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<10-4>ゴモラVSタクマ前編

 下駄の男がレジ袋から取りだしたゴモラを見て、それまでキャッキャ騒いでいた子供たちの表情が一変した。「怖い……」「なんか、こっちを睨んでる」


「後藤さん、あれは僕が買ってきたものとは全然違いますよ。なんですか、ベムスターといい、エレキングといい、いったいどんな魔法をかけたんです?」

「ふんっ!魔法?とんでもない。呪術だよ。それもとびきりの!」

 後藤の吐き捨てた言葉に、鳴門刑事は思わず何かを反論しようと思ったのだが、すぐに諦めた。今ここで起きていることは尋常じゃない。


「真壁、少しずつですが、精神も身体も回復しているような……これっていったい、何なんです、後藤さん!」

「なんでも俺に聞くなて言ってるだろう。俺にもわからんことはわからんし、知らんことは知らん。そしてわかる必要も知る必要もないことが、世の中にはあるんだということだ……今俺がお前に教えられることは、それだけだ」

「そんな!」

 鳴門刑事は珍しく向きになって後藤に食って掛かろうとした。が、後藤が厳しい顔で鳴門刑事を制した。

「いや、すまん。訂正する。『教え』ではなく、これは『忠告』だ、鳴門!」


 納得はできない。そう思いながらも、鳴門刑事は後藤の言いたい事もわかるような気がした。思えばこの事件そのものが、そもそも関わるべきことではないし、『関わるな』と上層部からも後藤からも忠告を受けていたことだと、今更ながらに思い知らされた。が、しかし、そう思えば思うほど、鳴門刑事の胸には黒い、わだかまりのようなものが、どうしようもなくざわめくのであった。


「よし、今度は坊主がやってみるか?」下駄の男は、ゴモラに続いてウルトラマンをレジ袋から出してタクマくんに話しかけた。

「おや?」後藤はレジ袋の中にまだ、何か入っていることに気がついた。

「どうしました?」

「いや、あの中には、もう一体いるみたいだが」

「あー、怪獣は全部で4体買いました」

「予備……というわけか?」

「さぁ、タイラントという怪獣です。タイラントというのは……」

「その話は後だ。始まるぞ」


 タクマ君は恐る恐るウルトラマンを受け取ると、ゴモラと対峙した。見た目に怖がっているのがわかる。ゴモラは下駄の男が操る。エレキングと同じでゴモラの武器は強烈な尻尾による攻撃である。エレキングは電撃と締め付けの攻撃であるのに対し、ゴモラの尻尾攻撃は、強烈な打撃技である。ゴモラの尻尾攻撃にタクマ君のウルトラマンは跳ね飛ばされる。


「尻尾だ。尻尾だよ」真壁が呟くが、タクマ君にはどうしていいかわからない。そのとき、下駄の男が気のこもった言葉で真壁を叱咤した。

「真壁よ。己の力で、ゴモラに立ち向かってみせい!」


 一瞬真壁は気迫に押されて怯んだが、それでも体勢を立て直してゴモラに対峙した。

「これでも食らえ!スパイダーショットを御見舞いするぜ!」

 それはまるで少年の日の真壁を見るような錯覚。真壁は右手を胸元に、左手を少し前を出し、握りこぶしを二つ作る。それは科学特捜隊の光線銃、スパイダーショットを持つ構えだった。


 下駄の男が再び息を、ふっとソフビ人形に吹きかける。ゴモラの太い尻尾がもぎれて砂の上をのた打ち回るかのように転がった。

「うわー、すごいやー」子供たちから歓声が上がる。

「これはいかん」

 下駄の男はゴモラを砂の中に埋め込んだ。ゴモラは逃げた。


「さぁー、いよいよ仕上げじゃぞい!」

 下駄の男は砂の上に転がった尻尾をレジ袋にしまい、倒れたウルトラマンの人形をタクマ君に渡した。

「ゴモラが現れたら。止めを刺すんじゃ。スペシウム光線、どうやるかわかるか?」

 そういいながら、下駄の男は右手と左手を体の前で交差させ十字を作った。

「この構えじゃ。いいか、今度は子供たちみんなでゴモラをやっつけるぞ」


 さっきまで怖がっていた子供たちはすっかり気を取り直していた。その瞳はまさにヒーローの強く輝く瞳、そのものであった。


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