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しばらくすると、陛下と父は意見交換を始める。

後日でいいので、資料館にあった説明文を訳しておいて欲しいと言われた。


王妃と母、ステラもあれこれ興味のあった髪型や洋服、特にアイメイクやネイルが気になったようで、メモを見ながらキャッキャッと騒いでいる。


ローレンとバルトも水泳の技術は公爵家の騎士にも習得させたいとか、領地整備に使えそうな重機があるとか、ダムの機能は役に立つなどと議論中。

実はこの二人は親子なのだ。今までは口数が少ないと思っていた二人だが、認識違いだったかもしれない。怒涛の如く話をしている。


因みに、バルトとステラは恋人同士だろうとソフィアは思っている。きっと、間違いないわ!!うふふ。


アルベルト様、エドモンド様、お兄様はちょっと申し訳なさそうにやって来た。

「ソフィ。その、あの、ボールなんだが……。」何とも言いづらそうな、お兄様。

『ほい。』

とポポがボールを何処からか取り出し、投げた。

「完成したのか?」アルベルト様が受け取りながら叫ぶ。

「屋外用にサッカーボールは完成させました。運動用の靴もあった方がよいのですが……。」

「サッカーとは足だけで蹴っていたやつだな?!試してもよいか?」

直ぐに体を動かしたくて、ウズウズしているようだ。

「どうぞお試しください。危ないので、暗くなる前には終わりにしてくださいね!」

「あぁ、勿論だ。」

僕が結界張ってあげる!とポポが一緒に、別館の裏庭に走って行った。

夏場なので、暗くなるまでにはもう少し時間があるだろう。



ソフィアは少し休もうと、今日使う寝室へと向かうことにする。

ステラに言付けると、ついてこようとしたので大丈夫だからと押し切って、ビビとトット、シロを連れて寝室に入った。

ベッドにドサッと倒れ込むと、ビビとトットがお腹に乗り、シロはソフィアにピタリとくっついた。

慣れない事の疲れからか、ソフィアは直ぐに深い眠りにおちた。



「お嬢様。」静かに声を掛けられた。ステラが心配そうにしている。

「お加減が悪いのでしたら、医者の手配を致します。」

「ステラ!違うわ!ちょっと疲れてお昼寝したのよ。大丈夫だから、心配しないで。」

いつの間にかお腹の上にポポも乗っていた。

静かに起き上がると、すっきりした気分だ。

ビビたちが、魔力回復をしてくれたのかもしれない。

ビビたちも起きて、お腹空いたと言い出した。

夕食が始まるからと、迎えに来てくれたステラに、身だしなみを整えてもらい、キョロキョロとシロを探した。

「シロなら、殿下たちのお着替えを手伝っていますよ。」

「えっ?シロって何でもできるのね!」

「シロは気配りが細やかで、頑張り屋さんですよね、ふふ。お嬢様の真似もしたがりますし。今はおとうさまのお世話をしたいのではないでしょうか。」

あぁ、なるほど。アルベルト様ね。



揃って食堂へ行くと、皆が着席したところだった。

お兄様が慌てて駆け寄って来て、ソフィアは抱っこされた。

??

ゆっくりと席に下ろされる。

「ソフィ。すまない。疲れたのだろう?私達だけ楽しんでしまった。」

「そんなことはありません。私にとっても前世の映像を見てもらえた事は、嬉しいことです。百聞は一見にしかず、ですからね。」

「ひゃく、ひゃくがなに?」

「『百聞は一見にしかず』

人から何度も聞くより、一度自分の目で見るほうが確かであり、理解できる。

という意味です。」

「なるほど。確かにそうだった。」とアルベルト様がうん、うん頷いている。

エドモンド様も確かにそうだと、瞳を輝かせて頷く……エドお兄ちゃん、可愛い、ふふ。


さて、始めようと食事がスタートした。

陛下は、サラの世界には魔法がないのだよなぁ~と不思議そうに呟いていた。

ソフィアは、魔法がないからこそ、あのように長い年月を掛けて進化したのでしょうと答えた。

「前世では、信じられない現象を『まるで魔法のよう』と言ったものです。そのように思っていた魔法を、まさか自分が使えるなんて、周りに溢れているなんて……未だに信じられない時がありますわ。」

「そう、か。魔法がある世界には、それに合った進化も可能か……。」

「そう思います、お父様。参考になる部分を取り入れたらいいのですわ。

でも、医療や健康管理は早めに改善した方がよいかと……。

サラも私も病弱ですから、想像できないかもしれませんが、前世、日本での平均寿命は男女共80歳を超えていました。」


「「「「は、80歳!?」」」」


「そうです。普段の健康管理については、この世界より意識が高かったかもしれません。」


「ソフィア?平均寿命と言ったわよね?」「そうです、お母様。女性も子供の頃から運動しますし、食生活も重要ですね。」


皆、驚きすぎて食事の手が止まっている。

あはは……。衝撃が強かった?ごめんなさい……。


デザートに、もはや公爵家恒例のアイスクリームが出てきた。両陛下は初めての、噂のアイスクリームにはしゃいでいた。

「うふふ。ソフィア!ルルヴィーシュ公爵家のアイスクリームと化粧品は社交界で話題の中心なのよ!

リリーの色のお土産も素敵だったわぁ。

私は最近、肌が艶やかだと誉められてばかりで、困るわぁ~うふふふふ。


ドルト公爵夫人は歯軋りしそうだったわね……ふっ。


ソフィア!ありがとう!あなたの努力のお陰よ!!」


「王妃歳。嬉しいです!サラは化粧品の研究を仕事にしていました。ソフィアとして、今も活かせるのならば……感謝するばかりです!!」

王妃は優しく微笑んでいた。



陛下とお父様は明日の仕事の調整をすると、談話室に向かう。

陛下はソフィアを抱き上げ、いつものようにクルクル回って喜んでいたが、途中でお父様がソフィアを奪い、ゆっくり休むんだよと頭を撫でてから出て行った。


お兄様たちは別館の大浴場に入ると、ウキウキしながら言っていた……怪しい。

勿論、ソフィアを撫で回してから出て行く。エドモンド様は

「エドお兄ちゃんが一緒に寝てあげなくても平気?」なんて言っていたが、当然平気だ。

「エドお兄ちゃん!また明日。おやすみなさい!」とだけ言っておく。

シロもついて行きたそうだったが、アルベルト様に撫でてもらって我慢していた。


お母様と一緒に部屋に向かおうとすると、王妃様もついていらした。

「リリー、仲間はずれはよくないわ。」と言ってソフィアと手を繋ぐ。

「もう、ではエリーの部屋に行きましょう。」お母様は空いている方のソフィアの手を繋ぎ、反対側はシロと繋いでいた。



王妃様に準備された広い部屋。

ステラに頼んで、洗顔に必要な物を準備してもらう。

「王妃様、お母様。せっかくのお泊まり会ですので、メイク落とし・洗顔についてお話してよろしいですか?」

「?……何か違うのかしら?」お母様は並んだ物を見渡す。

メイク落としや洗顔石鹸は既に知っている物。泡立てネットが今日の新作といえる物だった。

「これね!」

「そうです。泡立てネットです。見ていてくださいね。」

ソフィアは盥の上で、ゆっくり分かりやすいようにふわふわの泡をつくる。

「まぁ、そんなにふわふわの泡になるのね!触ってみたいわ!」どうぞと王妃様の手にのせる。

「あらっ、ほんとにきめ細やかな泡で、気持ちいいわ!これで洗顔は最高ね!リリーも触ってみなさいな!!」

お母様も手の甲にのせて、試していた。

「エリー!!見て!手の甲が白くなったわ!!」

潤いもなくならないし、光って見える!

ソフィアにもらった同じ石鹸なのに、不思議ね!キャッキャッ、うふふと女子学生のようだ。

「美白効果がある石鹸ですけど、正しく使うことで充分な効果を得られるのですわ。今回、泡立てネットを創ってみたのでお使いくださいね!」

「キャー!ますます磨きがかかって誉められちゃうわ。私たち10代の頃のようになってしまうわね、リリー!!」

「エリー、10代はちょっと言い過ぎよぅ。せめて、20歳くらいかしら?」

うん、ほとんど言ってることは変わらないね……お母様。楽しそうで何よりです。

自分で泡を立ててみたりしていたが、途中で思い出したように

「ソフィア。お風呂に入って疲れを癒してきなさい。」

「ここの部屋のお風呂で構わないわよ。」

「そうなさい。」と言われた。

はい。しばらく、はしゃいでいたいのですねと大人なソフィアは理解する。


ステラに手伝ってもらい、シロも一緒にお風呂に入る。ビビたちはソファで眠っていた。


お風呂を出てシロとお揃いの寝間着姿。

ソフィアを真似したいシロの為に、ステラが同じデザインで仕立ててくれたのだ。

部屋に戻ると、まだ騒いでいる様子……。

ビビたちの声がすると思ったら、盥の中で泡だらけ……お母様たちに洗われていた……。

盥ごとビビたちを回収して行くステラ。

「王妃様、お母様。手を洗ってくださいませ。次はパックをお見せしますわ。」

「まぁ、まぁ大変。リリー!パックですって!急ぎましょう!!」

「ソフィア。ちょっと待ってね!直ぐに洗ってくるわ。」二人共、昔にすっかり戻ったようになってる……のだろう。


ソフィアはシートマスクを準備していた。

「まず、化粧水をつけます。次にこのシートマスクを綺麗にフィットさせます。

シートには特別に配合した高濃度のものが染み込ませてありますので、週に1~2回。

やり過ぎても駄目です。このまま10分くらい待ちます。そして最後は乳液で整える。

はい、終了です。」

二人は遠慮なくソフィアの頬を触って、もっちりしてるわ!張りがある!艶やか!などと盛り上がった……まぁ、5歳児ですけど……

言わないのが大人だ……。


私たちも試しましょう!

まずは入浴しなくては!

あぁ、大浴場で一緒に入りましょう!

懐かしいわぁ~!!

……いつの思い出かなぁ~とソフィアは思う。

ステラも一緒に入りましょう!などと言い出し、ステラは固まっていたが、強引な二人に連れ去られて行った。


ソフィアは「先に休ませていただきます。おやすみなさ~い!」と廊下を駆け抜けるような勢いの三人に声を張る。

遠ざかりながら

「ゆっくり休むのよ!」

「おやすみ。ソフィア!」

「お、お嬢様~!おやすみなさいませ……。」と聞こえた。ステラ、ガンバ!



綺麗になったビビたちとシロを連れて、今日の寝室に戻る。

早速ベッドに潜り、

ソフィアの長い一日が終わった。




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