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第五十四話 その道の行く先に宿屋はあるか?



いつも読んで頂きましてありがとうございます!


コロナ罹患で長く休んでしまいましたが、その間、感想&誤字脱字を送ってくれた皆様、作者と共に作品を助けて頂き感謝しております。


この作品を書き始めた時には、想像もしていなかった沢山の読者様に支えられて、長く続ける事が出来ました。


この先、ロレッタ、ルーシュ、シリルが越えていくべき事がありますが、彼らの人生にお付き合いして頂けたら嬉しいです。







 一周回ってシリル様と同族?????



 ロレッタは黒髪に髪飾りをしゃらしゃらと着けているシリル様を見つめていると、自分も一度くらい黒髪になってみるのも悪くないなと……思考回路が明後日の方に振り切り始めて、首を横に振った。


 見つめてはいけない、変なオリエンタル効果が発動して毒されてしまう。そうこうしないうちにポーション名もうっかり決まってしまう危険性がある。自分をしっかり持たなければ。




「じゃあ、シリル様の希望は『ロレッタ』。ルーシュ様の希望は『呼びやすく好感の持てるものなら何でも』という事で、纏めて置きますね」



 ロレッタは一応、希望を募ったという状態で保留にして置く道を選んだ。却下でも決定でもなく、名前を決めるに当たって、一応ここまで進めましたという進行途中の案件という扱いだ。これが今ここで取れる精一杯の方法だとの判断。決定よりも精神衛生上安定する。





 シトリー領というのは、基本王都から西北方面にあるのだが、街道の終着点はセイヤーズ領になる。そして王都に近ければ近いほど、そして遠ければ遠い程発展している事になる。つまりは王都に近いもしくはセイヤーズ領に近いその付近が発達している事になる。シトリー領はどっちも近くない、つまり、都会から大層離れた荒れ地になる。


 更に問題なのは、街道沿いにない事だろう。つまり西北の大街道にシトリー領は掠っていない。何故、自分の領地を綺麗にスルーして街道を通したのか? というと、通した時は、自分の土地ではなかったという至極真っ当な理由だ。



 故に、シトリー領に行くには、途中で街道から逸れて川を渡らねばならない。そこが所謂難所だ。発展しない理由も多分そこにあるのだろうと思う。川というのは道が続いていない訳で、渡る為には橋を造らなければならない。しかし橋を造った先に荒れ地しかないならば造る必要などないのだ。道の繋がらない土地は発展しようもない。区切られた忘れられた土地となるだけだ。



 古今東西、橋というのは大変なウィークポイントになる。分断地だ。物流の弱点であり、逃げる時などもまたここが岐路になる。そもそも橋の所為で街の発展と衰退を分かつ訳だから、悩ましい存在だ。シトリー領の発展を考えるのであるならば、この弱点を強みに変える必要がある。



 蜂蜜生産を軌道に乗せたとしよう。商品は都心に運ばねばならない。距離的にはセイヤーズ領に運ぶより王都の方が近い。しかし、川に運んで貰うなら、河下の方、というか海があるセイヤーズ領の方が楽なのだろうか?



 しかし、シトリー領に船など気の利いた物はないし。やはり馬車が主流で運び出すことになるだろう。でも――



 私も、弟も、そして父も水魔導師なんだよね?

 たまにうっかり忘れるけれど?



 ロレッタはシトリー領に旅立つ前に、伯父様に少し訓練を受けた。

 それは今まで専門に受けていなかった所為かとても新鮮で、そして今までロレッタが使ってきた水の魔術とは規模が違った。



 物流に使える?

 どうなのだろう?



 まだ、蜂蜜生産の目処所か、商会仲間の意見すら聞いていない段階で、ロレッタは一人物流について悩んでいた。



 そんな悩みを抱えながら目の前のシリル様を見ると、彼は微笑んで、今日泊まる予定の宿の話をし始めた。今日はまだシトリー領ではなく、王領に隣接する公爵領の宿場街に泊まる予定だ。到着まで二泊する。



「部屋は三つ取ったんだよ?」

「そうなのですね」

「どういう部屋割りか分かる?」

「女子部屋、男子部屋、使用人部屋でしょうか?」



 使用人は主人と一緒じゃ微妙に休めないし。

 でも使用人といっても、従者兼御者が一人なのだが。

 ルーシュ様とシリル様は同部屋なのかな?



「まあ、多分そんな感じだけど、でもいつもは男子部屋にいると良いよ?」

「へ?」

「だって、一番広いしテーブルもあるし、街で買ったものとか一緒に食べたり飲んだりするでしょ? 寝る寸前まで男子部屋であれこれ打ち合わせもあるだろうし」

「成る程、そこがメインの部屋という訳ですね」

「そうそう。公爵領は肉が有名らしくて、串焼きとか人気の屋台なんだって」

「………」



 王太子殿下は街に出て、串焼き買う予定? でいらっしゃる?

 


「実は、旅の一座が来ているらしくて、『真実の愛』を上演するんだって」

「………」

「一緒に変装して行こうね」



 

 楽しみだねと微笑むシリル様に、ロレッタは微妙な感じで、ルーシュ様は薄目を開けている感じで聞いていたと思う。主人公は誰なのかなー? 元第二王子殿下かな………。






✾評価&ブクマで支えてくれた皆様もありがとうございます✾

ぼちぼち投稿して参ります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 再開おめでとうございます!でもくれぐれもご無理はなさらず…聖女ポーション無いですし… 第二王子の演劇…ソレオイシクナイヤツ… 串焼きは美味しそうですね♡
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