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止まった時計の針  作者: Tiroro
中学二年生編 本編その1 止まった時計の針
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第77話 奇妙な再会

長らく休んでしまい申し訳ありませんでしたm(__)m

またお楽しみいただけたら幸いです。

 塾の帰り。


 先生が一生懸命教えてくれたおかげで、化学の何たるかが少しわかった気がする。

 そして、どこからか出てきた過去のテスト問題がプリントされた用紙。

 数年内容は変わってないってみんなに配ってたけど、ああいうのって見ちゃっていいのかな。

 まあ、私が気にすることでもないか。過去問見てもわからんもんはわからん。


 家から結構近いから、自転車で通えるのがこの塾のいいところ。

 あと、あまり面識の無かった違うクラスの子とも仲良くなれたりするのはいいね。


***


「玲美ー、電話ー。悠太郎君からよー」

「……!? はーい!」


 帰ってからぼーっとテレビ見てうつらうつらしていたら、お母さんの声で急に目が覚めた。

 別に悠太郎に今から会うわけじゃないけど、なんとなく寝ぐせの付いたっぽい髪を整えてっと……。


「お待たせ、悠太郎!」

『ああ、相変わらず元気そうだな』

「まあ、ぼちぼちですよ」

『俺の方はさ、転校生ってことでちょっといじめらしいものもあったんだけど、意外なことにその張本人と仲良くなっちゃってさ、今じゃもう親友みたいな感じだ』

「へー、さすが悠太郎だね」


 以前のような何気ない会話が続く。

 悠太郎がいじめに遭ってたってのは意外だったけど、まー、相手もターゲットが悪かったね。


 それにしても、電話の向こうの悠太郎は遠くにいるとは思えないくらいすごく身近に感じるのに、会おうと思ってもすぐには会えないんだなあと思うと、ちょっとだけ切ない。


『謙輔は元気か?』


 急に出てきた謙輔の話題に驚く。

 そういえば、謙輔も悠太郎にとっても友達なんだもんね。


「うん、変わりないよ」

『そうか。俺が居ないからって玲美に手を出したら許さんって言っとけ』

「え? うん」


 そっちか。

 謙輔はきちんと振ったし、あいつの性格からしてそんな事はないと思うけど。


『玲美のお母さんの料理が食べたいなー』

「それ、お母さんに言ったら飛び跳ねて喜ぶよ。何気にお母さん、悠太郎の事好きみたいだから」

『マジか! 俺は玲美一筋だというのに……』

「そういう意味じゃねーよ」


 そんなこんなで久しぶりでつい長話していたら、子機の電池が無くなりかけてきた。

 あまり長くなると悠太郎のうちの電話代が大変なことになっちゃうし、寂しいけどそろそろかな。


『そうだ、もう一つ伝えたいことがあった。夏休み前にさ、連休あるだろ? 詳しい日取りはまた伝えるけど、静岡に行くよ』

「ほんと!? じゃあ久しぶりに料理用意しとくね!」

『ああ、楽しみだな。それじゃまたな。大好きだぞ、玲美』

「うん……私も大好きだよ、悠太郎。またね。」



 熱くなった頬を冷やしつつリビングに受話器を置きに戻ると、お母さんが私を見てニマニマしていた。

 聞いたなこいつ。

 ああ、なんていうか死にたい。


***


 学校の帰り。


 一週間ほど過ぎたけど、あれから恵利佳の父の姿を見ていない。

 恵利佳のお母さんも、もう少し様子を見て大丈夫そうだったら登校を再開させると言っていた。

 もしかして、恵利佳を見つけることができなかったから諦めてくれたんだろうか。


「日高さん」


 ふいに呼ばれて振り向くと、そこにはどこか見たことがあるような人がいた。

 ……誰だっけ、この人?


「いつかはのど飴ありがとう」

「ん……ああ! あの時の!?」


 病院で会った人だ。

 どおりでどこかで会ったかなって……。


「たまたま見かけて思いきって声を掛けてみたんだ。人違いじゃなくて良かった」

「宇月君……だったよね。こんなところで会うなんて思っても無かったよ」

「以前この辺に住んでたんだ。……何も変わってないなぁ、ここも」

「そうなの? じゃあ小学校は実は同じだったりしたのかな?」


 と言ってから、ふと思う。

 この辺、私が小さい頃と比べてだいぶ変わったと思うけど。

 アイスをよく買いに行った小さな商店だってもうやってないし、本屋も無くなって今は不動産屋のビルが建ってるし。


「あ……いや、こっちに来たのは習い事の関係でね」

「そうなんだ」

「あと、ついでに友人に勧められた神社にお参りに行こうかと思ってさ」

「神社? もしかしてうちの近所の?」

「君の家の近く? そうか、もし良かったら案内してもらってもいいかな?」

「えっ? 別にいいっスけど……」


 あの神社にお参りねぇ。

 たしか、あの神社の神様って髪の毛の神様だったと思うけど……この人、こう見えて実は隠れハゲなんだろうか。


 そして、奇妙な再会をした私は宇月君を神社へと案内することにした。


「こんな偶然ってあるんだなぁ。助かるよ、日高さんには初めて会った時から助けられっぱなしだ」

「そんな大げさな……あ、ほらそこ。鳥居があるでしょ? あれがそうだよ」

「へー……思ってたよりも広いな」

「夏休みになると祭りもあるから、宇月君も友達誘って来たらいいよ。じゃあ、私は帰るね」

「うん、ありがとう。またね」


 そう言うと宇月君は神社の中へ入って行った。

 なんか喜んでいたみたいだし、ご利益があるといいね。


 さて、帰ったら宿題やらなきゃ。

 それにしても、宇月君……謎の人だ。

お読みいただいてありがとうございました。

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