表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/433

第二十四話 精通する分野




 ロレッタのやるべき事は、炎の魔導師が魔術を顕現させやすくするために大気を管理する事。つまりは戦いやすい環境を作る事だ。それは考え方が非常にシンプルで分かりやすい。炎を避けながら、水魔法を放つより、余程役に立つ。


 これで盗賊に襲われた時に、『出来るだけ遠くに離れてろ!』という事態に陥らなくなる。活路を見出せて本当に良かった。


 ルーシュ様と目が合うとドヤ顔でニコニコしてしまった。いや……ドヤ顔は前のめり過ぎただろうか? 実際の所、まだ何も起きていない。


「ロレッタ?」

「?」


 反属性のルーシュ様にドヤ顔をしていたら、属性相性の良いシリル様に話しかけられる。


「今、ニヤニヤしてなかった?」

「………」


 自覚的にはニコニコでも、実際はニヤニヤなんですね!

 客観とは大切です。


「雷が何故ジグザグの軌道で落ちるか知っている?」


 確かに、激しい雨の中、空からジグザクになって落ちてくる。

 普通に考えれば何かにぶつかって進路を曲げているのだろうか?


「雨の粒にぶつかりながら落ちてくる訳だ」

「?」


 そうなんですか?

 なんで知っているんですか?

 雷の魔導師だけが知っている感覚としか思えない。

 稲妻はまだまだ謎が多く、人間が理解出来ない事だらけなのだ。


 でも…それは人体にもいえる。人体はブラックボックスで分からない事だらけ。聖女は一瞬痛覚、人間が痛みを感じる感覚を鈍らせる事があるのだが、この一つの行程を取っても、とても難しい。一人一人感覚というものは違うのだ。


 人の体の反応が一人一人違うという事は、薬の量が違うという事だ。男性であるとか女性であるとか、老人であるとか子供であるとか。そういう部分でも違うのだが、それだけではない。


 生まれ持っての体質の違い。これはもう聖女を悩ませる一番の種とも言える。

 なぜならば薬は諸刃の剣。薬であり毒なのだから。聖女は万能と思われがちだが、そんなことはまったくない。実は失敗も存在する。


 それはどの魔導師でも一緒だ。炎でも雷でも光でも闇でも。炎だって少し間違えれば自分の手が火傷をする事だってある。雷だって誤って自分の手が痺れた事は一度や二度ではないはず?


 その中でも、比較的間違いが許されない魔導師が光と闇だ。人体に直接魔法執行を行うからだ。今でも他人に聖魔法を掛ける時は、刹那の躊躇いがあるし、緊張もする。そういえば中等部の時は、自分の体を使って、良く聖魔法の実験をしてたっけ……。あまり褒められた事ではないのだが、でも他人に掛けるものを、自分は全く受けた事がないとなると、少し不安になるのだ。


 聖魔法の底辺概念は、今よりも悪くするな。

 痛みの緩和もそうだけど、強くかけ過ぎて後々痺れが残ったりしたら、今よりも悪い。だから、最悪の最悪になるのなら、施行するなとさえ言われる。


 どんな時に言われるかというと。

 治し方を知らない時。

 魔法式が解けない時。

   

こんな時は、消極的治療。緩和治療などが勧められる。


 聖女は人体に精通しているが、やっぱり雷の魔導師は雷に精通しているのだろうとほんのり思う。






一週間お休みいたします!

次の投稿は来週の土曜日になる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミック】『紅の魔術師に全てを注ぎます。好き。@COMIC 第1巻 ~聖女の力を軽く見積もられ婚約破棄されました。後悔しても知りません~』
2025年10月1日発売! 予約受付中!
描き下ろしマンガ付きシーモア限定版もあります!

TOブックスオンラインストアは画像をクリックまたはこちらから
紅好き。コミック1宣伝用表紙
第3巻 発売中!!
TOブックスオンラインストアは画像をクリックまたはこちらから
紅好き。2宣伝用表紙
第2巻 発売中!!
TOブックスオンラインストアは画像をクリックまたはこちらから
紅好き。2宣伝用表紙
第1巻 発売中!! TOブックスオンラインストアは画像をクリックまたはこちらから
紅好き。1宣伝用表紙
― 新着の感想 ―
[一言] ルーシュの為に出来る事を見付けたロレッタはご満悦(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ