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「今日はここまでにしましょう。ありがとう。」ソフィアはメイドたちに声を掛ける。
ラベルが貼られた木の箱に商品が収められていく。
メイドたちは綺麗に後片付けを済ませると、一礼して部屋を出ていった。
「ステラ、お願い。」
「かしこまりました。」
ステラは木の箱を手元に置き、細長いガラスビンを一本取り出すと丁寧にソフィアに渡す。
ゆっくりと一つ深呼吸して、両手で包むように受け取る。集中力を高める。
容器の中にソフィアが完成品の効能・形状イメージを込め魔力を注ぐ。
キラリと青いガラスが光った。
「完成ね。」
「はい。」
ステラは次のガラスビンを手渡す。
…
今日は7度ほど繰り返した。
つまり大量生産できない。
ビンに詰める適した素材の準備・管理・調合まではメイドたちが担当するが、魔力を込めるのはソフィアしかできない。
「お嬢様、今日は美白化粧品5本とエイジングクリーム2つできましたね!!」
ステラに笑顔で見つめられた。
「そうね。もう少し数多く作れれば街で販売できるようになるのだけれど…難しいわね。」
5本のガラスビンと2つの陶器ケースを見つめながら、ため息をついた。どちらも小ぶりな物。鮮度も重視したいのだ。
「お嬢様!!大量生産などしたら、お嬢様が倒れてしまいます!!そのようなこと考えてはいけません!!」
「……はい。」
ソフィアは庭に続く扉を開けテラスの椅子に腰を下ろす。広大な公爵家の庭、初夏の夕暮れに差しかかる時間に爽やかな風がサラサラと流れた。
と…整然としたハーブエリアの奥、若葉茂る大きな木の上部、森へと続く遊歩道の先に光るものがあった。
3つの光は瞬く間にソフィアに近づく。
そして膝の上に飛びついた。
「ビビ・トット・ポポ!今日も元気ね!!」
ソフィアの癒しトリオである。
ビビはうさぎ。真っ白ふわふわの毛並みだが毛先はプラチナのようにキラキラしている。
瞳がターコイズブルー、ウルウルしている。
トットは鳥。こちらは全身がターコイズブルー、羽根を広げると光に透かされて益々輝いて見える。瞳はあまりよく観察できないが薄い茶色、だと思う。
ポポはりす。プラチナブロンドの毛並みで尻尾がことさらもこもこしていて愛らしい。
そして瞳がターコイズブルーに輝いている。
膝の上で撫でまわしていると、ステラがハーブティーとクッキーとビビたちのおやつを持ってくる。
ビビたちは大人しくソフィアにおやつをもらい、それぞれ定位置に収まった。
ビビはそのまま膝の上、トットは頭の上、ポポは左肩の上だ。丸くなってリラックス状態。
ビビたちに会ったのはソフィアが5歳の時。
赤ちゃんうさぎ。小鳥。子りす。
それから7年……今も全く変わらない。
身体に乗せても負担にならない、むしろ魔力が回復する気がする。癒しのトリオである。
落ち着いたところで、リラックスハーブティー・高栄養クッキーをいただく。
ゆったりとした時を満喫した。