さらば恋人
日曜日、息子の彼女が家にやってきた。
「お義父さん、おはようございます」
「あ、あぁ。おはよう。えーと・・・」
「息子さんとお付き合いさせていただいています、斉藤愛子と申します」
「あぁ、愛子ちゃんね。いらっしゃい、ゆっくりしていってね」
どうしよう。年甲斐もなく落ち着かない。
車庫で単車でも弄って気持ちを落ち着かせよう。
俺はVMAXを洗車してワックスをかけた。
午前中いっぱいかけて丁寧に仕上げたが、愛子ちゃんはまだ家にいる。
嫁さんに「お昼だよ!」と声をかけられた。
昼食は素麺だった。家庭用流し素麺機を囲んでみんなで食べる。愛子ちゃんも一緒だ。
嫁さんが素麺を流し、俺と息子、愛子ちゃんで掬い上げる。
素麺を追いかけていたら俺の箸と愛子ちゃんの箸がぶつかった。
「おや、失礼」
「いえいえ、どういたしまして」
ほんの僅かな接触だが顔が赤らむのが自分でも判る。
やばい。息子に変な顔をされた。嫁さんからは睨まれているような気がする。
「そういえばお義父さんはずっとバイクを磨いていましたね」
「あぁ、単車が好きなんだ」
「英一さんがバイク事故で大怪我しちゃたので言い出しづらかったのですが、私もバイクが好きなんです!」
「おお!そうだったのか」
「お義父さんのバイク、かっこいいですね!」
「今度、後ろに乗せてあげるよ!」
「ありがとうございます!」
息子に睨まれた。嫁さんからも気のせいではなく睨まれている。
「わはははっ、わはははっ」
笑っといた。こういうときは笑っておけば大丈夫。
その夜。嫁さんに迫られた。
「あなた、昼間はえらく元気でしたね」
「そうかぁ?」
「ここのところ、アッチも元気みたいですし」
「はにゃ?」
誤魔化しきれなかった。
いざ始めてみると嫁さんも、捨てたもんじゃない。良い感じだった。
若い頃は小さくて細くて可愛いかったのに、今じゃダルダルで色気も恥じらいもない。
そう思っていたけど・・・。燃えた。
久しぶりに野獣の血が騒いだ。
50歳近くにもなって連投してしまった。
次の日、腰が砕けて駅の階段から転がり落ちそうになった。