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第3話 ラジオ・2

「え、じゃあ2人ならどう断る?」

「〝ごめん、生理的に無理〟」

「〝寝言は寝て言え馬鹿野郎〟」

「優さんと透花もなかなか酷い‼‼‼」


「…………いや、ごめんと言ってるだけ優さんは優しい…………?」

「ごめんさほろ、冗談。冗談だから」


笑いを噛み殺す優と、笑いを殺し切れていない透花がプルプルと体を震わせながら口を挟む。


「冗談にしては質が悪いんじゃないですかぁお二方~」

「ごめんて…………あまりにころっと騙されるから」

「やっぱり、さほろはこれから私が守r

「透花に守られるくらいなら真慈を盾にするわ」

 酷い‼‼‼」


嫌なことにはNOと言える日本人・さほろである。


「いやでも、そんなペラい盾で大丈夫か?」

「正直大丈夫な気は全然しないけど、無いよりはマシかなって」

「はいっ、身内ネタが凄いので話を戻すべきだと思います!」

「あ、そっか。今一応ラジオ中だっけ」

「えーじゃあ、結論として…………」


んー…………と考えた優が、意を決した顔で言った。


「〝自分が思った通りに言う〟!それで信じて貰えなかったら取り敢えず逃げて、そのことを周りに話しまくり、社会的な地位をどんどん…………」

「ブラック優さんが出てるよ、抑えて抑えて」


じゃあ次行くよー、とさほろは次の手紙を出す。


「えーと、次のお便りはラジオネームきつねさんからです」

「たぬき(からの)きつねかあ…………!!」

「偶然だけどね」

「きつねさんあざっす」

「あざっす‼‼」


さほろが続きを読み上げた。


「〝ついこの前、前髪を切って髪も染めたのですが、彼氏には1ミリも気づいて貰えませんでした。でも、腐れ縁である幼馴染には会ってすぐ気づいて貰えました。とても嬉しかったのですが、それ以降幼馴染の顔が頭から離れません。彼氏もいるのに…………どうすればいいですか?〟とのことですが」

「おぉっとぉー…………こういう感じかぁ…………」


優が何とも言えない、強いて言うなら困った顔で呟いた。


「要はあれでしょ?今の彼ピッピと別れて幼馴染にアタックするか、別れずにアタックもしないかで迷ってるってことでしょ?」

「そういうこと…………かな?」

「じゃあもう決まってるじゃん。本当に好きかを確かめて、好きならピッピと別れる。好きじゃないなら別れない」

「「……………………ほう!」」


透花の的を射た言葉に、優とさほろが興味を惹かれる。


「具体的に言うと?」

「えー?っと…………例えば今の彼氏としたことがその幼馴染にもできるか、とか。手を繋ぐーとか抱き着くーとかができるかなって感じで」

「一応妄想に留めておく方がいいかもね。実際にやったら浮気問題になりそう」

「だな。知らんけど」

「そう!知らんけど!」


一応言っておくと、ここにいる全員が非リア充なのである。

全員が何かしらのヲタクをやっているので、現実は充実しているが。


「てか、そういうことなら逆に考えてみるのもアリじゃね?」

「逆というと?」

「幼馴染にアタックするとき、〝彼氏と別れて〟って透花は言ってたじゃん?だからー…………」


んー、と優は少し考えてから言った。


「例えば今までのスキンシップとかはなくなるし、別れるから彼氏にとっての自分の優先順位も当然下がる訳だ。自分に向けられてた優しさも向かなくなるし、接点だって少なくなるよな」

「あぁ!じゃあそういうことを加味した上で考えると…………」

「必然的にどっちを大切にするべきか分かるってこと⁉」

「そういうこと」

「優さん天才~‼」

「さすゆうすぎ‼」


わーい!と3人で大喜びしていると、喜ぶ声より大きなビーッという音が響いた。


「おっ⁉」

「あっやば、電子レンジの中に放置しすぎた!」

「何を⁉」

「皆大好きの小豆アイス」

「人気だねそれ‼‼」


昨日も優が食べていた小豆のアイスを、透花が電子レンジから取り出す。


「…………って、電子レンジ?」

「ちょっとあっためたんだよねー」

「邪道だな透花…………この小豆アイスは硬いまま下唇下制筋と口角下制筋を酷使して食うのが良いんだろうが‼‼」

「そんな筋肉一覧表みたいなのを見ながら言われても説得力ないよ優さん」

「てか何だよ下唇下制筋と口角下制筋‼‼」

「ご本人も知らなかったか…………って!違う違う、ラジオだってば‼」

「あ」

「また忘れてた~」

「うんだよね、うちも忘れてた‼えーと、次はねこさんからのお便りかな⁉」


あわあわしながら次の手紙を読んだ。


「えっと、〝チームまたたびというグループでバレーをやっているのですが、なかなか勝てません。どうすれば良いのでしょう〟…………ってスポーツ系はわからんな。ヘイ優さんパス」

「知ってるかさほろ、それはパスじゃなくて丸投げって言うんだ」

「いや、こんな運動音痴にアドバイス求めたら碌な結果にならんて」

「じゃあ透花…………」

「運動系はノーサンキューでーす」

「えぇ……………………」




「えー…………次はこぶたさん?から。〝よく絵を描いているのですが、画力が上がる気配がありません〟かあ…………。この辺は透花ならアドバイスできるんじゃない?」

「ええ、できるかなあ」

「できるよ、透花だもん」

「じゃあやる‼」

「あれ、透花ってこんなにチョロかったか?」

「優さん、しっ」




「じゃあ次はたぬきさん…………2回目⁉」

「たぬき→きつね→ねこ→こぶた…………しりとりじゃん」

「普通こぶたから始めるんじゃないの?」

「人によるんじゃない?」


話し続けて数時間、来ていた手紙もなくなった。


「…………よし、今日は疲れたから解散で。お疲れ~」

「はーい」

「乙ー」


ヘッドセットを取り、漸く一息つく。


「っはぁ、疲れた…………」

「でも楽しかったね、ラジオごっこ」

「またやるか」

「やろやろー」

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― 新着の感想 ―
久々に続きが読めて幸せ〜!!!!!!!!!!!! 珍しいメンツの恋バナで超新鮮だった!! 今回も最高、世界一、I♡HOUSE、 I♡U 続きを首を長くして待っています
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