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【025】『真実の愛(第二王子サイド)』

感じ悪い回です。


 アクランド王国第二王子であるバーランド・レイ・アクランドは自室を落ち着かない様子で行ったり来たりしていた。陛下から謹慎処分を受けたのだ。あの卒業記念パーティーから解せない事が多くなった。


 そもそもアクランドという大国の第二王子として生まれたのだ。子供の頃から何かを我慢した等という経験がない。富も権力もほしいままにして来た。卒業記念パーティーも最高に楽しい計画であった。兼ねてより気に入らない第二聖女を大勢の人の見ている前でこっぴどく振ったのだ。非常に高揚し気持ちの良い体験が出来た。あの日の最高権力者はバーランドだった。普段から鼻に付く王太子はいなかったし、陛下もいらっしゃらなかった。いらっしゃればバーランドのカリスマ性ある言動を見せることが出来たというのに。そうすればもしかしたら王太子にだって近づけたかもしれない。


 バーランドには気に入らないものがあった。それは王妃腹の王子達だ。妾腹の王子であるバーランドに威丈高に接してくるのだ。プライドの高いバーランドはそれが我慢ならなかった。あの王太子の澄ました顔と黄色の瞳には虫唾が走る。まるで雷の魔導師である事を自慢するかのように、見せて回っている。

 更に第三第四王子達と来たら、バーランドを軽視して来る。年下の王子であるくせに。自分は第二王子なのだ。王子の中では二番目に偉い立場だ。不敬にも程がある。第五王子は末の王子であり別腹な為、眼中にない。


 バーランドは生まれ持った魔法という適性が大嫌いだった。なんの努力もせずただただ魔法が使えるからといって特別視され大切に扱われる。だからその代表でもある聖女をこっぴどく振ってやったのだ。魔法科だか聖女科だが知らないがエリート面しやがって。魔法が使えれば偉いのかよ! そんなものは親からの遺伝以外の何ものでもない。容姿だってそうだ。王妃の子は全て王子然とした優れた容姿をしている。なんなんだアレ。気持ちが悪い。自分くらい少し線が太めで男らしい体躯をしている方が良いに決まっている。瞳だって黄色だとかローズだとか異常な色をしている。奇抜過ぎる。茶色が一番だ。


 それにしても、卒業記念パーティーでの第二聖女の出で立ちには笑った。バーランドの髪と瞳の色に揃えたドレスを着ていた。バーランドの事が好きで好きでたまらなかったに違いない。あんなに全身バーランド色に揃えたのだから。ドレスも貴金属類も一度も贈った事がないのに、健気な馬鹿だ。魔法が出来ても馬鹿じゃあ使えない。ココ・ミドルトンの方が女としては図抜けて魅力的だった。体のラインは女性的だし、顔も派手な作りをしている。第二聖女なんて淡泊な人形の様だ。


 バーランドは自分が卒業記念パーティーでした事を思い出して大笑いした。計画は全て上手くいった。聖女はこれ以上無いくらいこっぴどく振ってやったし、ココ・ミドルトンとの婚約宣言も出来た。


 なのに何故? 自分は自室で謹慎などというものをしているのだろう? 第二聖女とは婚約破棄が成立したのだ。はやくココ・ミドルトンとの婚約更には結婚の儀を進めたい。第二王子なのだからな、盛大に祝わないと。


 第二王子バーランドは自分の結婚の儀を想像して、また笑う。心の底から楽しみでならないという哄笑が廊下まで響いた。


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