうさんようじょ・ローリガンシャルロッテが顔を出したんだ。
「おさわりまんですこのひと! このふたりが余の保健室で、エッチなことをしようとしているのじゃ!」
おりこうさん保険医ようじょに通報されて、担任のゴリラ教官にコッテリ説教された僕とビッツくんは、仲良く教室の廊下に立たされる事になった。
この夢、まさかこれがオチなの?!




