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止まった時計の針  作者: Tiroro
中学二年生編 本編その1 止まった時計の針
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第88話 宇月一哉の憂鬱

今回は宇月一哉視点です。

 ────どうしてこうなった。


 俺は、班員に頼まれ、薪を取りに向かっていた。

 そこで、たまたま河村智沙と遭遇した。

 適当な話をしながら一緒に施設に向かっていたのだが、どうやら彼女の知り合いに遭遇したようだ。

 そこにはちょうど日高玲美もいたので、渡辺の事をもっと聞きこむチャンスとばかり思っていたのだが……


「だから誤解だって言ってるじゃん! 俺とこいつは何でも無いって!!」

「……じゃあ、何でそんな親し気に腕なんて組んでいるのかしら?」

「“こいつ”だなんて、なんて野性味溢れる言い方……素敵!」


 何やら猿のような男が、一般的に見て美女と呼ばれるであろう二人に取り囲まれて、ラブコメのような展開になっているところだ。

 まさか、あいつも転生チートを……!?


「智沙だって、そんなイケメンと二人で歩いてたじゃないか! やっぱり……俺のことは遊びだったのね!?」

「あ、あの人は宇月君という元クラスメイトで……ただの友達だから」


 おい待て。俺を巻き込もうとするな。


「宇月君じゃん。久しぶりだね」

「ああ、日高さん。こんなところで何だが、こんにちは」


 そんな場違いな挨拶を交わしている中で、三人の争う声はますますヒートアップしていく。


「ともかく、彼とは何の関係も無いから安心してちょうだい」

「安心できるかよぉ! どう見たってお似合いのカップルです! 本当にありがとうございました!」

「小岩井君は私が養ってあげるから安心して!」

「カオスだな……」

「うん……」


 ずっとシリアスを保ってきたはずが、まさかこんなことに巻き込まれるとは……まさか、俺は復讐者では無く、実は悪役間男としての役付けがされていたとでも言うのか?

 いやいや、これでも俺の精神年齢は32歳だ。

 こんな中学生の女共になど興味は無い。大学生くらいが俺のストライクゾーン……って、何を考えてるんだ俺は。


「あんたが小岩井の彼女かい? なるほど……もっと猿みたいな女を想像していたぜ」

「まあ、人間は猿に近い動物なのだから……別に間違ってはいないと思うけど?」

「違うよ! 智沙は猿なんかじゃないよ! なんで変なところでそんな天然なんだ君は!?」

「どっちかというと瑠璃っちの方が猿っぽいよね!」


 だんだん、これが何なのかよくわからなくなってきた。

 無視して薪を取りに行ってもいいかな?


「何だか取り込んでいるようだから、俺はこれで……」

「待て、このイケメン野郎!」


 チッ……そう言って立ち去ろうとしたところ、小岩井とやらに捕まってしまった。


「お前、本当に智沙とは何でも無いんだな?」

「俺が中学生女子なんかに興味があるわけないだろ」

「智沙を侮辱するなー!」


 どうしろってんだ。


「日高さん……」

「ああ……河村さんも久しぶり。元気だった?」

「うん……。その……あの時はごめんなさい……」

「気にしなくていいよ。恵利佳も河村さんのこと心配してたし、顔だけでも出してく?」

「そんな……私に、恵利佳と会う資格なんか……」


 河村よ、俺に小岩井(めんどうなの)を押し付けて和やかに挨拶交わしてんじゃねえよ。

 そして、無駄に力が強いなこいつ。


「小岩井氏、やめるでござる。この男……ただものではござらんよ」

「わかってる……俺なんかじゃこいつには太刀打ちできない……」


 また変なのが出てきた。


「でもよ……愛した女の為、ここで引いたら俺のこの頭の傷も泣いちまうってもんだ」

「それって、私を庇ってできた傷じゃん」

「ともかく……このまま引くことはできん! お前、俺とタイマンしろ!」


 よくわからんが、この男に勝てばこのカオスな状況から抜け出せるのか?

 それなら話が早い……転生して得たこの力を試すいい機会か。


「俺は全くの無実なんだが……相手をしてほしいというなら良いだろう」


 渡辺相手の前哨戦だ。

 こいつには何の恨みも無いが、実験台になってもらうぞ。


「いくぞ! 俺の全力のパンチを受けてみるがいい!」

「遅い」


 左手で小岩井の拳を捌き、拾った木の棒をそっと腹部に押し当てる。


「……がっ……あ……、いつの間に武器を!?」

「小岩井殿! 峰打ちでござるよ!」

「とりあえず、これで満足したか? そろそろ薪を取りにいかないと皆が本気で心配する」


 子供(ガキ)相手に大人げないとは思ったが、これでこいつも懲りてくれるだろう。

 あと峰打ちとか、俺はいちいち突っ込まんぞ。怪我させるわけにもいかないから当ててないし。


「俺の……負けだ。智沙はやっぱりイケメンがお似合いだよ……」

「じゃあ小岩井君は私が貰いますね!」

「いつの間に私を賭けた戦いになっていたのかしら?」

「よくわかんねーけど、お前強いな!」


 ハーレムチート野郎も追ってこないみたいだし、そろそろ本気で失礼させてもらうか。


 俺にはまだ他にやらなければいけない事だってある。

 まずは、キャンプ中に石川を何とか宥めて日高から手を引かせなくてはならない。

 そうしないと、復讐に色々と支障が出てきそうだからな。


 あれから何故か石川を見ていない。

 日高の家の近所に現れるかと思ったが、そうでもなかった。

 クラスへ見に行っても、タイミングが合わず一度も遭遇しなかった。

 林間学校を休んだとは聞いていないので、ここへは来ているはずなんだが……。


「宇月君、あのね……海藻がよく効くらしいよ」

「……何の事だ?」


 日高から謎のアドバイスを貰い、俺はその場をあとにした。







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おまけ


 孤独堂さんからいただいた玲美のイラストです!

 玲美ってこんな感じの子だったんですよ!

 本当にありがとうございます><


 挿絵(By みてみん)

※小岩井は転生者ではありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前話から引き続き、注意書きが必要なヤバいチート! このカオスな状況においては、いかに宇月君と言えども自分のペースを保つのは難しそう! 小岩井くんの愛は誰の手に!?
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