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第0話 プロローグ

「…………どこだここ」


さほろが目を覚ますと、真っ白の部屋にいた。


「あ、優さん」


さほろの隣には優がいた。気絶しているようだが、目立った外傷はない。


(どういうことだ…………?他の人はいないっぽいし…………)


さほろが辺りを見回す。

部屋の中心には大きな円形の机があった。

丁寧にテーブルクロスをかけてある。

キッチンなどの家具、冷蔵庫などの家電製品も揃っていた。


(クローゼット?みたいなのもあるし…………中は…………)


立ち上がってクローゼットを開けると、様々な服がハンガーにかけてあった。

屋内用のスリッパもスカートやズボンもある。


(この部屋は…………浴室か!)


隅の部屋を開けると、シャワーと浴槽が壁を隔ててあった。

違う扉を開けるとトイレがある。


(すっご、ここで生活できんじゃん)


それでも嫌に殺風景に思えるのは、すべてが白で統一されているからだろうか。

白い机に白いテーブルクロスとはあまり意味がないのではないだろうか。


(窓も何もないのも気になるけど…………)


優が起きてから考えても遅くはないはずだ。

さほろはそう思って角部屋の扉を閉めた。


「…………あ、さほろ」

「優さん!おはよう」


優も気が付いたらしい。


「寝起きで悪いんだけど、ここどこかわかる?」

「いや…………てことは、さほろも知らないんだな」

「うちもついさっき起きたからね」


そうか、と言いながら優も立ち上がった。


「…………すげぇな。全部白いからちょっと気持ち悪いけど、家具から何から全部揃ってる」

「ね。ここで生きていけそう」

「あれ、よく見たら俺らの寝間着おそろじゃん」

「…………本当だ、言われてみれば」


ホテルなんかで置いているような白い寝間着を全員が着ている。

ただ、裾はそれぞれ膝下まであり、ズボンはない。

その後も2人で散策していると、食料棚を見つけた。


「すげえ。こっちにお菓子めっちゃある」

「マジで?」

「あ、ポテチ見っけ。これ食べよ」

「折角だしチョコも開けよーよ」

「お、いいじゃん…………うん?」


優が腕を伸ばす。


「何だこれ…………便箋用の封筒?」

「中身は?」

「えーと…………」


優が四つ折りになっている紙を広げると、印刷された文字を読み上げた。


「〝裏話をしろ〟…………って、これだけかよ」

「裏話ぃ?何でまた」

「さぁ……………………」


優が首を傾げると、ぱさっと紙がもう1つ落ちた。


「あ、他にも紙が…………って、カンペって書いてあるんだけど」

「えっ草」


取り敢えずということで席に座り、第一発見者である優がカンペを読み上げる。


「えーと…………〝ここは、現実の時間が流れていません〟」

「うん、一つ目から意味わかんない」


どういうことなのだろうか。

取り敢えず続きを読むことにした。


「えー…………〝外には出られませんが、それ以外のことなら大抵は叶います〟」

「ヤンデレが監禁してるときの内容…………」

「ちょ、話が進まんから一旦突っ込みはストップで。後からまとめて突っ込むべ」

「おけ」


さほろが頷き、優は続きを読み上げる。


「〝毎日出されるお題をクリアすれば外には出られます〟

〝お題は1日あたり1つです〟

〝外から襲われることも、餓死したりすることもありません〟

〝外からの扉は1つだけです〟

〝食料は増えませんが減りもしません〟

〝上の者が満足したら解放されます〟…………だってさ」


優が紙から顔を上げた。


「…………え、何その社長ポーズ」

「え、これ社長ポーズって言うの?」

「いや知らん」


さほろは組んでいた手を降ろし、俯いていた顔を上げる。


「えっと…………どこから突っ込めばいいの?」

「それな。まぁでも、言われた通りお題をこなせば良いんじゃないか?」

「そうだね。やることもないし」


しかし命を奪られるという訳ではないようだ。

それさえ分かれば後は怖いものなどなく。


「じゃあしますか、裏話」

「うぇーい」


そういう訳で、1日目のお題をこなすことになった。

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― 新着の感想 ―
外伝出るとか最高すぎる… 年甲斐もなく年越し直後に叫びながら飛び跳ね回っちゃったよ… 近所迷惑だな私 本当に好き好き大好き生きててくれてありがとう さほろ今回も可愛いなおい 私の推しちゃんと出てきてく…
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