幼馴染の魔術師
魔術が当たり前に存在するダヴァン帝国。
魔術は生活の一部に組み込まれていて、皆が当たり前のように魔術の恩恵を受けていた。
しかし魔術の力は先天性のもので国民の約一割程度しかいない貴重な存在だった。
それでも近隣諸国と比べて十分すぎる程の魔術師がいるダヴァンは他の国々よりも力を持っていた。
エル=マーシャルはダヴァンの貴族の娘として生を受けた。
辛うじて魔術の力があったエルは六歳になる年に全寮制の魔術学校に入れられた。
魔術の力がある者は平民貴族問わず魔術学校へ入れられ、十八歳になるまで国の監視下に置かれながら魔術を学ばなければならない。
魔術の力を持つ者の入学は義務であり、入学をさせないと身分剥奪などの厳しい罰があった為、貴族達は出生と同時に魔術の力の有無を国へ届け出をした。
その為貴族の子供は六歳から入学しているが、平民の子供は様々な事情から途中入学、という事は多々あった。
アヴェル=ダグラウスもその一人だった。
エルが十歳の年に彼は学校へやって来た。
アヴェルはダグラウス侯爵のご落胤、というやつらしかった。
ダグラウス侯爵とどこかの身分の低い女性との子供らしいが、ダグラウス侯爵はその存在を知ったのはその女性が亡くなったつい最近のことで、引き取ってみると魔術の力を持っていて慌てて魔術学校へ入学手続きをとったらしい…。
全部「らしい」というのは周りが噂をしているのを聞いただけだったからだった。
落胤とか大人の事情がまだよく分かっていなかったエルは新しく来るという同い年の男の子に興味津々だった。
「貴方、綺麗な髪ね」
初めてアヴェルに会った時、銀色に輝く髪を見てエルはそう言った。
アヴェルは軽く目を見開いたが、特に何も言わずに去っていった。
今、思えば周りの同級生達は貴族でも平民でもある中途半端なアヴェルにどう接していいか分からず距離をおいていたんだと思う。
だけど幼かったエルはアヴェルの綺麗な髪に触ってみたいという一心でアヴェルの後を追いかけまわしていた。
それからアヴェルがエルに髪を触らせてくれたのは十二歳の時だった。
最初は無視をされていたが、二年近く追いかけ続けたら少しずつエルに心を開いてくれるようになったのだった。
「やっぱり、思った通り!」
アヴェルの髪に触りながら嬉しそうに呟くエルにアヴェルは不機嫌そうに聞いてくる。
「何が?」
「アヴェルの髪の毛はお日様みたいに温かいわ!」
その言葉にアヴェルは自嘲気味に呟く。
「こんなに冷たい色をしているのに?」
「あら!夕陽の光を浴びると綺麗なオレンジ色になるのよ」
アヴェルは知らないだろうがエルはその夕陽色に染まる髪が一番好きだった。
いつまで経っても触るのをやめない私にアヴェルは勝手にしろと言わんばかりにふて寝してしまった。
アヴェルはどんどん魔術の頭角を現し、六歳から入学していたエルなど呆気なく追い越していった。
気が付けば歴代の魔術師の中でも一番力を持った魔術師ではないかと囁かれるようになっていた。
卒業間近の頃になるとアヴェルの周りには人の輪が出来ていてエルは余り近づくことが出来なくなっていた。
どんな取り巻きでも「あぁ」とか短い返事しかしないのはアヴェルらしかったが…。
エルの方はと言うとそこまで魔術の才能にも恵まれず、十歳からアヴェルばかりに付きまとっていたせいで仲の良い友人がいるという訳でもなく一人でいることが多かった。
それでもこっそりアヴェルの事は見続けていた。
ある日、アヴェルが声をかけて来た。
「エル」
エルは思わず辺りを見回してしまう。
どうやら取り巻き達はいないみたいだ。
「久しぶりね!アヴェル!」
アヴェルとずっと話せてなかった淋しさなど億尾にも出さず、元気に挨拶をした。
「エルは、これからどうするの?」
それは卒業後の進路について聞かれているものだった。
エルは少しでもアヴェルが自分を気にしていてくれるのかという嬉しさと、アヴェルと比べると大したことのない未来に伝えることを躊躇う葛藤があった。
「とりあえず実家に帰って、治療院で働くつもりよ」
そう、それがエル=マーシャルの進路。
落ちこぼれに近い私が唯一得意だったのは人を「癒やす力」。
それでも大きな傷を一瞬で治す、などの特別な力があるわけでもなく、進路は街の治療院しか選ぶ道は残されていなかった。
「アヴェルはお城で働くのよね?」
城内で働くことができるのは優秀な人材の一握りのみ。
それでも希代の魔術師になると言われているアヴェルには当たり前の進路であった。
「そう。よく知ってるね」
「……もうアヴェルとも会えなくなっちゃうね」
そう言うエルの心は針で刺されているようにチクチクと痛んだ。
思わず俯いてしまう。
「…手紙、書くよ。会いにも行くよ」
その言葉で思わず顔を勢いよく上げた。
先程までの胸の痛みはどこへやら!
これからもアヴェルとの繋がりがあるということに私はその場で踊り出してしまいそうなくらい喜んだ。
それから学校を卒業し、エルは当初の予定通り実家に戻り近くの治療院へ通う毎日だった。
アヴェルも城に上がり、王宮魔術師という名誉あるお仕事でどんどん出世していった。
会いに来てくれたのは最初の一年くらいだけで、それからは仕事も忙しいようで偶に手紙が送られてくる程度に。
それでもエルはその送られてくる手紙を何度も何度も読み返し、一生懸命内容を考えて返事するのが楽しみだった。
気が付けば五年以上の月日が経っていた。
その頃、隣国と戦争が起こりそうな雰囲気が立ち込めていて王城は忙しいようだった。
もちろん城下にいるエルには余り関係はなく、いい加減結婚をしろと家族から言われ続けるのが目下の悩み、という程度だった。
その状況はアヴェルからの手紙で一変した。
久しぶりにきたアヴェルからの手紙を部屋に駆け込み開いてみると、『隣国リュゼとの戦が始まる。一月後宮廷魔術師として最前線にいく』という内容だった。
他にも色々な事が書いてあってたが、その事が衝撃的過ぎて先を読むことはできなかった。
その夜は食事も取らず部屋で泣いた。
戦争など経験したことはないが恐らく多くの命を奪い、奪われるのだろう。
いくら優秀なアヴェルと言えど生きて戻れる保障などないだろう。
その事が怖くて怖くて堪らなかった。
気が付けば夜など通り越し夕方になっていた。
窓をそっと開けると眩しい夕陽が差し込んできた。
夕陽を見るとアヴェルを思い出した。
また涙が込み上げてくるのを堪え、アヴェルの為に自分が何ができるのかを考えることにした。
悩んだ挙句、アヴェルが出征するまでの数週間、治療院での仕事が終わった後夜な夜なアヴェルの無事を祈りながら夕陽色に輝く水晶に力を送り続けた。
出征するであろう前日、エルは今まで足を運んだ事もない王城の門扉まで来ていた。
その頃には隣国との戦争の話は街中に広がっており門扉の前には家族や恋人の心配をするものが多く集まっていた。
エルは長く出来た列の一番後ろに並び辛抱強く自分の番が来るのをまった。
手にはアヴェルの無事を祈り続けた水晶を入れた封筒を持って。
いよいよ自分の番がやって来て門兵に話しかけた。
「騎士様、どうかこれをアヴェル=ダグラウス様にお渡し下さい」
そっと差し出す白い封筒に門兵は眉を顰める。
「今までにそうやってダグラウス様に持って来た者が何人いると思う?中には素晴らしい魔術が織り込んであるローブや、高度な魔術が書き記された書物なんて物もあった。お嬢さんの持って来たこんなちっぽけな封筒など目には止まりやしないよ」
それは目に止まるはずの無い物を何時間も並んで持って来たエルを哀れんでそう言ったのかも知れない。
「それでも良いんです!これを、ダグラウス様に!!」
アヴェルの目に止まらなくても良かった。
無事を祈る気持ちがアヴェルに少しでも届けば良いと思った。
門兵は仕方がなく受け取り、沢山の荷物が入った箱に投げ入れた。
それを見届けてエルは帰路に着いた。
それから戦争は二年続いた。
隣国だけではなく近隣諸国が隣国リュゼと手を組み、戦争は魔術師同士の総力戦となっていた。
いくら魔術師が多いダヴァンといえども近隣諸国の魔術師が手を組んだとなると苦戦を強いられた。
戦争が一年程続くと、城下にいる魔術師達にも招集がかかり戦地へ派遣されるようになっていった。
エルはほとんど治癒能力しか使えない為、招集されることなく負傷し城下に戻ってきた魔術師を治療していた。
戻ってきた魔術師達からアヴェルの無事を聞くことで己を安心させながら…。
そうしている間に長かった戦争はダヴァンの勝利で終わった。
アヴェルは無事みたいだった。
「みたい」と言うのはエルはアヴェルに会えていないから。
聞くのは全て流れてくる噂だけだった。
それでもアヴェルが無事に帰ってくるいうだけでも嬉しかった。
その話を聞いた時は一人でこっそり泣いた。
戦争が終わり落ち着いてくるとアヴェルは英雄と称えられるようになった。
そして色々な噂が街へも流れてくるーー。
英雄アヴェル=ダグラウスは戦争の功績を認められて筆頭宮廷魔術師の地位を与えられる。
英雄アヴェル=ダグラウスは第二姫と婚姻を結ぶことになる。
まだ戦地の後処理でアヴェルは戻ってきてはいないみたいだが噂だけが流れてくる。
英雄アヴェル=ダグラウスは第二姫の為に国を守った。
英雄アヴェル=ダグラウスが危機に陥った時に守ったのは第二姫の「力」のおかげである。
なんだかアヴェルが遠い存在に思えた。
否、とっくに遠い存在だったのを認められていなかったのだと気付いた。
そしてアヴェルへの恋心も…。
今でも目を瞑ればアヴェルがすぐそばにいるような気がしたが、この気持ちに蓋をすることにした。
もう二度と会うことがないであろう英雄に心の中でサヨナラと呟いた。
戦争が終わって数ヶ月がたった。
エルは相変わらず治療院で戦地から戻ってきた魔術師や病気にかかったり怪我をした人を治療している。
最近のニュースとしては戦地で後処理をしていたアヴェルが近々国に戻ってくるということと、二十五を過ぎて完全な行き遅れとなっていたエルに求婚者が現れたことぐらいだろうか。
エルに求婚してくる奇特な男性はマリウス=エリウラス。
学校で使用する魔術師用のローブを製作する仕事をしている魔術師だ。
戦時中はマリウスも招集がかかり戦地に赴いたが、戦地で怪我をし戻ってきた。
今は本職のローブ作りに戻っているが怪我が痛むらしく治療院に治療に来て段々と話すようになってきた。
今年二十八になるマリウスは年齢的にも釣り合いがとれ、誠実さが伝わる結婚相手としては申し分がない若者だった。
エルの家族は行き遅れの娘を貰ってもらえるこの上ない若者の出現に何とか二人を結婚させようと準備を進めていた。
ただ当人であるエルは結婚したらエル=エリウラスなんて言いづらい名前になるなぁ…とどこか他人事のように考えていた。
「エル」
マリウスが今日も治療院に来ていたらしく、呼び止められた。
「あら、マリウス今日も傷が痛むの?」
昨日も治療したばかりなのに、とエルは顔に手を当てて首を傾げる。
「違うよ。今日はエルに会いに来たんだ」
照れ臭そうに笑うマリウスに釣られてエルも微笑み返す。
「仕事はもう終わりだよね?ちょっと街に行かない?」
そう誘われて、そういえば包帯がなくなりそうだったと思いマリウスと街に行くことにした。
街外れにある治療院から街中まで歩いてくるといつも以上に賑わって人で溢れかえっていた。
「実は今日、ダグラウス様の凱旋パレードがあるんだ」
エルと見たくて…という言葉は大歓声にかき消された。
声がした方を見てみると今、正に馬に跨ったアヴェルがエルの前を通過しようとしているところだった。
「あ…」
思わず声が漏れる。
するとアヴェルと目が合った気がした。
しかしそれは一瞬だけでアヴェルの視線は前を向いていた。
アヴェルが通過した後も続く大歓声にエルは踵を返し、その場から去った。
久しぶりに見たアヴェルは最後に会ったアヴェルよりも精悍な顔つきになっていた。
あんなアヴェル知らないっーーー!
エルは誰よりもアヴェルのそばにいたかったのにいることが出来なかった自分の力のなさに嘆いた。
諦めたつもりでいたがアヴェルを一目見ただけで分かる。
自分は諦められていなかった。
アヴェルの銀色の綺麗な髪を見れば軋むような胸の痛みに嘘はつけなかった。
その日エルはアヴェルの無事を知った日以来泣いた。
涙と一緒にアヴェルとの思い出もなくなって欲しいと願いながら。
翌日、明らかに泣き腫らした顔のエルに家族は心配した。
それでもエルは何も言わず治療院へ仕事に向かった。
泣き腫らした顔のエルに治療に来た患者達は何かあったのではないかと思いつつ、黙々と仕事をするエルに何も聞けないでいた。
陽が傾き始め、一日の仕事が終わった時、マリウスがやって来た。
「エル…ちょっといいかな?」
「丁度患者さんが帰ったところよ。どうしたの?」
周りに誰もいないのを確認してマリウスはエルのそばに来た。
「昨日…「昨日はごめんなさい!ちょっと用事を思い出してしまって!」
言いかけたマリウスの言葉に被せるように謝罪の言葉を重ねた。
「エルっ!!」
急にマリウスに抱き寄せられ、気が付けば目の前にマリウスの胸板があった。
「エル!君は何に怯えているんだい!こんなに泣き腫らした目をして!!俺が君に伝えた言葉覚えている?君の気持ちが俺に向いてくれるまで待つつもりだった。けどこんなに悩んでいる君を放っておけないんだ。俺は絶対君を幸せにする!結婚しよう!!」
「あ…」
エルは何も言えなかった。
マリウスの気持ちは嬉しい。
けれど………
マリウスの胸から顔を上げてマリウスにプロポーズの返事をしようとした瞬間、急に腕を引かれ態勢を崩した。
突然のことに何が起きたか分からないでいると自分の頭の上から声が降ってきた。
「何をしているんだ?」
見上げると逆光で顔はよく見えなかったが窓から差し込む夕陽でオレンジ色の髪は間違えようがなかった。
「あ、アヴェル…」
「英雄様がこんなところに何の用ですか?邪魔をしないでください!」
マリウスもアヴェルの事に気付いたようで、良いところを邪魔をされたせいか強引にエルの腕を掴もうとした。
バリッ!
エルに触れる直前魔術の力により電流が流れてマリウスは思わず手を引っ込めた。
「お前は、エルの、何なんだ?」
「え、エルの婚約者だよ!」
マリウスはアヴェルの気迫に負けそうになりながらも叫んだ。
「婚約者?」
「そうだよ!先月婚約したんだ!」
先月プロポーズされただけですけど…とは言えエルは黙っていると、ますます不機嫌そうな声のアヴェルは答えた。
「エルの婚約者は、俺だ」
はい?
初耳な言葉にエルは自分の耳を疑う。
「勝手なことをいうな!英雄様とエルにどんな繋がりがあるというんだ!冗談も大概にしろ!」
魔術の力の差があり過ぎるためか迂闊に手を出せないマリウスは睨みつけるようにアヴェルを見ている。
「証拠はこれだ」
「それは…」
アヴェルが懐から出したのはエルが出征前にアヴェルの無事を願い、門兵に渡した白い封筒だった。
もっとも…白い封筒は年月が経ったためか黄色くなり角がよれよれになっていたが…。
その封筒から取り出したのはエルが二年前に無事を祈り力を込めた水晶と共に付けた手紙だった。
『アヴェル=ダグラウス様
貴方の無事をいつでも願っております。
貴方が戻ってくるのをいつまでもお待ちしております。
どうかご無事で。
エル=マーシャル』
「これは俺が求婚の手紙を送った際の返事だ。日付は戦の始まる前日だ。これで俺とエルが正式な婚約者だと認められるだろう!」
「そんなっ!!」
マリウスはエルの直筆で間違いない手紙をみて愕然とした。
「俺が戦死したなら無効だろうが、戦地より戻ってきたのだから俺が正式な婚約者だ」
その後は大変だった。
騒ぎを聞きつけて駆けつけた患者たちは英雄に抱きしめられているエルに驚き、崩れ落ちるマリウスに驚き何事かと大騒ぎになった。
騒ぎになる中、アヴェルは颯爽とエルを連れてマーシャル家の家族に挨拶をした。
突然現れた英雄に両親も弟も目を白黒させていた。
「こ、婚約者だなんて…エル一言もいっていなかったではないか…」
最初からダグラウス様とそういう事になっていると言ってくれば…などなどブツブツいう父親にアヴェルは軽く眉を顰めただけで、あっという間に両親の承諾もとってしまった。
あれよあれよという間に気が付けばエルの部屋にアヴェルと二人きりになっていた。
「アヴェル…」
ほぼ無表情の綺麗な顔にそっと手を伸ばす。
触れると温かさが伝わってきてアヴェルがここにいると実感した。
「アヴェル!無事で良かった!」
勢い良く抱きつくと、しっかりと抱きとめられた。
昔は一緒に地面に倒れ込んでいたのが嘘のようだ。
「エル。俺は君に聞きたいことがある」
「何かしら?」
「俺と君は婚約していなかったのか?」
その言葉にエルは動揺する。
「え?だって私、アヴェルからプロポーズされてないもの」
アヴェルは眉間に皺が寄った。
こ、怖いよ?アヴェル…!
「君は俺が戦地に行く前に出した手紙のプロポーズを読んでないのか?」
えっ?えっ?えっ!
エルは慌てて手紙を入れてあったボックスに行き手紙を取り出してみる。
『隣国リュゼとの戦が始まる。一月後宮廷魔術師として最前線にいく。
エル、君を残して戦地に行くのはとても心残りだ。君に伝えたい事がある。無事に戻れたら俺と結婚してくれ。本来ならば直接会いに行き伝えたいが状況が状況だけに自由に身動きがとれない。できれば返事を出征までに来れると嬉しい。
アヴェル=ダグラウス』
「さ、最後まで読んでなかった!」
「…そんなことだろうと思ったよ。おっちょこちょいエルめ」
その口調は昔に戻ったようだった。
「改めて言うからもういいよ」
少し不貞腐れながらもエルの近くまでアヴェルはやって来た。
「エル=マーシャル嬢、私と結婚して下さい」
膝を付きプロポーズするアヴェルに私の答えは決まっているわ。
答えは…
「はいっ!喜んでお受けいたします」
泣き腫らした酷い顔なのも、更に涙が止まらなくなってもって酷い顔になろうとも気にしない。
だって世界中で一番大切な人にいって欲しかった言葉を貰えたから!
戦争で功績を残し、筆頭宮廷魔術師になったアヴェルは魔術の力が弱いエルを嫁に貰ったことは周りの人々には多くの不満をこぼしたが、アヴェルとエルの幸せな家庭を見て不満をこぼすものは減ってきたという。
アヴェルとエルは三人の子供にも恵まれ幸せに暮らしたといわれている。
エルがアヴェルに送った守りの水晶が国内で爆発的な人気になり、エルは守りの水晶製作の第一人者となるのは別のお話……。
思いつきで書き上げてみました。
大人しめな女の子のお話。
次回はアヴェル目線でのお話かけたらなぁ…とは考えてます。
誤字脱字などはコッソリ教えてください〜(汗)