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さらば愛しき単車よ

 息子えいいちは奇跡的に助かった。

 大学病院の優秀な先生方のおかげだ。

 RZ350もオークションで壊れたパーツを買い集めて復活させるつもりだ。

 単車をいじることも俺の趣味だし、少しずつ直していこう。




 退院してきた息子の傍らに若い女がいる。

 チビで、デブで、不細工な女だ。


「これ、俺の彼女。入院先の看護師さん」


 息子よ、俺の愛車を欲しがっていたときは好みが一緒だと思っていたが、女の趣味は正反対だな。

 俺は昔、悪かった。年を取ってからは『ちょい悪オヤジ』になり、勤め先の若い子にもそれなりにモテているんだぞ。

 そんなお笑い芸人もどきを相手にするほど、女には困っていない。


「ふーん、あっそう」


 息子を少し馬鹿にした。




 その晩にみた夢は最悪で、最高だった。俺の夢に息子の彼女が出てきたのだ。

 息子の彼女とエッチした。

「なんでこんな女と・・・」

 だけど上手うまかった。夢の中の彼女は最高に『いい女』だった。


 俺は50歳近くにもなって夢精した。


 嫁さんにバレないように風呂場でパンツを洗った。

 次の日も、その次の日も風呂場でパンツを洗った。

 3日続けて息子の彼女が夢に現れ、俺とエッチした。

 そして朝になると夢精している。


「俺は、あの子のことが好きなのか!?」


 息子を馬鹿にしたことを反省した。




 ここまで毎日、夢に出てくると息子の彼女のことが気になって仕方がない。

 まだ1度しか会ったことがないのに・・・夢中になっているかも!


「今度、何時彼女を連れてくるんだ?」

「オヤジには関係ないだろ!」


 まだ子供だと思っていた息子と、女の取り合いをするようになったか。

 でも俺はまだまだお前になんか、負けないからなっ!




 また夢精した。

 風呂場でパンツを洗っているところを嫁さんに見つかってしまった。

 最悪だ。

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