終話 光の聖魔法
空間の歪みから投げ出された私がどうなったかというと――
私が時間の止まった空間で過ごした二百三十七日は零秒なのだが、こちらの空間では二百三十七秒の経過。四分にも満たない。一日は千四百四十分なので日数分を考えると、約八万五千三百二十倍の体感。長かったですと文句の一つも言いたくなったが、そんなものは言う暇もなく、私は元いた場所で薬を呷り、聖魔法を展開し力を使い果たして気絶した。
◇◇
後から聞いた話によると、神官長は絶死。カルヴァドス二期の第九聖女は老衰死からの焼却。第一聖女はなんと裁判が始まって直ぐ、実家のベッドで強制睡眠中だったらしい。眠っている所を捉えられ、起きたら罪人扱いになっていた。「嘘よ、何を言っているの? 私は王太子妃よ? 触らないで」と叫び続けながら連行され、予定通り修道院に送られた。修道院とは言っても特殊修道院で監視付き自由無し。到着して直ぐに労働に従事するらしい。
なんでも、最初から最後まで黙って事の成り行きを見守っていたアクランド国王陛下は、第二聖女の大魔法展開に目を丸くし、恐ろしい聖力操作と魔法展開の速さ……。
と唖然として呟いた後、宰相に向かって、王太子妃は第二聖女とする。と言い切ったとかいないとか――
しかしそれはまた別のおはなし。
二章全七十一話になりますが、ここで終話になります。
評価、ブクマ、感想(ネタバレありなので注)、誤字脱字報告を下さいました読者様、この作品の執筆を支えて下さったのは皆様です。皆様の力が作品の一部であることは間違いありません。モチベーションを下さった読者の皆様に感謝を。
以後は単発でエピローグ的なものを入れるか、スピンオフ的なものを書くか、三章冒頭に繋げるか等……少し悩んでから決めようと思っております。








