表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先輩にはご注意 !!  作者: yuki
5/5

act 5

【リミット】の裏口まで来た心奈だったが、どうしても足がすくんだ。

辞めると言った言葉は、牧村にしか言っていない。だから必然的に、まだ心奈はリミットの従業員と言う事になったままと言う事で。


あの後、牧村の後を、仕方なくついてきたが、当然、心奈は乗り気じゃなかった。

というより、帰りたくて帰りたくて、たまらなかった。

それでも帰らなかったのは、掴まれた腕が、牧村から出て来た言葉が、なんだかんだと言っても、気になったからだった。


牧村は、裏口から簡単に入っていったまま、姿を消している。

ここまで来たが、心奈はどうしても入る気になれなかった。

頭で考えているのは、どうやって帰ろうかと言う事ばかりだった。

しかしどちらにせよ、この裏口から店内に入らないといけない。そんな事を心奈がうじうじと

考えていると、中に入っていた牧村が、ひょこっと顔を出した。


目があったが、自分の考えている事を読まれている様なきがして、心奈はあからさまに目をそらしてしまう。

すると、その心奈の腕を、またもや牧村は問答無用で引き、中へと引っ張った。


「いいから、早く入れよ」

牧村が良くても、心奈的には、全くもってよくなかった。

しかし、もう引っ張られた後で……。

店内にと入った心奈は、俯いた。そんな心奈に、声がかかった。

「春瀬さん。話は迅から聞いたよ。悪かったね、気付いてやれなくて」

声の持ち主は、牧村の兄である、翔だった。その翔の横で、牧村がうなじを搔いている。

どうやら、昨日の自分達の態度を、翔へと伝えてくれたらしい。翔は柔らかく笑った。


「皆悪い奴じゃないんだけど、人見知りって言うか、面倒くさがりやって言うか……。でも、もう大丈夫だからね。迅にもちゃんと言っておいたから。僕は基本的に経営側で店の中の事は迅に任せっきりなんだけど、こうなったのは僕の責任でもあるから、一時の間、僕が皆との間に立って、春瀬さんを、フォローするからね」


気が抜けたと言うか、安心したと言うか、これで辞めれなくなってしまったと言うか……。そんな色々な思いが心奈の中を交差した。

「だから、春瀬さん、頑張ろうよ。迅もちゃんと反省はしている様だし。もう君にキツイ態度を取らない様にはさせるから。ね?」

同じ兄弟で、こんなに真逆なのかと心奈は思った。

迅の優しさを、全部翔が取ってしまったかの様に、翔は優しい。

一方の迅はと言えば、こんな時でも、言葉に出来ない様な表情を浮かべている。

もし、迅が後悔や、反省をしているならば、どちらかと言うと、静かに辞めさせて欲しかったと言う思いも、正直芽生えた。

しかし、一から仕事を探すのは大変である事も分かっていた心奈は頷くしかなかった。


「宜しく……お願いします」

心奈の言葉を聞いた翔は、ホッと胸を撫で下ろした。

心が優しいと、表情にも影響してくるのだろうかと心奈は思った。確かに兄弟だと言われると、よく似ている。

しかし迅の性格の悪さが、表情にも出ている様な気がした。


それに、迅とは少々年が離れている様で、翔の方が、やはり男の大きさと言うものを感じる。

その証拠に、あれだけ恐かった心奈の感情が、穏やかになりつつあった。


「昨日のは、ノーカウントとして、今日から、僕と頑張ってみよう。宜しく、春瀬さん」

差し伸べられた翔の手は、迅と同じくらいの大きさなのに、とても安心する事ができた。

心奈は静かに、その手を取ると、ふわりと笑った。


その様子を、迅は静かに見つめていた……。



……To Be Continued…


良かったら、応援お願い致します^^

とても励みになります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ