1-1.税務署長は忙しい!
本日よりぷちきゅう劇場シアター3にて新作の上演を開始いたします!
異世界エーレタニアの3番目のお話はすでに書き終えて、全3章36話11.3万字という短さです。
初日は3回投稿します。朝昼晩と、お薬飲むタイミングあたりですので、薬を飲まれる方は飲むついでに楽しんでいただけると幸いです。
爆笑して薬を吐き出さないよう、お気をつけくださいね。
「おい!?さっきの魔獣、まだ生きてやがるぞ!?心臓突き刺したのに!?」
「ブルーベアーは心臓が左右に1つずつあるのですよ」
「なんだって!?さっき死に物狂いで急所刺したってのに、もう1回やれだと!?あんだけ荒れ狂った状態のヤツだぞ!?」
「でないと我々が死にますね」
「なに冷静に言ってんだよ!?お前も命ヤベーんだぞ!?」
「そうですね。ですが、私に戦闘能力はありません。ただの秘書ですから、ジタバタしてもどうにもなりません。署長に頑張ってタイマンしてもらわないと」
「ああ!もうーー!!人間、死ぬ気でやりゃなんとかなる!やってやる!やってやるぞーー!!」
「その意気です。ガンバ」
オレはコウ。本名は芹沢 公太って言うんだ。
なんでコウって名乗ってるかって?この世界では苗字は名乗らず、本名も隠してニックネームで呼ぶんだとさ。
ここは『エーレタニア』っていう異世界なんだそうだ。オレは地球人なんだが、訳あってエーレタニアにいる。まさかアニメや小説であるような世界が本当にあって、本当に来てしまうとは思ってもなかったが。
今、オレは目の前のデカい熊と戦っている!この世界では人を襲う獣を魔獣って呼んでるそうだ。魔法も使うヤツもいるらしい。魔法ってのはよくあるアレの事だ。説明はいらんよな?
魔獣退治って事は、よくある『冒険者』ってヤツだと思うよな?オレもそう思っていたが、今のオレの職業は『税務署長』なんだ···。
なんで税務署長が魔獣退治やってるんだって?オレもそこは大いに疑問だ!だが、現実はコレだ···。コイツを倒さないと、帰れねえんだよ!
「うおおおーーー!!」
「(ザシュッ!)グァアアアーー!!」
「はあっ!はあっ!な、なんとか倒せた···」
「さすがです、署長。それでは解体して換金できる部位のみ持ち帰りましょう」
「はあっ!はあっ!そ、そうだな!ちょっとしたお小遣いになるしな!」
「いいえ、国庫に入ります。我々は公務員ですから」
「············」
「何をボーッとしてるのです?早くしないと、血の匂いを嗅ぎつけた魔獣が集まってきますよ?」
「···やってられるかーーー!!」
オレがこのエーレタニアにやって来たのは、今から3ヶ月前だ。
って言っても、この世界だと1月が35日もあるんだよなぁ〜。地球とは暦が微妙に違ってる。そりゃ、世界が異なればルールだって変わるさ。日本と海外ってだけでも違い多いし。
あの日、オレは買い物しようと町まででかけたんだ。サイフはちゃんと持ってるからな。
そしたらだ。アーケードの手前でチラシを配ってる変な格好をしたヤツがいたんだよ。緑色の髪に背中に翼があるんだよ···。
コスプレならイベント会場でやれよ!って思ったさ。メイドさんの格好した喫茶店の呼び込みならまだ理解できるがな。なんで天使っぽい格好なんだよ?警察呼ばれんぞ?
もちろん、行き交う人たちは完全に無視だ。オレも無視して通り過ぎようとしたら、チラシを持っていた腕がオレに接触しちまったんだよ。
「おっと、悪い」
「えっ!?お兄さん、ボクが見えるんだね!?」
「は?どういう意味だよ?」
「言葉のとおりさ!お兄さん!ちょっと時間ある?聞いてもらいたいお話があるんだよ〜!」
「···さいなら」
「えっ!?ちょっと!?」
コイツ、バカか?キャッチセールスなんて条例で禁止されてんのに、今どきやる奴がいるとは思わなかったぜ。無視だ無視!
そう思っていたんだが、なぜかオレはチラシを受け取っていたんだ···。チラシ、手に取ってないよな?どうして持ってるんだよ?
まぁ、ここでポイ捨てしたら怒られるだろうし、どこかのゴミ箱に捨てりゃいいか。
買い物を終えて昼食をとるためにレストランに入った。
「ご注文をどうぞ〜!」
「日替わり定食、ご飯大盛りで」
「日替わり定食の大盛りですね〜!かしこまりました〜!」
注文をしてからおしぼりで手を拭く。ホッと一息ついてから、さっきのチラシを見ることにした。どうせくだらないものだろうと思ってたんだよ。
でも、あのチラシを配っていた子が気になることを言ってたのを思い出したんだ。
『ボクが見えるんだね!?』
あれはどういう意味だ?まさか、みんな見えなかったから無視して通り過ぎてたって事か?
あんな言葉、とっさには出ないもんだろ?本当にオレしか見えなかったから出たような言葉だったぞ?とても勧誘には見えんかったがな。もしこれが勧誘の手口だとすればなかなかの名演技だ。
というわけで、ちょっとチラシが気になったんだよ。クシャクシャになってるチラシを開いて見てみると···?
『税務署長を募集中!
計算が得意な人!事務仕事が好きな人!体を動かすのがた〜のし〜!という人!
ぜひともご応募ください!
採用された方は家を用意しております!
詳細についてはこの2次元コードからアクセス!』
···わけわからんぞ!?どういうことだよ!?税務署長を募集って、公務員だろ!?なんでチラシで募集してんだよ!?公務員試験合格しないといけないんじゃねえのかよ!?
怪しい!とんでもなく怪しい!
こんなの、誰が応募するんだよ?ふざけるにしても、やりすぎだろうが···。
まだ日替わり定食は来てないな···。まだ来るまでに時間ありそうだし暇つぶしに詳細とやらを見てやるか。こっちもふざけてるだろうから、どこまでひどい内容か見てやるか。SNSに晒し上げるのもありだな!
···これがいけなかった。
次の瞬間、オレは気を失ったんだ···。
「お〜い!起きろ〜!」
「···ん?え?」
「おっ!?やっと起きてくれたね〜!」
目が覚めると、眼の前にはさっきチラシを配ってた天使っぽい格好の子がいたんだ。
そして周囲を見回すと···、さっきまでいたレストランじゃねえぞ!?
まるでワンルームマンションの一室みたいな部屋だった。ベッドにゲーミングPC、2面の曲面モニターがある部屋だった。
部屋にはチラシを配ってた子のほかにもう1人男がいた。···なんだか貧乏くさい格好したおっさんだな。
「ナビくん···。本当に連れてきちゃったのか···」
「えっへん!久々に勧誘できたね〜!エレくん!この人なら大丈夫だと思うよ?」
「あの〜、あんた誰?」
「おっと、これは失礼。オレはエレ。この世界『エーレタニア』を創造した神だよ」
「···はぁ?あんた、本気で言ってんのかよ?」
「本気だとも。まぁ、この世界に引き込む方法はオレの時と同じ手段を使われたってナビくんから聞いたけど、あんたも災難だったなぁ〜」
「ボクはナビくんって呼んでもらったらいいよ〜!キミの名は?」
「···芹沢公太」
「公太くんか。じゃあ、コウくんで!」
「おい!?勝手にあだ名つけんなよ!?」
「悪いね、コウくん。この世界では本名を名乗るとろくなことがなくてね。オレも江口玲央って名前なんだけど、エレって呼ばれてるのさ」
「···で?早く帰してくれよ。日替わり定食頼んでるし、帰って昼寝したいんだけど」
「え?帰れないよ?」
「···は?」
「だから、もう地球には帰れないって!」
「な、なんだってーーー!?」
「あ〜、オレの時もそうだったなぁ〜。まぁ、強く生きろ」
どうやらオレはこの世界、エーレタニアへ拉致されてしまったようだった···。
異世界エーレタニアの神様であるエレくんも拉致されて無理やり神様させられてますが、実はほかにも拉致されてエーレタニアに連れて来られた被害者がいました!手口は一緒ですね〜。
しかも今回は事前に税務署長という役職で募集(?)かけてました。これからコウくんには頑張ってもらうことになりますよ~。
ここで処女作のアキくんのお話を読まれた方はお気づきかもしれませんが、時代はアキくんの物語よりもかなり前になります。
このコウくんの活躍は、処女作のアキくんにも多少影響を与えてます。そのあたりは最後の方で明らかになりますよ~!
さて次回予告ですが、もろもろの説明を受けたあと、コウくんは配属先の城北税務署に向かいます。すると、中から慌てて出てくる人が···?何かあったのでしょうか?
次回は本日昼頃に投稿します。お楽しみに〜!




