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王妃の部屋。

国王と王妃が向かい合って、好みのアルコールを楽しんでいた。

「エリー。楽しかったなぁ。」

「そうね、アレク。ソフィアの可愛らしさに癒されたのでしょう?」

「あぁ、ソフィアは可愛い。勿論、息子たちやシリウスも可愛いが、何とも離れ難くなるな。それに思った以上に賢いことが分かった。あの容姿に気立ての良さ。聡明さ。やはりソフィアがよかろうな。」

「身体の弱い事だけが心配でしたが、あの様子では克服してくれるでしょう。まだ、時間は充分にあるのですから。」

「そうだな。肝心のアルベルトは……。」

「大丈夫ですわ、アレク。あの子は昔からソフィアが好きなのです。お兄ちゃんになりたいなどと言ってはおりますが、照れ隠しよ。よくソフィアを見ておりますわ。」

「そうか。では、何も言わずに見守るか。」

「そうしましょう。うふふ。楽しみね~。」



――――――――――



お父様がアルミニウムを取り寄せてくれた。

ソフィアは早速、アルミホイルを創る。

これで定食屋での調理も楽になるわ!蒸したり焼いたり、色々使える。

厨房が完成したら、テオたちと試作してみなければ!

公爵家と付き合いのある職人たちの頑張りにより、秋には建物の完成。スムーズに進めば、年を越す前にオープン出来るかもしれない。


お母様の魔法がかかった特製の土も、成分分析は終わっている。次回ジル様に持って行くだけだ。

順調だわ。ボールもまずはサッカーボールで充分だと陛下が仰ったので、既に20個はある。


お母様はネイルに興味あったみたいだけど、水性マニキュアでも創ってみようかしら?

ん~っ。この世界にネイルケアはあるけれど、様々な色や模様のものはないはずだ。


コンコン。

創る準備と思っていたら、ノック音がした。

「お嬢様。奥様がお茶を御一緒にとのことです。」ステラの声に了承を伝え、指定された談話室に向かった。

「ソフィア。いらっしゃい。お掛けなさいな。」お母様は優雅な所作で紅茶を飲んでいた。「体調は大丈夫?」

「はい。元気に過ごしております。」

「そう、良かったわ。

今度ね、ブリトール伯爵家のお茶会があるの。先日のお土産の化粧品をとても気に入ってらして、夫人が購入させて貰えないかと。」

ブリトール伯爵夫妻は両親と仲が良く、ソフィアの誕生日会にも来てくれたのだ。

「はい。宜しければ、プレゼントさせていただきます。」

「販売となると、準備が必要だから私もそれがいいと思うの。それにソフィア、蜂蜜を仕入れたいのでしょう?ブリトール領は養蜂が盛んだから、お話を聞かせてもらえるようにお願いできるわ。」

「それは、嬉しいです。WinWinの関係でいきましょう!」

「ウィンウィン?」

「双方に利益があるということです。」

「そうね。そうなるわね。では、ソフィアも一緒に行きましょう。

でも、エリーやブリトール夫人、あとはバーネット夫人は別にしても、他の貴族が購入を申し出る事を考えておかなければね……ローレンとも相談しておくわ。」

「ありがとうございます。材料の内容については一覧にしておきますね。」

「ふふ。ソフィアは賢いわね。無理しないように気をつけるのよ。」

「はい。」

その後はネイルについて考えていた事をお母様に話してみた。お母様もどうすればいいか悩んでいたようで、方法について話し合う。

こんなのはどうか、色は何色が欲しいと楽しく相談していたら、ビビたちを連れてシロが迎えに来た。部屋でお留守番をお願いしたが、だいぶ話し込んでいたらしい……。

ごめんねと言うとシロが膝に乗ってきた。

ビビたちはお母様の膝に乗って丸まっている。再び楽しいおしゃべりが始まるのだった。




時間が空いてしまっが、テオとローラが公爵家を訪れた。

ローレンとは話し合いをしたりと連絡を取り合っていたようで、以前ほどガチガチではなかった。

今日はメニューの試作だ。厨房スタッフと一緒に始める。

アルミホイルに魚と野菜やキノコを入れて焼いてみた。ビンに入れたプリンを蒸すのにも使い、焼き芋も作る。

あとはソフィアが楽しみにしていたポップコーン!アルミホイルに干したトウモロコシ(この世界の物はポップコーン向きだろうとソフィアは思っていた)油を少し入れて、隙間をなくすように上からもアルミホイルで覆った。火にかけて待っていると、ポンポンと音がしだす。アルミホイルを振りながら、音がなくなるまで。皆が興味深く見守る中、真ん中から開いて見せた。

「「「「「わぁー!!」」」」」バターと塩で味付けをして、どうぞと差し出す。

皆で熱々のポップコーンを食べた。

テオとローラはアルミホイルの便利さに関心している。これなら前もって準備しておけるし、調理も楽になりますと嬉しそうだ。

高級品だろうと心配したようだが、公爵家で独自に開発した物だから大丈夫だと言う。

テオたちには創生の魔法について話していない。初期投資は公爵家が負担するのだからと、心配しないように伝えた。



お母様とブリトール伯爵家のお茶会に出掛ける。お兄様とシロが一緒に行きたいと最後までごねていたが……ごめんね、無理です。

お茶会後に化粧品を渡し、応接間に案内されて蜂蜜の話を聞かせてもらった。様々な種類をお土産に貰い、お互いニコニコとして帰宅すると……

玄関ホールにお兄様とシロ、そしてアルベルト様まで仁王立ちして待っていた。

「母上、ソフィ。お帰りなさい。」

「ただいま。アルベルト殿下、いらっしゃいませ。どうしたの?何かあったかしら。」

「母上、遅くなかったですか?」

「遅い?そうかしら。夫人とお話が弾んでしまったのは事実ね……。」

お茶会後、応接間で化粧品や蜂蜜の話で盛り上がったのは事実だが、そこまで時間が掛かった訳ではない……付いていけなかったのが不満だったからか?

アルベルト様まで一緒なのは訳がわからないが……。

「ソフィアも一緒だと聞いて、心配していたのだ。お茶会など、社交に慣れてないだろう?しかも、時間が掛かっていると聞いてな。」

「まぁ、殿下にご心配をお掛けして申し訳ありません。」お母様はにこやかに言ったが、あとでお兄様は叱られるだろう……。

ソフィアは話題を変えるべく、提案する。

「アルベルト様。お兄様。シロ!

蜂蜜を沢山頂いたのです。ポップコーンに蜂蜜で味付けをしていただきませんか?」

「この間食べ損ねたお菓子だな。」

「ほう。初めて聞く。是非、食べてみたいな。」

「シロもおとーしゃまといっしょ―!」

では、少しお待ちになってください!とソフィアは急いで着替えに向かったのだった。



皆でポップコーンを食べ、アルベルト様の希望でレモンスカッシュも準備した。

甘いもので落ち着いたのか、お兄様も美味しいと喜んでいる。

しばらくすると「ソフィア。もうすぐ誕生日なのだが……。」アルベルト様が意を決したように切り出した。

「?そうですわね。今日のお茶会でもアルベルト様のお誕生日の話題がありましてよ。」

「おとーしゃま、おたんじょーびなの?」

「シロ。そうなの。お城ではお祝いのパーティーがあるのよ。」

「シリウスとソフィアとシロもいく?」

「いいえ。お父様とお母様が参加されるわ。」社交デビューしていない私たちは参加しない。そもそも第一王子の誕生日は参加人数が多いのだ。

「その、だな。何かソフィアの前世にあるようなものを貰えないだろうか……高価なものは要らないのだ……何か、身につけるようなささやかなものを……お願いできないだろうか。」

「前世のものですか……、……わかりました。直ぐには思いつかないので、考えてみますわ。私の誕生日にはシロがやって来たのですもの!是非ともプレゼントさせてください!!」

「あ、ありがとう。ソフィア!!楽しみにしている!」アルベルト様はほっとしたと同時に、はにかんだようにしながら言っていた。

お兄様はちらりとアルベルト様を見て、複雑そうな顔をしたが、何も言わずポップコーンを食べていた。




何がいいのかと、ソフィアはしばらく悩ませられることになった。





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