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第十四話 王太子殿下の秘密兵器。





「時にロレッタ」

「何でしょうか、シリル様」


 何故かまだシリル様のお膝の上に乗った状態です。これはどうすれば良いのでしょう? 介護の一部だと思えば良いのでしょうか?


「元気は出た?」


 ロレッタは首を傾げる。蜂蜜は確かに滋養強壮に効く素晴らしい食べ物だと思う。なんせ蜂さんが一回一回健気に巣に運ぶのだ。あの小さき体に花蜜という大重量を乗せて。蜂って尊いな。そして毒針を一度でも使えば抜けてしまい命を落とす。死ぬと分かっているのに、幼虫を守る為に刺すのだ。蜂の生涯と習性凄い。やはり尊い。


 少し蜂研究をした方が良いかも知れない。生態を知れば効率よく蜜が取れる。


「少し手を動かしてごらん」

「………?」


 そういえば? 先程よりも体が軽く感じる。え? 蜂蜜ってそこまで???


 ロレッタは恐る恐る手を上げてみる。


 ??? 

軽く動いた。

 ずっと続いていたダルさもない。

 聖力が回復した気がする。

 試しにリフレッシュを自分に掛けてみる。


 虹色の魔法陣が出現し、ロレッタを足下から包み込むと風で髪が広がる。


「……嘘? 聖力が回復した」


 その上、リフレッシュを掛けた事により、体も綺麗に浄化される。


 ロレッタは震えながらシリル様を見上げる。


「これはもしや」

「嬉しいでしょ?」


 ベッド横のサイドテーブルに乗っていた蜂蜜の瓶を凝視する。

 穴が空くほど見続けた。


「ちょちょっと良いですか? シリル様」


 シリル様はロレッタを下ろすのではなく、その態勢のまま蜂蜜の瓶を取ってくれる。


「……SS級回復ポーション」


 しかも魔力&体力の同時回復。

 ……出所がどこかと考えれば……。


「………まさか、おおおおお」


 めちゃくちゃ噛みまくる。


「おおおおおお」

「王子?」


 違う違う。第三王子殿下や第四王子殿下の作るポーション等級はF級どころか無級、そもそもここまで回復する物は作れないと思う。


「王」


 シリル様は『お』が付く方を上げてっているが、一人意図的に避けている。

 いや、そこまで来たら一息に言おうよ! 陛下じゃないし。そもそも陛下を『王』なんて呼ぶ貴族はいないしっ。


 それは陛下だって聖魔導師だが、これはなんというか、アクランド王国中で一番の腕を待っている、そう言うなれば第一聖女のSS級ポーション。しかも何年も掛けてその技術向上をしてきた経験者が作った最高級のポーションだ。


 つまりはその………。

 尊い方の傑作。

 値段は考えたくないが、やはり別荘に換算すると三軒分くらい行くのでは………。


 食べちゃった……。

 怖いどうしよう?? 

 借金が更にとんでもない事に………。


 高級ポーションというのは命の値段だ。

 金持ちはそこはケチらない。

 命より大切な金など存在しないのだから。

 全財産叩いたって買うだろう。



「………………王妃陛下のポーションですね…………」

「当たり。母上がもしもの時に使うようにと持たせてくれた、王族用特級ポーション。毒を盛られた時、罠魔術が発動した時、そんな時に使う肌身離さず持っているように言われた、特別な物」

「…………」


 ロレッタは蜂蜜の瓶を持つ手が震えた。

 どうしよう?

 私が飲んだってバレたら抹殺される? 


 だって王妃陛下が自分の最愛の息子であり、雷の魔導師である王太子の為に特別に生成されたものだ。きっと市場には出ていない。そういうレベルの物ではない。



 ロレッタは少し涙目になった。


 そんなロレッタを見てシリル様がクスリと笑う。



「君にあげる」



 黄色の瞳が優しく微笑む。



「君だけに特別」



 そう言って、シリル様の手が私の頭を優しく撫でた。







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― 新着の感想 ―
シリルのそれが本当に恋からの愛ならどうか報われて欲しいです。今回の人生においては誰よりもロレッタを深く想っている。原初の因縁のせいで定められた運命と言うならその悲しい棘は次の生まれ変わりの人にも引き継…
シリル殿下とくっついてほしいなー
[一言] これでもまだ恐縮するだけで愛されてるとは思わないのがロレッタですよね?(笑)
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