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翌日。ソフィアはすっきりと目覚めた。

今日も体調、問題なし!


ステラに朝の身支度を手伝ってもらい、部屋を出る。ローレンとバルトは仕事を始めていたが、皆はまだ寝ているようだ。

昨日、はしゃぎすぎたのかしら?と思いローレンに声を掛けると


「おはようございます。お嬢様。

昨夜、陛下と旦那様はこっそり城に戻り、仕事をしていらっしゃったのです。

今日もなるべく時間をとりたいと……。


殿下とシリウス様たちは……、大浴場で……水泳大会をなさっていたようで、

奥様たちに見つかって……その、ご指導をいただいておいででした。

少しのぼせてしまったようで、お嬢様のお創りになった熱中症対策水を飲んで、お休みになりました。


奥様たちはその影響で、お休みが遅くなられたようです。」


はぁ。お兄様たち、何か怪しいとは思ったけれど……水泳大会ね……泳ぎができたのかしら?

「そうなのね。ありがとう、ローレン。

……、……

……ところで、鉄材とかあったりしないかしら?」

ローレンが訝しげな顔をしたが、

何も問題なしですの顔でソフィアは応える。

「倉庫に屋敷の修繕用に保管しているパイプはありますが……。」

「あら、パイプなのね?助かるわ!」

「何にお使いなのですか?」

「ちょっとした遊具?……遊具に!」

「遊具ですか?危険はないのですか?」

「まぁ、ローレン。遊具が危険な訳ないでしょう?大丈夫、安全なものです。」

ローレンは尚も疑わしいと言わんばかりの眼差しだったが……

「バルト!手伝ってもらえるかしら?」

バルトは、ちらっとローレンを見たが

「わかりました。」と了承してくれた。

よし。今のうちね!

バルトとステラ、ビビたちとシロも引き連れて庭に出た。

バルトが鉄材を運んでくれてる間に、ステラには乗馬服を持って来て欲しいと頼む。

パンツスタイルなら何でもいいが、今ソフィアが持ってるのは乗馬服ぐらいだ。

早速、近くの空いている部屋で着替えを済ませ、髪も纏めてもらった。

バルトも戻って来たので、庭の隅に材料を寄せると、ソフィアは集中力を増していく。

いつもより大きい光が現れた。キラリと輝いたあとに残ったのは……


鉄棒だ。地面にしっかり建っている。

思ったより材料が沢山あったので、高さの違う3基を創った。

だいぶ技の名前を忘れているが、前回り、逆上がり、足ぬき回り、コウモリくらいは5歳でも出来ていたはずだ。

最近はストレッチに加え筋トレをコソコソとやっていたのだ。

体力、筋力、免疫力!!


くるりと後ろを向き、特にバルトとステラに言い含める。

「これは鉄棒といい、前世では公園や学校にある物です。子供が遊びにも使える物なので、安全です!サラは得意でした!もう一度言います、安全です!!

急に手を出された方が驚いて、危険です。

安心して見ていてくださいね。」

「「わ、わかりました。」」

二人は何とか頷いた。

ビビたちは既に鉄棒の上に乗っている。

シロはステラの不安を思ってか、手を繋いであげていた。


よし。懐かしの鉄棒に挑戦!

一番低い鉄棒。まずは前回り。「ひっ!」とステラの声が聞こえたが、気にしない。

次は逆上がりかな……出来るだろうか……

よし!……、……できた!!やった~、1回目からできるとは!サラの経験が活きてる?!

内心、キャッキャッと昨日のお母様たちのようにはしゃいでいる。

次々と覚えてる技を試してみた。楽しいわ!ステラは顔色を悪くしているので、申し訳ないが……。

『ソフィア~!上手~!』ビビが褒めてくれた。

『筋トレ効果あったね!』あ~っトット、ステラに内緒にしてたのに……。

『皆にお披露目しようよ~!』とポポは言う。う~ん、どうだろう……。


一通り試して、楽しんだ頃に、皆が起きて朝食が始まるとローレンがやって来た。

ローレンも目を見開いた様子だったが、何も言わなかった。


そのままゾロゾロと移動する。

食堂に入って、しまったと思う。手洗いうがいはしたのだが、着替えて来なかった……。

鉄棒が楽しくて浮かれていた……

ステラも珍しく、動揺していたせいか着替えまで気がまわらなかったようだ。

「ソフィア、おはよう。珍しい格好ね。どうしたの?」直ぐにお母様に気付かれた。

「おはようございます。その、遊具で遊んでおりましたので……。」

「遊具だと?別館に何かあったか?」

「おはようございます。お父様。……その、今朝創りました。」

「何?創ったのか、ソフィア!!後で見せておくれ!」あぁ―、陛下……。

たまたま時間と材料があり、懐かしさで創ったけれど……ポポの言ったとおりになったわ……。


昨夜のうちに調整したから、今日も一日時間があるぞ!と陛下はウキウキしている。

午前中は何をするかと話しながら朝食を済ませた。

ん―――、まずは鉄棒ですね。はい、覚悟決めました。

ステラに庭にお茶の用意を頼み、せめてゆったりとした気分で見てもらう。

このメンバーは過保護なのだ。

「これは鉄棒です。」

「あっ、昨日の映像で見たぞ!学校にあったな!」アルベルト様、目敏いですね。

「そうです。街なかにある公園にもあり、子供の頃から遊んでいました。

今から遊び方をお見せしますが、まず第一に安全なものだという事です。

先程も遊んでいました。心配は要りません。椅子に座ったまま、ご覧になってくださいね!!」

「ソフィア。何故か不安になる説明なのだが。」お父様が立ち上がろうとする。

「お父様!お掛けになってください。

きっと私の技が見た事のないものですので……でも、私は前世からの経験があるので、心配不要と言う事です。

ね?バルト!?ステラ?」

「「はい。大丈夫です……。」」


では、とソフィアは鉄棒で思い出せる技を次々と披露する。

「「「「ソ、ソフィア!!」」」」と叫ばれたが「大丈夫です!」と止めずに続けた。

やれる事すべてを終えて、皆の元に戻る。


心配そうな顔の、お兄様、アルベルト様とエドモンド様。そしてお父様に陛下と男性陣が抱きしめたり、怪我がないかあちこち確認したりした……。

一言も怖いとも痛いとも言ってないのに……っもう!!

お母様と王妃様は、最初こそ驚いたようだが「ソフィアがあんなにクルクル回れるなんて、知らなかったわ~!」

「私の娘は運動も得意なのね!さすがソフィア!!自慢の娘ね、うふふ。」と言ってくれた。女性陣はどっしりとしている。


一度落ち着こうと、紅茶を淹れなおしてもらい、皆が椅子に座る。お父様は膝にソフィアをガッチリ抱いている。

「今日は何をご覧になりますか?先程、話してた移動手段でしたら、物流の参考になるかもしれません……システム的にですが……船以外はこの世界とかなり違うので。」

「ソフィア。ぐるぐる回ってたのに大丈夫なのか?」

「お父様。先程のは本当に子供の遊びなのです。平気ですから参りましょう!前世には空を飛ぶ乗り物があるのですよ!!」

「何だって!!ソフィア、本当か?」

「陛下。本当ですよ。飛行機といいます。

とても大きいですよ!」

お兄様たちも早速見たいと騒ぎ出す。

飛行場からにした方がいいかしら?と考えながら、ソフィアはそのまま抱っこされて移動した。


昨日同様に上映会。飛行機・新幹線・電車・トラックや乗用車と船。どんどん現れる未知の移動手段に皆、夢中だった。

構造は無理だが、どのように利用されているかはソフィアにも分かる。

午後から陛下とお父様にお話する事にして、午前中の最後は水族館の映像にした。

色鮮やかな熱帯魚に大きなアマゾンの魚。

大水槽の魚の群れやジンベイザメ、海獣やイルカのショーと盛り沢山!

ペタペタ歩くペンギンは可愛いと人気だった。


興奮を落ち着かせるように、昼食をとることにした。

ソフィアも厨房について行って、レモン・クエン酸・重曹・砂糖・塩・水と必要なものを準備して食堂に入った。

全てピッチャーに入れて創成の魔法で一気に創ったのはレモンスカッシュだ。

「お兄様、コップにそれぞれ氷をお願いできますか?」

「あぁ。分かった。」

少し注いで味見したが、バッチリだった!

お兄様が魔法で準備してくれたコップの氷にスライスしたレモンを入れ、ピッチャーでシュワシュワと人数分を注いだ。

カラカラと涼しげな音のするグラスをステラが配ってくれる。

「レモンスカッシュです。クエン酸というレモンに含まれる成分は、疲労回復の効果があるのです。酸味が強かったらシロップで調整してくださいね。さぁ、お試しください。」

少し前から考えていたソフィアは、前世の好物を創った。どうかしら?


「シュワシュワしてるが、アルコールではないのだな。」

「レモンが今の季節、爽やかでいいわね。」

「すっきりして、暑さも和らぎそうだ。」

「シュワシュワしてて、凄いな!」

「ソフィ!美味しいよ!!」

と皆が感想をくれた。受け入れてくれたみたいね、良かった!!


予定どおりに昼食も済ませ、皆で乗り物や水族館の感想を話した。

その後はアルベルト殿下、エドモンド殿下、お兄様とビビたちは庭に飛び出して行き、サッカーや鉄棒をするそうでバルトがついて行った。


王妃様とお母様、ステラはソフィアが創った化粧品を並べ、映像で見たメイクや髪型について話に花が咲いている。ネイルについては特に熱くなっていた。


陛下とお父様、ローレン。ソフィアとシロは

談話室でこの世界で役に立ちそうな仕組みや構造物についての検討だ。シロはソフィアを心配して一緒に来てくれた。可愛い、なでなで。

質問されれば答えられるが……この世界の現状を把握していないソフィアは申し訳なく思った。勉強不足ね……。

それでも次々と質問責め状態で、紙に授業のごとく図解しながら、ソフィアは精一杯に対応するのだった。



あっという間に時間は過ぎ、早めに夕食をとって、

やっとお泊まり会は終わるのだった。


「今度は鉄棒の指導をしてくれ!楽しかった!!」と殿下たちは言い

「ソフィア。また、美しくなって会いましょう!」と王妃。

「これで第一回は終了だな……寂しいが城に戻る。ソフィア、ありがとう!!」と抱き上げながら陛下は言った……。

……、第一回って言った……。

恒例行事になる?と思いながらも、お見送りをするソフィア。シロは「おとーしゃま!また来てくだしゃい!」と言っていた。





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