パーティーの帰り道
「優!」
「何? 統也」
現在、友達が俺の家にきている。
統也、中間統也は高校に入ってからの友達である。
そして、同時に片想いの相手、でも、ある、わけで……。
「誰、あの女の子」
「誰って? 泉のこと?」
泉、流島泉は簡単に言うと幼馴染。
天然でテンションの高いバカ。だけど賢いし、料理もできる。
「彼女?」
「バカか……。幼馴染」
現在、泉は台所で料理の手伝い中である。
そういや、統也の奴なんで泉なんかに反応してるんだ?
俺は不思議に思い統也を見た。すると統也と目が合う。
「あれ? 優、嫉妬?」
「……バカじゃねーの」
呆れてため息がでる。
「おまえはゲイなんだろう?」
「その通りです。ちぇっ、つまらん。ちょっとからかったのに」
いちいち人で遊ぶな……。
「あ、兄ちゃんの友達」
「お、ゆっくんじゃないか。統也な」
「ゆっくんってなんだよー」
小4の弟は、はっきり言って幼い。
身長低いしガキだし。
それにしてもゆっくん、ねぇ。
「統也、こいつはいいから飯もらいに行くぞ」
統也の腕をつかんで引っ張る。
「あれ、優今度こそ嫉妬?」
「……黙れ」
「反論しないあたり?」
「……ゆっくんか。考えたもんだな」
俺が言うと、統也が黙る。
俺の弟の名前は由、だ。
統也が長年片思いしていた男と同じ名前。
「悪いかよ」
「別に」
「ゆっくんには悪いが、由って名はきつい」
そうですか。
いまだに引きずってるのか。
「ふん、バカみたい」
「は?」
「悪い。こっちの話」
こいつが由って奴を好きなのは分かっていたことだろう。
「それにしても、家でパーティーとはすごいな」
「泉の家と交代で毎年な。親が好きなんだよ」
「ふーん」
そうだ、一応泉にこいつのこと伝えとくかな。
「あ、泉!」
「何? あ、友達だっけ。こんばんは」
「あ、どうも」
「優ってば高校落ちるんだからね、びっくりだよね。彼女作るって言ってたのに男子高だし」
余計なことを……。
泉に会わせたのは間違いだったかも、と思ったがもう遅い。
泉が1人で勝手にしゃべり始める。
「泉、もういい。とりあえず食べ物が欲しい」
「乾杯まで待ちなよ。みんなで乾杯しなくちゃ。パーティーは始まらないよ!」
「わかったから叫ぶな」
泉がわけわからないことを言い出し、俺が抑えると横で統也が笑う。
「今日はありがとうな。それにしても、毎年パーティーとか楽しそうだな」
「ま、楽しいかな」
夜遅くなり、統也が帰ると言ったので、少し一緒に外を歩く。
「来年もきていいか?」
「あぁ、もちろん」
やった、と統也は笑う。
来年もいっしょにパーティーができたらいい。だけど、来年は2人きりで……。
「って俺はバカか!」
「え? どうした優」
「いや、なんでも……」
つい、バカなことを考えて、声にまで……。
「来年は2人きりもいいかもな」
「……何を」
「なーんてな。じゃ、また明日!」
俺の心の中を読んだのか? そんなタイミングでの一言。
俺の心臓はドキドキとなっている。
高校に入学して、本当に好きな人ができたらしい……。
まだ、ただの友達とのクリスマスなのに。
来年のクリスマスを、待ち遠しく思っているなんて、な。
正直、あまり納得いく話ではないのですが……。