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魔王とお母さんと私  作者: 七支
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中編予定。

まったりペースで更新します。

噂に聞く異世界トリップですよ!


いやー、ホントにあるんだねえ。

私は目の前に現れた男をまじまじと見つめた。

とある日曜日。

自宅の二階、自分の部屋で寝ころんで漫画を読んでたら、目の前の畳が青白く光って、なんが丸い模様っていうか、いつかアニメで見た魔法陣みたいな模様が浮かんだと思ったら、いきなりこの男が現れたのだ。

背は高いけど体の厚みはなくてひょろっとしてる。でも態度というか、存在自体が偉そう。髪の毛はなんと青色だ。俯いてて目の色は分からないけど、長い睫毛まで青いのは見て取れた。ずるずるした布の多い服を着て、魔除けみたいなアクセサリーをじゃらじゃらいっぱい着けて、杖まで持っているから魔法使いかな。元の世界では王族だったりしたら王道って奴だね!

にやにやしながら眺めていたら、顔を上げてきょろきょろと辺りを見渡した男が口を開いた。青い睫毛に縁取られた瞳は琥珀色っていうか金色だった。もちろん美形だ。やばいよ、なにこれ。腹が割れるまで笑ってしまいそう。

「そこの子ども、ここはどこだ。領主のところへ案内せよ」

「領主? って、そんな人知らないよ。見たこともない。ここは私の部屋だよ」

「領主を知らないだと?」

驚いたように目をむく男に私は頷いて見せた。あ、この男、私のことよっぽど無知な子どもだと思ったんじゃないだろうか? 違うよ、いないんだよ、領主なんて。

現代風に言うと市長さんとかなのかな? でも、平凡な女子高校生である私はどうやったら市長さんに会えるのかなんて知らない。よく、インターハイとか全国大会に行く部活の子が挨拶に行ったって聞くけど、私に全国レベルの才能はない。

市長さんレベルの人の会い方も分からないんだから、まさか、総理大臣とか天皇陛下とか言わないよね?

「ていうか、靴脱いでよ。日本の家は土足厳禁なんだよ」

「……まあいい。では、お前が知る一番の権力者の元へ連れて行け」

私の頼みは華麗にスルーして命令されたので、私はひとつため息をついて、我が家の権力者、お母さんのところに案内することにした。

正直、初対面で偉そうな奴の言うことを素直に聞くのは嫌だったんだけど、そこは異世界トリップだし、小さいことにこだわって脱線してたら話が進まないからね。

ていうか、現代人が異世界に行ったら勇者とか巫女とか役目があるけど、向こうの人がこっちに来たってやること無いよね? 何の用なんだろう。

部屋を出て階段を下りていると、後ろの男は「使用人通路にしても狭いな」とこぼした。

お約束かもしれないけど、むかついても仕方ないよね! これはね!

いつか階段踏み外せ! いや、今は私が先に立って降りてるから踏み外したらダメだけど。いつか!


で、今あったことを正直にお母さんに言うと、男は靴を脱がされて座敷に正座させられて、よそのお宅を訪問するときの心得を説教されていた。

うちのお母さん、そういう所厳しいんだよね。

ていうか、髪の毛が青かったから不良と思われたんじゃないかな。

お母さんにこってり絞られてしょんぼりした男は、夕食を一緒に食べると(箸は下手だった)あっさり上機嫌になってどこかへ帰っていった。

そういえば、名前も目的も全然聞かなかったなあ。

お母さん、私と違って小さいところにこだわって脱線しまくりなタイプだから。

また来るって言ってたけど、どうやってアポ取る気かな?

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