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第二十三話 反属性Ⅲ



 僕の魔法と君の魔法の相性は抜群。


 シリル様の言葉を受けて、私は考え込む。

 確かに――雷の魔法というのは、つまる所雷をどれだけ通す事が出来るかという事にも繋がる。大地へと落とした場合、四メートルと行かずに吸収される可能性が高い。銀や銅などが一番雷を通し易いが、金属で道を築くというのも……あまり現実的ではないだろう。すると水。水で雷の道を作るアシストが出来れば、範囲も威力も広がるかも知れない。少なくとも炎と違って邪魔にはならない。


 雷は光速で進む為、水は同時ではなく事前に張る形の方が良いだろうか? そこまで考えて、自分の父の事が思い出された。氷の魔導師は水以上に雷の魔導師との相性が最高なのではないかと。


 そもそもが、氷の魔導師というのは水も自由自在に操れる。雷の経路を作るだけではなく発生にもアシスト出来るのではないかと。なんせ氷の粒同士が摩擦熱を作ることによって発生する訳だし……。まあ、発生源は一つではないが……。


 氷の粒と粒を擦りながら、シリル様に同行すれば、彼は無限に雷を打てるかもしれない。少なくとも発現は大分楽で安定する。しかし……地上の温度で氷を摩擦。手じゃない何かで振動させる必要がある。しかも氷点下の氷のまま。


 氷の魔導師ではないのに、氷の魔導師的な思考で考えを巡らす。

 ロレッタは配色ブリザードなのに、氷の素養がないとはどういう事なのだろう?

 聖魔導師で水魔法の方がサブ扱いだ。魔力素養がどちらが高いか? で専門が決定する訳ではない。聖魔法が発現している者は、聖魔法が一択の進路になってしまうのだ。


 学園に上がる前の、年の離れた弟がいる訳だが、彼は水の魔導師だ。……たぶん。配色がブリザードではない。水の魔導師特有のブルーブロンドの髪をしていて毛先だけやや淡い。

 瞳は蒼で水魔法の系譜。たぶんセイヤーズ本家に行けば、割といそうな配色だと思う。


 氷も雷と同様に、本当に全然出ない。取り敢えずは父しか見た事がない。氷の矢と水の矢の威力を比べれば当然氷の方が上だ。その上、氷の魔導師は状況によって使い分ける事が出来る。氷の矢の方が簡単に落とされるし破壊しやすいので、剣を相手にする時、どちらが有利か考える必要がある。水は切れない所が重要な長所だし。


「私はまず魔法で、シリル様のアシストをする技術を学ぶべきだと?」

「そう。僕は今、魔法省に籍を置いているし、君とフォーメーションを組む機会が多いと思う。想定していても損はないよ?」


 確かに、損はない。今現在そういう状況な訳だし。大いにありる。


「では、私が適切な場所に水を張れば良いのでしょうか?」

「シンプルに言うとそうなんだけど、ルーシュの魔法は雨や霧だと魔法引火が遅れる訳だ。だからまず、彼の周りの空気が乾燥しているに越したことはない。そうすると展開が速くなるし」


 私は今、一瞬反属性の活路を見た。

 その通りだ。水を発現させてアシストする事ばかり考えていたが、大気中の水の量をコントロールするというのは素晴らしいアイディアだ。その水を水筒に入れても、近くの川に流しても良いのだが、一番効果的な使い方は、敵の対象を絞って雷の経路を作る事だ。


 そうすれば一石二鳥になる。三人だから出来る相乗効果で、素敵な案。

 大気中の水をコントロールするのは、水魔導師にとって初歩中の初歩。一番最初に訓練する魔術だ。まずは大気から一滴の水を取り出す。水蒸気を水に戻す。気体から液体に変化させる事。この魔術は当たり前だが乾燥した土地では難易度が非常に高くなる。

 逆に霧なら出したい放題だ。そりゃそうだ。大気が水で重くなっているのだから。


 私は知らず知らずのうちに笑みが零れた。

 

 炎と水は悪くない。 

 それがとても嬉しい。


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