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先輩にはご注意 !!  作者: yuki
3/5

act 3

言いたい事なら沢山あった。

別に感情がない訳でも、神経が通っていないわけでもないのだから。


そんな目で見ないでとか、もっと言い方ってあるんじゃないの? とか。

私悪い事した? それに、絶対性格悪い! とか……。


けれど心奈の中で言葉は弾けても、結局外側には出てきてくれない。

感情は心奈自身とリンクしているのだから、自分が頑張る事が出来れば、何か変われるかもしれないのに、

結局臆病な自分がそれを、邪魔ではなく、拒否した。

だから、流れた涙の中には、自分自身の不甲斐なさや、腹正しさも混じっていた。

人の所為ばかりにしてはいけない。結局は、言いたい事をいえない自分が駄目なんだから。

弱い自分の心が、情けない自分の気持ちが、駄目なんだから……。

心奈は、そう舌唇を噛んだ。


「オイ」

心奈は、歩いていたその足を、体ごと硬直させた。

人気がない場所だからこそ、声もよくとおった。

声の持ち主は誰かと分かっているにも関わらず、振り向けない。

喉を鳴らした。


「聞こえてんだろ?」

声はどんどんと近くなる。そんな事を考えている間に、自分のすぐ後ろにまで、その声は来た。

(あんな目っ……もぅ嫌っ)

心奈は、ぎゅっと目を瞑った。

心奈が一切反応しないので、牧村は肩に手をかけ、むりやり自分の方へと向かせた。

それでも、心奈は目を瞑ったままだった。バランスが取れなくて、転びそうになったけれど、それでも目を開けなかった。

目を瞑っていたら、又、何か言われるかもしれない。思ったけれど、本当にあの冷たい目で見られるのが、耐えられなかった。


耐えられない気持ちと、次に口から出る言葉が恐く、瞑っている目の中に恐怖に怯える涙が溜まった。

(泣くなっ……、泣くなっ!)

しかし、涙は待ってくれなかった。心奈は、目を瞑ったまま、牧村の前で、頬に涙を伝わした。


目の前で、あからさまにつく、ため息の音が聞こえた。

「なんでさ、そんなに泣いてんの? 意味分からないんだけど」

「ごめん……なさい」

瞳を閉じたまま言った心奈だったが、どうやらそんな心奈の態度そのものが、牧村のイライラを刺激してるらしく、頭をガシガシと搔きながら此処でも舌を鳴らした。


もう限界だった。


心奈は目を閉じたまま、それ以上牧村に何も言わず頭を下げた。まだ頬は濡れたままだった。

そして、今度こそ、牧村に背を向けると、歩き出した。

けれど、目を瞑ったまま一歩を出したままだったので、その一歩でつまずき、前のめりになったかと思えば、膝を擦りむいた。


さすがの牧村も、転んだ女をそのままにして置くほど冷血なわけもなく、心奈の前に回りこむと、手を差し伸べた。

「目なんか、瞑ってるからだろ? ほら、手ぇ貸せよ」

心奈は一度、牧村の顔を見上げた。

たった昨日の出来事だったけれど、たった昨日の出来事だからこそ、まだ全然傷は癒えてなく、顔をくしゃりとさせたかと思うと、

声をあげて、そのまま、泣き出してしまった。



……To Be Continued…



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