55/136
第七話 嫌悪
優しい亮の笑顔が、蓮の胸に強い痛みを与える。
語られた愛情に、感激したのは事実だった。亮の言葉があと半年早ければ、迷わず彼の腕に飛びこんでいただろう。
けれど今は、半年前とは違う。蓮の気持ちが、決定的に違っていた。
亮の言う通り、月龍の中で別れは決定事項になっているのかもしれない。
亮にさえ冷たく言い放ったことを考えれば、可能性は高かった。
だからこそ、閨房の術だけが望みになるのではないか。それを覚えたら月龍も考え直してくれるかもしれない。
そう思うことだけが、一縷の希望だった。
――けれど。
蓮を抱く、優しいけれど切なげな亮の顔を見上げて、罪悪感に潰されそうになる。
亮が辛いだろうことを承知で、改めて教示を頼んだ。想いに応えるつもりもないくせに、ただ抱いてくれと言った。
亮を、利用した。
もしかしたら自分は、狡猾なのかもしれない。これほどまでに、汚らわしい人間だったのか。
蓮は生まれて初めて、自身を嫌悪する感情を痛感していた。




