第十話 愚者たちの灯
「ありたっけたくさん払うわ!」
少女は叫びました。
それを聞いて爆弾魔は大きな声で笑いました。
「あはは!良いな、最高!アンタみたいな勢いのある子は嫌いじゃない。……んじゃ、ド派手にやるか」
爆弾魔はパソコンでネット掲示板に書き込みます。
【ちょっと語り手のためにこのバカな国をど派手にぶっ飛ばしたいんだが、協力してくれ】
すると、どうでしょう。
【ほう、詳細を出したまえ。話はそれからだ】
【とうとうやるのか】
【語り手のためにオレ惨状!】
【↑参上ですよ】
【で、今回の火薬の量はどうすんの?】
【トラック、軍用ヘリ、戦艦、戦車……どれでも準備するから言ってね】
【おいおい……↑は、何者なんだ……?】
などと次々と反応が返ってきます。
「語り手を支持してる奴は割といるんだ。アンタだけじゃないんだぜ」
爆弾魔がパソコンのキーを打ちながら言いました。
「俺もこいつらもアイツの味方さ。何て言ったら良いんだかな……。サイレントマジョリティって知ってるか?」
少女は首を横に振ります。
「なんだかよく分からないけど、すっごく強そうね。サイレントマジョリティって必殺技?」
それを聞いて爆弾魔は少し考えた後に自嘲気味に笑いました。
「いや、弱いよ。でもまあ、もしも爆発できるんなら、何でも吹っ飛ばせるだけの威力はあるだろうよ」
昔々あるところに、一つの国がありました。
その国は爆弾魔やその仲間たち、それに一人の少女によって、一夜にして滅ぼされてしまいました。
語り手はその様子を呆然と見ていました。
もちろん自宅で見ていたら危険なのでその上空を飛ぶヘリから見ていました。
爆弾魔の仲間の一人が用意した軍用ヘリです。
語り手の瞳には炎上する国が映っていました。
そんな語り手の隣で爆弾魔が操縦桿を握ったまま尋ねました。
「おい、友よ。これは“めでたし、めでたし”か?」
語り手は何も応えませんでした。
End 3『愚者たちの灯』
※
黙っていたのは誰だ?
End 3『愚者たちの灯』へようこそ!
このエンディングは自ブログで連載していた時にもあったエンディングなのですが、この時期にUPすることで図らずも時事ネタにちょっと引っ掛かった形となりました。
他にもエンディングがありますので、是非読んでみてくださいね!